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6 - 殺人鬼と、その殺人鬼を一方的に慕うファン(信者?)

♥

275

2021年05月14日

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これほどまでに完璧な殺人を犯す人間が今までいただろうか。

証拠を一つとして残さず、

監視カメラにも映らず、

まるで亡霊のように

人を惨殺する。

そんな殺人鬼の存在を

小藤糸織(ことう しおり)は 知らなかった。

今や、都市伝説の如く語られる”死魔さん”と呼ばれる殺人鬼。

過去に二十人近い人間を殺害しておきながら、

その尻尾さえ警察は掴めていないという。

小藤は、”死魔さん”という存在をSNSで見つけてから

彼?に関する事件についてインターネットの世界を探し回った。

一番有名な話は”何でも相談所”だ。

そこに書かれた人物は全員、もれなく殺害もしくは行方不明になっている。

その殺され方はあまりにも惨たらしいモノだった。

手足を切り落とされ、

腹を裂かれて

内臓を引きずり出され、

眼球を刃物で貫通し、

脳味噌を掻き混ぜる。

犠牲となった人々の死に顔は、

直前まで苦しんだであろうほど痛みと恐怖に歪んでいた。

小藤 糸織

ああ!なんて素晴らしいの!!

事件に書かれた内容を読めば読むほど、

小藤は”死魔さん”に強く惹かれていった。

男性か女性か、

単独犯か複数犯かもわからない。

だが、

この世界には”死魔さん”と呼ばれる殺人鬼が実在する。

そう考えただけで、

背筋がゾクゾクするような感覚があった。

小藤 糸織

ああ…凄いなぁ…

小藤 糸織

”死魔さん”ってどんな人なんだろ……

そうやって一日の大半を

”死魔さん”に想いを馳せて過ごしていた。

知能の低い客

ねぇ!ちょっと!

知能の低い客

これ、私が言った煙草の銘柄と違うんだけど!

小藤 糸織

あ…はい

小藤 糸織

すみません

知能の低い客

もぉ…あんたさぁ、何年このコンビニにいるの?

知能の低い客

いい加減、煙草の銘柄覚えてよ

小藤 糸織

すみません

小藤 糸織

(ああ…番号で言ってくれればいいのに…)

小藤 糸織

(どうしてこの知能の低い女は)

小藤 糸織

(そんなことすらできないのだろう…)

小藤 糸織

(”死魔さん”だったらどうやって殺すかな?)

小藤 糸織

(もちろん、手足は切り落として)

小藤 糸織

(内臓は引きずり出すんだろうけど…)

小藤 糸織

(その口にたくさんの煙草を咥えさせて)

小藤 糸織

(足元にガソリンを撒いて)

小藤 糸織

(火をつけて一気に……)

小藤 糸織

フフッ……

自意識過剰な店員

おい!何笑ってんだよ!

小藤 糸織

あ…ごめんなさい…

自意識過剰な店員

ほら、商品届いたから

自意識過剰な店員

棚に並べてきてよ

小藤 糸織

え…あ、でも…それ

自意識過剰な店員

早く!俺はこっちの仕事で忙しいんだから

自意識過剰な店員

トロトロすんなよ!

小藤 糸織

あ…はい…

小藤 糸織

(はぁ…仕事が出来ないくせに)

小藤 糸織

(あたかも仕事が出来るんですっていうアピール)

小藤 糸織

(それって誰に向けてやってるんだろ?)

小藤 糸織

(自分がこの職場を回してるとか思ってるのかな?)

小藤 糸織

(自分がいなきゃ、私が何も出来ないって)

小藤 糸織

(思ってるのかなぁ…)

小藤 糸織

(”死魔さん”だったらどうやって彼を殺すのかな?)

小藤 糸織

(熱々の油を頭からかけて…)

小藤 糸織

(熱い!熱い!っていう彼の姿を見て)

小藤 糸織

(楽しそうに笑ったり、するのかなぁ…)

小藤 糸織

フフッ……

小藤にとって”死魔さん”の存在は絶対的な心の拠り所だった。

そして、同じように”死魔さん”を崇拝する人たちと掲示板やSNSで出会い。

意見を交わしていくうちに、

彼女の中で”死魔さん”という存在がどんどん大きくなっていった。

小藤 糸織

(”死魔さん”はきっと男性で…男前なんだ…)

小藤 糸織

(普段は優しくて、きっと笑顔が素敵なんだろうなぁ…)

小藤 糸織

(いつもは何をしてるのかな?)

小藤 糸織

(仕事とか何してるんだろ?)

