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ベルについて行って、 洞窟のような岩の道を進む

ベル

この奥の……。

ベル

──っ!?

進んだ先には、この場所には 似合わない、小綺麗なドアと 壁が取り付けられていた

……そしてその前に佇む、 とある人物の後ろ姿

白衣を着ていて、一見では 研究員か何かのように見える

けど……真っ白な筈の白衣には、 所々、赤く染まっている箇所があった

研究者

……おや、何事かと思えば

僕らの方を振り返った男が、 特に驚くこともせず淡々と言う

ベル

っショウタは……!?

研究者

……ふむ、なるほど。お前が例の“人格を持った魔力体”か

ベルの言うことは無視して、 何故かまじまじと見つめ始める

ベル

っ……?

研究者

まぁいい。君達は彼を助けに来たようだが……

 

研究者

──残念ながら、もう手遅れだ

真冬

なっ……!?

ベル

っ、絶対そんなことない!! ショウタは、お前らなんかにはっ……!!

研究者

いいや。長年の研究による実験は、無事成功した。

研究者

それに……お前の名は、ベル・フランだったか。

研究者

他の誰でもないお前こそが、この傀儡研究を始めさせたと聞いているが?

ベル

は……??

ベルが実験を……?

研究者

……お前は当時、闇使い達を思いのままに操っていたそうだな

ベル

それは……。

ベル

……っ!?

ベル

まさか、それで……!?

つまりBoEは、昔闇使いを 操っていたベルから着想を得て、 この実験を始めたってこと?

研究者

……せっかくの機会だ、お前達でアレを実験してみようか

シャノン

“アレ”……?

そう言った男が、徐に背後にある扉を 開けると、部屋の中から誰かが出てきた

……って、は!?

なっ、天月……!?

翔太?

っ……ゔ……ぁ……

出てきたのは、全身に怪我を負って 血塗れになっている天ちゃん

でも、それにしては足取りが 覚束なさすぎる上に、いつもの 赤い目も焦点が合っていない

ベル

し、ショウタ……??

翔太?

ゔ……っぐ……

ベルが話しかけても、まるで反応せず、 ただ苦しそうに唸っているだけ

研究者

やれ

翔太?

……あ……がっ……

シャノン

つ、つっきー……?

翔太?

はあ、はあ……!!

翔太

っ……み、んな……に、げ……て……! …………

ベル

っ……!!

一瞬僕らに向かってそう言ったかと 思えば、その直後、瞬時に左手に “月光剣(ルアルソード)”を出す彼

真冬

(まずい!!!)

キィンッ!!

真冬

ぐっ……!!

即座に桃雪華を顕現させて、 すんでのところで攻撃を受け止めた

ベルが外にいるから、抑えられない 程ではないけど、それでも かなりの力が込められている

真冬

っ、天ちゃん、何で……!?

翔太?

ふーっ、ふーっ……!!

こちらを睨む瞳は赤いまま

だけどあの時以上に、憎しみのような 感情が籠もっているように感じた

彼方

くそっ、何でまたこいつと戦うことに……!!

ベル

っ……。

ベル

……みんな、俺に掴まって!!

突然、ベルがそんなことを言い出す

え、何で……

ベル

いいから早くっ!!

わ、分かった!!

ベルの迫力に気圧されて、 みんなが言う通りにする

真冬

くっ!!

僕も天ちゃんとの競り合いを やめて、桃雪華を消しながら 急いでベルの腕に掴まった

翔太

…………

 

直後、周りの景色が一変する

真冬

はぁ、はぁ……

真冬

(これは……瞬間移動……?)

シャノン

ここは……?

目の前には海と岩場が広がっていて、 背後には洞窟の入り口があった

ベル

多分、さっきのとこの外。とにかくみんな、こっちに──

彼方

おい、ちょっと待て

ベル

……何?

彼方

お前、何平然と天月のこと置いて行こうとしてんだよ?

彼方

さっきはあんなに心配してたのに、流石におかしいだろ

歩き出すベルを呼び止めて、 そう言い放つそらるさん

真冬

ちょっと、そらるさん……!

ベル

ショウタは大丈夫だよ

一方のベルは、それに対抗するわけ でもなく、淡々と告げる

彼方

大丈夫って、そんなの分かんないだろ。もしまだ危険な目に遭ってたらどうするんだよ!

そらるさんは僕らの中でも、 人一倍仲間のことを大事に思ってる

だからこその言葉なんだって分かってる から、止めたくても止められなかった

ベル

っ……俺が心配してないわけないでしょ、バカじゃないの?

ちょっ、ベルも流石にその言い方は……

彼方

だったら何で今俺達だけで逃げようとしてんだよ、明らかに行動矛盾して──

ベル

うるっせぇな!!

ベル

──“俺”がっ、自分のこと心配してないわけないだろ!!

彼方

っ……!?

ベル

そんくらい分かれよ、バカっ……!!

突然、感情が爆発したようにベルが叫ぶ

真冬

(そうだ、ベルって今までは……)

100年以上、元いた場所に戻りたくて、 ただ天ちゃんと一緒にいたくて、 ベルは色んな事件を起こしてきた

ずっと天ちゃんのことを大切に思って なければ……普通はあり得ない

真冬

(今、一番天ちゃんへの心配が大きいのは……ベルなんだ)

ベル

俺だって、できるもんなら今すぐ戻って助けたいよ!!

ベル

だけどこれからは、ショウタのこと絶対信じるって決めたんだ!!

ベル

確かに俺は元々みんなの敵だったし! まだ信用できないかもしれないけど!!

ベル

それでも──!

 

ベル

──“僕”だって、“天宮翔太”だ!!!

ベル

だから……今だけでいいからお願い! “僕”を信じて……!!

今までに見たことないほど、 必死な顔で訴えるベル

彼方

っ……!!

彼方

…………。

彼方

……分かったよ、お前がそこまで言うなら信じる

ベル

……! うん

彼方

あと……ごめん、流石にちょっと言い過ぎた

ベル

あ……それは俺もごめん……

珍しく素直に謝ったそらるさんと、 それを見て申し訳なさそうに俯くベル

真冬

もー、そらるさんほんっとに煽りに弱いんですから……

彼方

なっ、今は関係……!

はいはいそっちもそこまで! やっと収まったのにまた始めようとすんなー!

あー、こんなとこで仲間割れされんのかと思って超ビビったわ……

つかそらるんは年下に向かって大人気ないわ! なぁまふちゃん!

真冬

えっ? あ〜……

一応ベルは天ちゃんなわけだから、 多分年齢的には……

彼方

いや圧倒的に俺が年下だろ

僕が答えに困っていると、 そらるさんがズバッと切り捨てた

は??

…………あ、うん、そうか。ごめんそうだったわ

ベル

ゔっ……そ、それより、見つかる前に早く行くよ!!

居た堪れなくなったのか、 ずかずかと歩いて行ってしまうベル

あ〜ちょ待って! ごめんって! わしが悪かったってぇ〜!!

 

 

 

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