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泣いて泣いて泣いて泣いて

泣いて泣いて声が枯れて

泣いて泣いて泣いて泣いて…

涙も枯れるくらい季節が流れた。

陽毬

幸せだね!!!

あいつの口癖が耳から離れない。

朱鷺

今の俺、陽毬が見たら

朱鷺

きっと…怒るだろうな…

陽毬

ねぇ?知ってる?

陽毬

生きてる物はみーーんな幸せになるために生まれてきたんだよ!!

朱鷺

え?

陽毬

ほら、今日はすごくいい天気だし

陽毬

風も気持ちいい!!

陽毬

穏やかに葉っぱが揺れて

陽毬

鳥がさえずってる!!

朱鷺

陽毬

ね!ほら!もう幸せでしょ!!!

そんなことないよ…

どんなにいい天気でも

どんなに平和に世界が回っていても

朱鷺

お前のいない世界なんて真っ暗だ…

朱鷺

なぁ…

朱鷺

陽毬…

朱鷺

願いが叶うおまじない教えてくれよ?

朱鷺

どうやったら…

朱鷺

どうやったらお前のいう幸せが来るんだ…

朱鷺

陽毬…

陽毬

朱鷺!また暗い顔して!

朱鷺

…。

陽毬

暗い顔してたら幸せは逃げちゃうんだよー!!

朱鷺

…ひまり…

陽毬

ほら、笑って笑って♬

朱鷺

…ひまり…

陽毬

ほら、辛い時こそ前を向くの!

陽毬

笑ってる人達、穏やかな日々、それに愛する私!!

陽毬

ね!朱鷺の周りにはいっぱい幸せがあるんだよ!!

朱鷺

…ひまり…ひまり…

朱鷺

だからって!!!

朱鷺

だからってお前を諦められる訳ねぇだろ!!!!!

朱鷺

ぅぁぁぁぁぁあああああ!!!

俺はまた大声で泣いた。

どんなに枯れようと、次から次へと溢れだしてくる。

そして、俺はある言葉を思い出す。

陽毬

ねぇ、知ってる?

陽毬

桜の花びらを空中でキャッチできたら願いが叶うんだって!!

朱鷺

さ…くら…

朱鷺

桜!!あの日の!!桜!!

俺は取り憑かれたように

あの日

最高に幸せだったあの日の桜の樹の下へと辿り着いた。

その桜の樹は

あの日と同じように輝かしく

桃源郷のように沢山の花びらを

舞い踊らせていた。

朱鷺

お願いだ!!桜の樹!!

朱鷺

それに神様でも仏様でも誰でもなんでもいい!!!

朱鷺

お願いだ!!!

朱鷺

陽毬を!!!

朱鷺

陽毬を返してくれ!!!!

俺は花びらを掴もうと必死になった。

もて遊ぶかのように花びらはひるがえり

くすくす笑うかのように樹は花を揺らした。

朱鷺

陽毬!!!

朱鷺

陽毬!!!!!

何度やっても花びらは手をすり抜ける

朱鷺

陽毬…!!!!

朱鷺

陽毬!!!陽毬…!!!!

陽毬

幸せだね!!

朱鷺

陽毬!!!陽毬!!陽毬…!!!

陽毬

へへ、こんな幸せでいいのかなぁ…

朱鷺

陽毬!!!陽毬!!!陽毬!!!!!!

朱鷺

陽毬…!!!!

俺の頭の中に陽毬との思い出が一気に駆け巡った。

朱鷺

…。

朱鷺

陽毬…!!!

そして一枚の花びらが手の中に残った。

〜病室〜

朱鷺

陽毬…

朱鷺

今日も来たよ…

陽毬

…。

朱鷺

…。

陽毬

…。

朱鷺

やっぱり…

朱鷺

目覚めないよな…

陽毬

…。

朱鷺

俺、バカだよ。

朱鷺

バカだよなぁ…

陽毬

…。

朱鷺

いつもお前のおまじないなんか信じてなかった。

朱鷺

お前がいなくなる事なんか考えてなかった。

陽毬

…。

朱鷺

いつもお前がそうやっておかしな事を言うたびに、バカだな、そんな事ある訳ないのにって…

朱鷺

お前は、俺を元気付けようとしてただけなのにな…

陽毬

…。

朱鷺

今更だよな…

朱鷺

こんな

朱鷺

こんな花びら一枚…

輝きを失い、

瑞々しさをなくした花びらを

俺はじっと見つめた。

朱鷺

陽毬ぃ…

朱鷺

陽毬…

朱鷺

帰って来てくれよ!!!

朱鷺

陽毬!!!!

朱鷺

陽毬!!!!!

俺はぎゅっと花びらを握りしめた。

陽毬

と…き?

朱鷺

ひま…り!?

陽毬

ふへへ、なんで泣いてるのー?

朱鷺

ひまり!!ひまり!!!!ひまり!!!!!!

俺はギュッと陽毬を抱きしめた。

陽毬

もーおこちゃまだなぁーよしよし

朱鷺

ひまり…ひまり…!!

涙が止まらない

陽毬

なんかね、長い夢見てたみたいなの。

陽毬

みんなが揃って川を向こうに渡っていくの。

陽毬

私も行かなきゃなーって思ってたのに、ずっとね。誰かが陽毬の事を呼んでたの。

陽毬

ずっーと。ずーーっと。

陽毬

だから陽毬なんか気になってずっと桜の木の下で待ってた。

朱鷺

!!!!!

陽毬

あの声は朱鷺だったんだね。

陽毬

朱鷺が…私を迎えにきてくれたんだね。

朱鷺

陽毬!!!!!!

俺はずっとずっと陽毬を抱きしめ続けた。

この幸せが現実であるかを確かめるよう。

ずっとずっと…

もう、離しはしないと…

〜一年後、桜の樹の下〜

陽毬

わぁー!!!今年も綺麗な桜咲いたねー!!

朱鷺

だな!!

陽毬

私ここ本当に好き!!すごく幸せを感じれるんだもん!!

朱鷺

…うん。

桜の花びらと共に舞い踊る君に

俺はこう言う。

朱鷺

なぁ

朱鷺

知ってるか?

陽毬

ん??

朱鷺

願いを込めた桜の花びらを

朱鷺

2人で小瓶に入れてずっと大切にすると

朱鷺

その2人は永遠に幸せでいられるんだって…

E

N

D

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コメント

2

ユーザー

感動した。

ユーザー

最高です❤️

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