小藤 糸織

(今は…誰も殺してないのかなぁ…)

小藤 糸織

(”何でも相談所”以降、それっぽい事件は起こってないし…)

小藤 糸織

(うーん…休憩中だったり?)

小藤 糸織

(いや、事件を起こしてバレてないだけだったり?)

小藤 糸織

(何だろ…朗報?)

次いで送られて来たのはネットニュースのURLだった。

小藤 糸織

(郊外の空き家にて、変死体が見つかった事件の身元が判明した)

小藤 糸織

(被害者の名前は栗原 秋)

小藤 糸織

(遺体の損傷は激しく、身元の特定に時間がかかった)

小藤 糸織

(また、彼女の父親も市内の空き家で何者かに殺害されており)

小藤 糸織

(同一犯の犯行とみて警察は調べている)

記事を読み進めていけば、

栗原秋のスマホは見つかっていないということ。

近隣での目撃者がいないということ。

そして何より、

殺され方が彼女の父親も含め凄惨さを極めたとある。

小藤 糸織

(ああ、”死魔さん”だ…)

背筋がゾクゾクとして、

言いようのない高揚感が襲い掛かってくる。

小藤 糸織

(ああ!やっぱり”死魔さん”はいたんだ!!)

小藤 糸織

(嬉しい!!)

小藤 糸織

(しかも、こうやってまた完璧に人を殺してる…)

小藤 糸織

(ふふっ…バカでのろまな日本の警察に)

小藤 糸織

(”死魔さん”が捕まるわけないじゃない)

ニヤニヤしながらバイトに戻る。

薄汚い客

小藤 糸織

いらっしゃいませ

お会計して釣銭を渡そうとして、

老齢の男性はギュッと小藤の手を握りしめてきた。

背筋を這う、嫌悪感。

小藤 糸織

…っ!

男性を見れば、

薄汚い笑みを浮かべている。

薄汚い客

ありがと

そして、ねばついた声でそう言うと

名残惜しそうに手を離して店を出て行く。

小藤 糸織

(薄汚い男!!)

小藤 糸織

(気持ち悪い!!)

小藤 糸織

(あんな男は”死魔さん”がきっと生きたまま火あぶりにするか)

小藤 糸織

(感電死させるに違い無いわ)

小藤 糸織

(ううん!それじゃあ、物足りない!)

小藤 糸織

(ノコギリで手足を切り落として)

小藤 糸織

(逆さ吊りにしてやればいいのよ!)

小藤 糸織

……

小藤 糸織

(はぁ…なぁんて考えても…)

知能の低い客

ちょっと!何ぼーっとしてんのよ!

小藤 糸織

(知能の低い女はいまだに知能が低いままだし)

自意識過剰な店員

おい!あれ、やったのかよ!

小藤 糸織

(自意識過剰な男も健在……)

小藤 糸織

(はぁ…”死魔さん”…)

小藤 糸織

(ねぇ、”死魔さん”…)

小藤 糸織

(私の前にいるどーしようもないクズどもに)

小藤 糸織

(制裁を下してはくれませんか……)

小藤 糸織

(”死魔さん”……)

