俺は高校生の秋斗(あきと) 今日は地元でも有名な心霊スポットにきている
秋斗
く、暗いですね。
秋斗
帰るっていう選択肢……は?
一弥
ねーよ秋斗。おら、早くいくぞ。
秋斗
一弥(かずや)先輩、待ってくださいってー。
雅也
はは、ビビりすぎじゃね。秋斗。
秋斗
そ、そ、そんなことないですよ。
そう 先輩に無理矢理連れてこられたのだ
一弥先輩は横暴で 従わないと何をされるかわかったものじゃないし
雅也(まさや)先輩は優しいけれど ノリが悪いと機嫌が悪くなって怖い
どっちも嫌な先輩だった
秋斗
ま、まだですかね?
一弥
うるせぇな。
一弥
もうすぐだろ。
秋斗
はぁ……。
行き先も最悪だったのだ
俺の住んでいるところから 電車で数十駅離れていて しかもそこからさらに歩きで2時間
山の中だとは聞いていたけど 地理的にも厳しい
全員高校生で車もないし
幽霊も嫌だけど、帰られるかも心配だ
秋斗
ね、ねぇ、そこってどんな所なんですか?
雅也
ん? どんな所とは?
秋斗
いやだから、どんな噂があるんですか?
一弥
ふんっ。そういえば、お前には教えてなかったっけな。あはは。
雅也
なんだよ一弥、まさか教えずに秋斗を呼んできたのか? 悪い奴だなあ。
一弥
ははは。
雅也
あっはは。
秋斗
はは……は……。
先輩達は楽しく笑っているが
俺はもう帰りたかった
雅也
おっと。悪いね。秋斗。
雅也
……で、今から行くところはどんな噂があるのか、だったよね?
秋斗
はい、そうです……。
雅也
今から行くところは廃病院でね。
秋斗
は、はいびょういん。
雅也
うん。そうだよ。
秋斗
嫌ですね。とても。
雅也
あっはは。そうかな?
でね、その病院ってのが精神病棟だったらしくてね。
でね、その病院ってのが精神病棟だったらしくてね。
秋斗
精神病棟?
一弥
イかれてんだよ。人間のクズの掃き溜めみてぇなもんだ。気持ち悪りぃ。
雅也
おい、一弥。お前随分と罰当たりなことを言うんだなあ。
一弥
あ? そうだろが。実際、そんな奴らはまともじゃないし、クズに違いねぇだろ。
秋斗
え、えーと。それでその病院には何が?
雅也
あ、そうだったね。そう、それでね。家族にも見放されちゃって、その精神病棟に入れられた孤独な男が居たらしいんだ。
雅也
やっぱり、精神的にも少しおかしくてね。意味の分からないことをぶつぶつ呟いたり、突然叫んで暴れ出したりしていたらしい。
秋斗
怖いですね。
雅也
怖いね。その男がある時、自分の腹をガラスの破片でかき切って、腹から大量に出てくる血で壁に文字を書きつけたらしい。
秋斗
も、文字……?
雅也
そう。それが滅茶苦茶な日本語でほとんどが分からないものだったんだけど…。
雅也
その中でハッキリと、特に大きく書かれた言葉っていうのがあってね……。
雅也
その言葉っていうのが……。
秋斗
い、いうのが……?
そこで雅也先輩は息を呑んで
その言葉を吐こうとした
その時
キエテクレキエテクレキエテクレキエテクレ!!
秋斗
うわあああああ!!!!
奇声が上がった
と、次の瞬間
一弥
ぷっははははは!!
雅也
あっはははは!!
秋斗
え?
一弥
秋斗、お前ビビりすぎな?
一弥
まーじで笑ったわ。
尚も面白そうに笑い続ける一弥先輩
俺はその状況を飲み込めなかった
雅也
……はぁー。面白いなぁ。
秋斗
雅也先輩、一体どういう?
雅也
あれ、まだ気付いてないのかい。今のは一弥の声だよ。秋斗を怖がらせようって、2人で話しててね。
一弥
お前、本当にいい反応するな。
秋斗
そ、そんなぁ……。
2人の先輩によって 寿命が本当に縮まってしまったような気がした
うんざりして だんだんとこの2人が憎らしく思えてきた
"死ねばいいのに"
俺の頭にそんな言葉が浮かんだとき 自分が恐ろしく思えて考えるのをやめた
縁起でもない
秋斗
……もう、これからはこういうの無しですからね!
一弥
ふっはは。分かった分かった。
雅也
いやあ、悪かったよ。
秋斗
……そうだ。ってことは、さっきの話も俺を怖がらせるための?
雅也
いや、あの話自体は本当だよ。
秋斗
え。
聞かなきゃよかった
雅也
壁に血文字で「キエテクレ」。一体、何に対して消えて欲しかったんだろうね。
一弥
無駄無駄。頭がパーのやつのことなんて、分かりっこねぇよ。
秋斗
それで、その病院が……。
雅也
そう。今から行くところ。それ以降、そのガラスの破片を持った狂った男の幽霊が、夜な夜な病院内を歩き回ってるって話さ。
雅也
見つかると……どうなるんだろうね?
秋斗
ま、またそうやって!
雅也
あっはは。
一弥
ま、全部噂だ。なんもねぇだろな。
そう言いながらズンズンと進んでいく2人を見て 俺は心底震え上がった







