TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
シェアするシェアする
報告する

高橋

ちくしょう…もう5万も使ったのにうんともすんともいわない

高橋

おれはいつになったら、パチンコをやめられのだろうか…

高橋

くそ…最後の一万もなくなった…

高橋

もうダメだ…帰ろう

高橋

何で俺ばっかりこんな目に…

高橋

外は無駄に心地がいいな

高橋

幸せそうなカップルが羨ましい…俺もパチンコなんてやらなければ…

佐藤

あの、ちょっといいですか

高橋

え?ぼくですか?

佐藤

はい。あなたです。パチンコで大負けしたあなたに声をかけているのです

高橋

な…なんでそんなこと知ってるんですか?

佐藤

失礼ながらパチンコ屋の店内であなたを観察させていただきました

高橋

……

高橋

(間違いない、こいつは怪しいやつだ 無視して帰ろう)

佐藤

待ってください!おいしい話があるんですよ!

高橋

(無視、無視、あぁ今日は本当についてない)

佐藤

いますぐに5万円を稼げる仕事があるんです!

高橋

(5万円…今日のマイナス分と同じ額だ…)

佐藤

やはり興味がそそられましたか。そのはずですよ、あなたはこの仕事をやればパチンコに使ったお金を取り戻せるんですからね

高橋

……

高橋

な…に…すれば…

佐藤

はい?

高橋

ぼくは何をすればいいんですか?

佐藤

そうですか、やる気になってくれましたか

佐藤

なに簡単なことです。これから行く場所で、紐を1本切ればいいだけですよ

高橋

紐を切るだけ?

佐藤

ええ。紐を切るだけ。そしたら報酬として5万円を差し上げます

高橋

いくらなんでもおいしすぎる。法に触れるような危ない仕事なんじゃないの?

佐藤

私の口からは多くは教えられません。しかし仕事を引き受けた後に面倒なことが起きる、というようなことは一切ありません

佐藤

私が保証します

高橋

……

高橋

わかりました、ぜひやらせてください

佐藤

それは助かった。では、さっそく現場に向かいましょう

佐藤

ここが現場でございます。あ、目隠しはもう外して大丈夫ですよ

佐藤

この階段を上がった先に現場責任者がいるので、そちらで指示通りに動いてください

高橋

はい…わかりました

佐藤

健闘を祈ってますよ

高橋

し、失礼いたします

責任者の男

ああお待ちしてましたよ

責任者の男

さあ時間がありません

責任者の男

急いでこの契約書にサインして

高橋

はあ…

高橋

(こんなに急かされたんじゃ、ろくに内容も確認できないな…)

責任者の男

はい、じゃあこれ持って

高橋

枝切バサミ…ですか?

責任者の男

はいはいそんなことどうでもいいから

責任者の男は慌てた様子でカーテンを開くと、そこには垂れ下がったロープが横に5本並んでいた。

責任者の男

私が合図したら、この中の好きなロープを切ってください

責任者の男

あと1分後に始めます。急いで切るロープを決めてください

高橋

はい…

高橋

(やっぱり、よくわからない。ぼくはこれから何をしようとしているんだ)

高橋

(ロープの先に小さな穴が空いているのか?ということは、このロープは下の部屋につながっているのかな)

責任者の男

30秒前!

高橋

右から2番目にしよう

高橋

おや?

高橋

ロープが微かに揺れてるな

責任者の男

10秒前!

高橋

すべてのロープが揺れてる…なぜかわからないけど、すごく不気味だな

責任者の男

5秒前!

責任者の男

4

責任者の男

3

責任者の男

2

責任者の男

1

責任者の男

切って!

高橋がロープを切ると、スルスルと穴の中へとロープが吸い込まれていった。

責任者の男

お疲れ様でした

責任者の男

これであなたの仕事は終わりです

責任者の男

こちら約束通りの5万円です。お受け取りください

高橋

ありがとうございます。

高橋

あの…ぼくはいったいなに

責任者の男

お付き合いありがとうございました。

責任者の男

帰りも車で送らせていただきます。

佐藤

さあさあ。帰りましょう

高橋

わかりました。本日はありがとうございました

無事に帰宅した高橋。寝巻きに着替えないままベッドに横たわった。

高橋

あれは一体なんだったんだ…

高橋

小刻みに揺れていたロープが頭の中から離れない…

高橋

まあいい

高橋

パチンコで失った5万円が戻ってきた、それでいいじゃないか

高橋

今日は眠ろう

高橋

そして今日経験したことは忘れよう

半年ほど時が流れ、高橋はいつものようにパチンコに精を出す。この日は珍しく大連チャンしていた。

高橋

今日は大勝ち!