同士の中には、

”死魔さん”を見つけようと躍起になっている者もいた。

小藤 糸織

”死魔さん”が私たちみたいな一般人に見つかるわけないじゃない

逐一報告されるSNSの書き込みを見て、

小藤は小馬鹿にしたようなため息をこぼした。

小藤 糸織

見つかるとすれば…その時は…

小藤 糸織

”死魔さん”に殺されるとき……

小藤は自分の口角が緩むのを感じ取った。

小藤 糸織

それでいいのよ……

小藤 糸織

それでこそ私の理想とする”死魔さん”だわ

完璧でなければ意味が無い。

絶対的でなければ意味が無い。

小藤の思い描く”死魔さん”はどんどん大きく膨らんでいった。

同士と一緒に”死魔さん”が人を殺した廃墟を訪ねる

聖地巡礼をすることもあった。

もちろん、

中に入ることは出来なかったが、

外観を見るだけでも十分満足できた。

そこに”死魔さん”がいたという空気が感じられるだけでも幸せだった。

小藤 糸織

”死魔さん”の活動を支援する掲示板か…

それは、同士との通話の中で出た言葉だった。

小藤 糸織

確かに、今の”死魔さん”は行き当たりばったりというか

小藤 糸織

相談所のときのような依頼を受けて

小藤 糸織

人を殺すということが出来ていない

小藤 糸織

ならば、こちらから用意してあげるというのも手かもしれない

小藤 糸織

もし、人殺しの依頼が出来るのならば…

そう思った小藤の脳裏を数名の客と、

一緒に仕事をしている人間の顔が過ぎった。

小藤 糸織

とは言っても

小藤 糸織

あのときと同じような場所を提供しても

小藤 糸織

警察に真っ先に疑われるだろうし

小藤 糸織

”死魔さん”も利用しにくいと思うんだよなぁ…

うーむ、と唸りパソコンの画面を見つめる。

小藤 糸織

何か…良い方法は無いかなぁ…

例えば、不特定多数の人が利用できるもので、

書き込んだ人の特定が難しく、

足が付きにくい方法。

今ではインターネットの掲示板も規制が厳しくなっているという。

小藤 糸織

そんな都合の良い方法なんて無いよねぇ……

小藤 糸織

(そういえば、最近A子からの連絡が無いなぁ)

小藤 糸織

(ちょっと前まで、”死魔さん”に掲示板を提供しよう!とか)

小藤 糸織

(SNSでこのハッシュタグを流行らせよう!とか言ってたのに)

小藤 糸織

(さすがに諦めたのか)

小藤 糸織

(もしくは、警察から指導が入ったのか…)

小藤 糸織

ん?B子からだ

小藤 糸織

え?

次いで、送られて来たのはネットニュースのURLだった。

小藤 糸織

(海外旅行から帰宅したOさん宅で複数の死体が発見された事件について)

小藤 糸織

(身元が判明したと報告が上がった)

小藤 糸織

(一人は同市内に住む藤井雅道(ふじい まさみち)さん、32歳)

小藤 糸織

(もう一人は隣の市に住む橋本映子(はしもと えいこ)さん、25歳)

小藤 糸織

え…まさか、これが…A子?

小藤 糸織

嘘…嘘…

小藤 糸織

A子…殺されちゃったの?

しかし、事件の詳細を読んで確信する。

小藤 糸織

これ……”死魔さん”の事件だ…

小藤 糸織

B子が騒いでた……あの事件だ…

小藤 糸織

A子……”死魔さん”に殺されたの?

小藤 糸織

”死魔さん”を見たの?

小藤 糸織

ああ……

小藤 糸織

羨ましい!!

小藤 糸織

”死魔さん”ってどんな人だったんだろ

小藤 糸織

どうやって殺されて…

小藤 糸織

どうやって”死魔さん”のところまでたどり着いたんだろ…

小藤 糸織

ああ…A子が羨ましい…

会いたいと思って会えるものではない。

ただ、

会いたいと思っているのならば

その無意識下に干渉するのは容易いことだ。

小藤 糸織

ハッ!!

小藤 糸織

こ、ここは!?

 

おはようございます

小藤 糸織

…あ、あなた…は?

 

まぁ…誰だっていいじゃないですか

小藤 糸織

も、もしかして…

小藤 糸織

もしかして”死魔さん”!?

 

はて?

 

私はシマという名前ではないのですが…

 

どなたかと勘違いしてらっしゃるのでしょうか?

小藤 糸織

……

小藤 糸織

いいえ…勘違いなんかじゃないわ

小藤 糸織

だって……

小藤 糸織

そうでなきゃ説明がつかない

 

小藤 糸織

どうして私がこんな知らない場所にいるの?

 

ご自分の足で歩いていらっしゃいましたよ

小藤 糸織

どうして私は柱に縛り付けられているの?

 

逃げないように、でしょうか

小藤 糸織

じゃあ、どうして今、貴方は

小藤 糸織

ノコギリを持っているの?

 

……

 

貴方を切るため…でしょうか?

小藤 糸織

やっぱり!!

小藤 糸織

貴方が”死魔さん”だったのね!!

 

うーん、どうしてそうなるのでしょう…

小藤 糸織

現実では到底理解出来ないこと

小藤 糸織

それをやってのけるのが”死魔さん”なの

 

……

小藤 糸織

人を無意識のうちに知らない場所に誘導する

小藤 糸織

逃げられないように手足を縛り

小藤 糸織

人気の無い廃墟で凄惨な殺人を行う

小藤 糸織

こんな条件が揃って”死魔さん”じゃないというのなら

小藤 糸織

一体、貴方は何者だというのでしょう!!

 

……

 

(うーん……)

 

(面倒くさい人を捕まえてしまいました…)

小藤 糸織

いいの

小藤 糸織

認めなくても

小藤 糸織

でも、私はそうだと信じてる

小藤 糸織

貴方が”死魔さん”であ゙あ゙あ゙っ!!

