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彰人
新人として初めて参加した時は 皆本当に真剣に商品をどう売って いこうかと話し合っている様子を見て たまげたものだ。
高校生の時 、地元のセレクト ショップで働いていて大抵の 流行にはいち早く先取り出来ていた。 この知恵を職に活かせればと気合い を入れていたが、実際は年に二回 行われる展示会で今年の流行ファッションを決めそこから緻密な会議を繰り広げながら宣伝していくのだ。
売るためにこの業界にいる と言っても過言ではない、 オレの所属している営業企画課は そんな販売意欲が高い人が多い。
彰人
キッ、と目を見据え自分の やりたいことを成し遂げて みせると自身に啖呵を切った。
力が入ってしまったせいか 「ぐぅぅ……」とお腹の音が 鳴ってしまった、周りに人が いなくてよかった。
彰人
彰人
早速と言わんばかりに 会社から近い例のコンビニ に寄ることにした。
今日、彼は いるのだろうか。
自動ドアが開き、 「いらっしゃいませー」 とまたお馴染みの挨拶 が聞こえた、ああ、 やっぱり彼の声がするな、 開いた先のレジカウンターから 彼の姿を捉えた。
彼、青柳さんもこちらに 気付いたようで顔を綻ばせて ぺこり、軽くお辞儀してくれた。 何だか歯痒いな。
それはそうと今月のスイーツは 何があるのやら、とコーナーに 真っ先に寄りスラスラと目配せする。
前月に比べて今月は旬の フルーツが多い、そのため いろんな新作スイーツが オレの食欲を刺激する。
彰人
彰人
自身のお腹に聞いてどれを食べたいか目で選んでいるとお腹がくう、と軽く 鳴った。その鳴った目先のものは 桃のタルトだった。お前に決めた。
このスイーツなら、と紙パックの ドリンクが並ぶ棚に寄り、アール グレイの紅茶を手に取った。
彰人
冬弥
手際良くバーコードを読み取り 金銭のやり取りをしている間に 彼から話し掛けられた。
冬弥
彰人
冬弥
冬弥
彰人
笑い混じりで短い会話を 交わし、袋を受け取って 帰ろうとした。
冬弥
彰人
彰人
冬弥
彰人
しょんぼりと顔にはあまり 出ていないが寂しげな表情 を見て何か申し訳なくなり、 ちょうどポケットの膨らみ がある事に気付き閃いた。
彰人
そう言ってポケットから小さい いちご味の飴玉を取り出し 彼に渡した。
冬弥
彰人
彰人
冬弥
これで少しは彼のことを 労わってやれただろうか。 見た感じ大学生だろうし、 本業の学問を怠らなければ いいが、オレが言えたこと じゃないのは分かっている。
彰人
冬弥
手を軽く振ってコンビニを去る。 今日のお供は最近ハマったバンド のアルバムで決定だ。 背伸びをしてマンションへ 向かった。
冬弥
休憩室で包装紙を捲り ピンク色の飴玉をパクリ 口に放り入れた。
冬弥
特別甘いものが好きという 訳ではない、どちらかと 言えばコーヒーのような 苦味と旨味のあるものが 好きだ。
かと言ってあの人に 「甘いもの苦手なので」と 言えなかったのは、 彼の好意を踏みにじる形に したくなかったからだ。
気を使われたのか元から お人好しなのか、それは 分からないが受け取って 悪い気はしなかった。
冬弥
残り時間のシフトもやり切って やろう、と意気込んで椅子から 立ち上がり店内へ向かった。