高橋

これだからパチンコはやめられないな

高橋

さーて祝勝の焼肉にでも行きますか〜

高橋

あれ?あの人…

佐藤

さあさあ。急ぎましょう

フリーター

はい!わかりました!

高橋

あの時の…

佐藤

車に乗ったら、この目隠しをしてください

フリーター

はい!

高橋

間違いない。怪しい仕事を紹介してきた男だ

高橋は高なる好奇心に勝てず、いつの間にかタクシーに乗車していた。

高橋

あの黒い車を追いかけてください!

到着した先は埠頭付近にある工場地帯。黒い車は1つの工場前に停車し、中に入っていた。

高橋

ここまで来たら中に入らないわけにはいかない…

高橋

見張りはいなさそうだ

高橋

よし、このまま入ってしまおう

高橋

あれ?何かのイベント?

受付の女性

ご来場ありがとうございます。

受付の女性

こちらチェックシートとペンになります

受付の女性

ご健闘をお祈りしています

高橋

はあ…

高橋は訳もわからず中に入ると、空いてる席に座った。目の前には大きな舞台があるが、そこにはまだ誰も登場していない。

高橋

何かのライブが始まるのかな?

高橋

ん?

高橋

何だこれ?

チェックシートには、 中川清 村中加代 山下真太郎 蜷川静華 田中啓介 と人の名前が印字されている。

高橋

これは、何のチェックシートなんだ?

司会

みなさん!お待たせしました!

司会

これから死人当てゲームをはじめまーす!

高橋

死人当てゲーム?

高橋

超稚拙なタイトルだな

舞台の幕が広がる。 そこには絞首台に繋がれた5人の姿があった。

高橋

お、お、おい

高橋

死人当てゲームてまさか

高橋

いや、まさかな…

司会

ルールはご存知かと思いますが、改めて説明させていただきます!

司会

これからこの中の5人うち1人が死にます!どのクズが死ぬか当てていただくゲームとなっております!

司会

そう、ここにいる5人は命を強制的にかけさせられた借金まみれのクズでございます。

司会

助かれば借金はチャラですが、ハズレを引けば当然死あるのみ…

司会

さあみなさん!予想してください!

絞首台に繋がれた5人は 「死にたくない」 「金なら払う!命は助けてくれ」 「誰か助けてください」 と泣き叫んでいる。 各々が恐怖のあまり体を小刻みに震えていた。

高橋は絞首台から天井にかけて伸びるロープを見た瞬間、ある事実に気づく

司会

さあ残り30秒前!

高橋

ぼくは…たった5万のために…

司会

残り10秒前

高橋

ロープの揺れは人の震え…

司会

5秒前

司会

4

司会

3

司会

2

司会

1

司会

ゼロ!

右から2番目の村中加代のロープが無情にも首を締め上げていく。会場にいた観客は興奮し、声を上げて愉悦していた。

高橋は首吊りを目の当たりにした途端、耐え切れないほどの吐き気に襲われた。走って外に出ると、胃袋の中身を全て吐き出した。

高橋

はぁ…はぁ…

高橋

この手で人を殺めてしまった…

高橋

たかだか5万のために…

高橋が蹲っていると、後ろから男が近づき肩をたたいた。

佐藤

おいしい仕事があるんですけど、やりませんか?

この作品はいかがでしたか?

600

コメント

8

ユーザー

知らない間に強制デスゲームに参加させられてるとは…

ユーザー
ユーザー

Twitterから来ました! 井之上さんが紹介していらっしゃったのでどんな作品かと見てみたら、とても私好みでびっくりしました…!!! ロープを切る、と言う動作だけでここまで話をふくらませることが出来るなんて凄いです🙌 これからも作品、楽しみにしています!!!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