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――翌朝、皇都の外。
ウェンデッタは、 従者ダニエルともに、 街道を走る馬車に乗っていた。
のどかに広がるブドウ畑を ながめつつ、 令嬢はポツリとつぶやく。
ウェンデッタ
ダニエル
ダニエル
ダニエル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタは、 しみじみと1人微笑んだ。
ダニエル
少し不安げなダニエル。
ダニエル
ダニエル
ダニエル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ダニエル
ダニエル
ウェンデッタ
――港町郊外のレストラン。
ノクトル
個室へ到着したウェンデッタと ダニエルを迎えたのは、 魔塔の魔術師ノクトル。
ウェンデッタ
“昨夜の去り際”を 思い出し、 赤面するウェンデッタ。
ウェンデッタ
すぐに頭から振り払い、 何食わぬ顔で挨拶する。
ウェンデッタ
ノクトル
ノクトルは 意外そうな顔をした。
ウェンデッタ
ノクトル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ノクトル
ノクトル
ウェンデッタ
ダニエル
ウェンデッタ
ダニエル
不満げながらも、 おとなしく引き下がるダニエル。
ウェンデッタ
――かの事件の現場となったのは、 魔塔が管轄する 『魔導ポータル』だった。
そもそも魔導ポータルとは、 古くから魔塔が運営する 魔術転移サービスである。
国内の主要都市に 設置されたターミナル間しか 行き来できないし、
利用料は 庶民の生活費1か月分より高額で、 万人が手軽に利用できる サービスではない。
だがその性能は 魔塔のお墨付きなうえ、 金さえ払えば 一瞬で目的地へと転移可能。
魔導ポータルは 大きなトラブルも起きることなく、 100年以上に渡り 安全に運営されてきたのである。
――だが数週間前、
その安全神話が 脆くも 崩れ去ってしまった。
五大貴族キガンジ家の 女性当主『ミカゲ』が、 魔導ポータル利用後、 そのまま行方不明になる事件――
――通称“ミカゲ事件”が 発生したのだ。
キガンジ家の当主代理は、 皇帝とともに、 魔塔を激しく攻め立てた。
――魔導ポータルが 誤作動を起こしたのでは? 事故は魔塔の責任だ、と。
追い詰められた魔塔に 残された選択肢は、 たった2つのみ――
――①行方不明になった ミカゲを探し出す。
――②魔塔主を処刑し 責任を取らせる。
前世では魔塔主イザックが 自らの命を差し出し、 事件は幕引きとなった。
だがそれを皮切りに、 魔塔は急速に弱体化。
半年後には 皇帝の介入で魔塔が解体され、 多くの魔術師が 殺されてしまったのだ――
ウェンデッタ
ノクトル
ノクトル
ウェンデッタ
ノクトル
ノクトル
ダニエル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ノクトル
ノクトル
ノクトル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
悔しそうなノクトルの顔が、 ウェンデッタには “前世の自分”と重なって見えた。
前世の彼女もまた、 弁解など許されず 皇帝暗殺犯に仕立て上げられ、 無実の罪で処刑されたのだ。
ダニエル
ウェンデッタ
ダニエル
ダニエル
ダニエル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ノクトル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ダニエル
ウェンデッタ
ノクトル
ノクトル
ダニエル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ノクトル
ノクトル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ノクトル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ノクトル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタは 不敵な笑みを 浮かべたのだった。
――昼食後。
地味な“庶民”へと変装した ウェンデッタたち3人は、 下見がてら港方面へ繰り出した。
――港近くの大通り。
港町は活気づき、広場には 臨時の出店テントが ずらっと並ぶ。
色とりどりの旗が風になびき、 人々が行き交っては 騒がしく声を掛け合っていた。
ノクトル
不思議そうに 首をかしげるノクトル。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ノクトル
ノクトル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ノクトル
ダニエル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
――その日の夜。
港の一帯は、待ちに待った 祭り本番の熱気と、 楽団の奏でる陽気な音楽に包まれた。
昼間とは比べ物にならないほど 人も増え、住民も観光客も 混じって楽しげに笑い合っている。
ウェンデッタ
ノクトル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
――ブオォッン!
ウェンデッタ
鳴り響いたのは、 港に停泊する 巨大な船の汽笛。
潮風の祝祭の目玉である 船のパレードが、 いよいよ始まる合図だった。
民衆
民衆
民衆
沖のほうから現れたのは、 魔導具でライトアップされた たくさんの船。
人々は皆、海上のパレードに 目を奪われ、 すっかり祝祭ムード一色。
…だが、ウェンデッタたちに とっては、これからが “本番”である。
ウェンデッタ
ウェンデッタは 小声で指示を出してから、 観光客に紛れ 目的地方面へ歩き出す。
ダニエル
すぐ後ろについていく ダニエル。
ノクトル
その様子を たっぷり見守ってから、 ノクトルも 少し遅れて後に続く。
周りの誰もがパレードに夢中で、 彼らの行動を気にする者など ただの1人も存在しなかった。