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蓮田孝
ある日、蓮田君が急に聞いてきたことがあった。
私が図書館で本を探していた時だった。
高いところのあるそれは私の身長では届かず、 蓮田君がひょいと取ってくれた。
土山花梨
本当はあの日以来距離を置いている
だけどそんなことは言えず無理に笑って見せた
蓮田孝
土山花梨
私がお礼を言うと蓮田君はニコッと笑って去っていった
土山花梨
私は本を抱え不思議な気持ちに浸っていた。
誰かの影がそれを見ていることを知らずに
私は顔を赤くし、いっぱいな気持ちで図書館を後にした。
本条綾子
その帰り道、私は綾子に呼ばれた。
土山花梨
呼ばれた場所に行けば険しい顔をした綾子が立っていた。
本条綾子
土山花梨
蓮田くんからも何も聞かされていない。 初めて聞いた
驚いた表情を見せた私に綾子はさらに続けた。
本条綾子
本条綾子
土山花梨
本条綾子
土山花梨
本条綾子
綾子は声を荒げて言った
私はもう泣きそうだった
土山花梨
土山花梨
本条綾子
土山花梨
本条綾子
土山花梨
本条綾子
綾子は私の手をつかんで歩き始めた
引きずられるようにして走る私は思わず「止まって」と叫んでしまう
土山花梨
私がかたくなに近寄らなかったあの駅だった
掴まれた手を振り払う
私は怖くなって足元が竦み動けなくなった。
綾子は振り返りあざ笑うかのように、声を大きくして
本条綾子
と笑った
私を置いて更に進んでいく。
本条綾子
土山花梨
本条綾子
土山花梨
本条綾子
土山花梨
本条綾子
土山花梨
駅の中は夕方のせいか薄暗くいつもより寂しそうだった。
未だにカフェでは二人の少女が話している
女子高生1
女子高生2
花梨は後ろを振り返り二人の少女を見た。
楽しそうに話す二人は近くの学校に通う高校生だ
土山花梨
と花梨は笑った。
ブローチなんてあまり生きていて私には馴染みのない物だ。
初めて聞いたのはあの日の綾子からの言葉の中だった。
本条綾子
土山花梨
本条綾子
本条綾子
本条綾子
土山花梨
本条綾子
土山花梨
本条綾子
土山花梨
綾子は私の顔をキッと睨みつけた
その眼には涙がたまっている
土山花梨
思わず謝った私に綾子は平手打ちをした
本条綾子
本条綾子
本条綾子
本条綾子
次の日、ゼミに出席した人はかなり少なかった。
綾子が死んだことはゼミの先生から聞かされた。
美奈子と同じあの駅で。
今度は階段から落ちて打ちどころが悪かったらしかった。
私は教授から聞かされたニュースに倒れそうなほど顔色を悪くしたと思う。
気分が悪くなり、大事な友人を二人も亡くしたことに涙を流した。
男
その言葉に花梨は現実に引き戻された。
現れたのは蓮田孝。
10年前よりの大人びていつもカッコいい。
私の憧れの人。
綾子が死んでから孝は私の心の支えとなっている。
蓮田孝
あれから告白され付き合いだした私たちは今まで以上に幸せで
本心を隠す必要がないことに私はこれ以上ない充実感を得ている。
蓮田孝
孝はにこりと笑って花梨の胸についてる花の形をした物を指した。
土山花梨
蓮田孝
悲しそうに言う花梨に孝はそっと頭を撫でて言った。
彼は椅子に腰かけメニューを開いた。
花梨はそっとブローチを撫でながら
土山花梨
と心の中で呟いた。
(この後私たちはあの荒若駅に行ってみるのもいいかもしれない)
土山花梨
髪を茶色く染め短く切った花梨はそう考えながら向かいに座る孝を眺めた。
土山花梨