その言葉の途中で、

男性は五寸釘を彼女の右肩に突き立てた。

小藤 糸織

うぅ…

 

私が誰であろうと

 

関係無いと思いませんか?

小藤 糸織

そ、そんなこと、ないわ

小藤 糸織

うぐっ

釘を抜き、

もう一度右肩に突き刺す。

小藤 糸織

あ゙あ゙っ!!

小藤 糸織

……

小藤 糸織

はぁはぁ…

小藤 糸織

私にとって

小藤 糸織

誰に殺されるのか、は

小藤 糸織

とても重要なことなの

 

そ~ですか~

ほぼ無感情に彼が言うと、

釘を押し込んだ。

小藤 糸織

あ゙あ゙あ゙っ!!

小藤 糸織

…”死魔さん”に殺されるのなら

小藤 糸織

これほど…嬉しいことはないわ

 

ほぉ、それは何よりです

言いながら彼は彼女の左手を掴み、

ノコギリの歯を手首にあてがう。

 

では、喜んで切られて下さいね

小藤 糸織

え、あ

小藤 糸織

あ、あ、あ、あ

ギョリ…ギョリ…

小藤 糸織

あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!

手を体を激しく揺らしても、

彼は手を離すことなく

ノコギリを押したり引いたり…。

その度に、

肉が削げる音と

彼女の悲鳴が部屋に響く。

小藤 糸織

あ、あ、ああ……

涙が溢れ、

コンクリートの床に落とされた己の左手を見つめる。

 

さて、では次はどこを切り落としましょうか

 

リクエストがあればどうぞ

ニコニコと微笑んで言う彼を見て、

彼女は顔を引きつらせる。

 

リクエストが無いのなら

 

左耳を削ぎ落しましょうか

小藤 糸織

あ、いや

彼は左耳を摘みノコギリの歯をあてる。

小藤 糸織

いや、いや、やめ

ギョリ…

小藤 糸織

はぁぁぁ!!

ギョリギョリ……

ベチャッ…

小藤 糸織

ああ、そんな……

小藤 糸織

痛い…痛い…

 

生きていますから

 

痛いでしょうねぇ

小藤 糸織

はぁ…はぁ…

小藤 糸織

でも…嬉しい…

 

…はい?

小藤 糸織

何度夢見たかな…

小藤 糸織

”死魔さん”に殺されるこ

ギョリ…

小藤 糸織

きゃぁ!!

小藤 糸織

ど、ど、どうして右耳を

 

え?

 

話しが長いなぁっと思いまして

ギョリギョリ…

小藤 糸織

っ!!!!

ベチャッ…

 

では、次は…

小藤 糸織

ま、待って!

 

え?なんですか?

 

あ、リクエストがあるんですか?

小藤 糸織

ちが、違う

 

では、失礼して

彼は彼女の右手を掴む。

小藤 糸織

お、教えて!

小藤 糸織

どうして私を殺すの!?

彼女は早口で尋ねる。

 

う~ん、どうしてですかねぇ

ギョリギョリ…

小藤 糸織

あ、あ、あ、ああああ!!

 

なんとなく?

小藤 糸織

いやぁぁあああ!!

 

理由なんてありませんよ

小藤 糸織

痛い…痛いっ!

 

それで満足ですか?

小藤 糸織

そ、そんな……

 

何にでも理由を欲するのは人の悪い癖です

小藤 糸織

うぅ…痛い…痛いよぉ

 

よしよし、泣かないでください

そう言って彼は、

切り落とした小藤の右手で

彼女の頭を撫でた。

 

あ、でも

小藤 糸織

 

言われたんです

小藤 糸織

何…を?

 

次に殺す方を

小藤 糸織

え?

 

えーっと、名前は…確か…

 

なんとかエイコさん

小藤 糸織

橋本…映子?

 

そんなお名前でしたね

小藤 糸織

彼女が

小藤 糸織

次に殺す人を?

 

ええ

 

私がなかなか殺人を犯せないことを

 

まるで自分のことのように心配していまして

 

別に心配されるほど

 

人を殺すことに困ってはいないんですけどね

 

他人にはそう見えているようで

彼は首を傾げて

小藤の右手で顎を撫でる。

小藤 糸織

それで…彼女が…

小藤 糸織

私を?

 

はい

 

小藤糸織さんを殺してほしいと言われました

 

貴女が小藤糸織さんで間違いないですよね?

にっこりと微笑んで名前を呼ばれ、

小藤は心臓が高鳴ったのを感じた。

小藤 糸織

そう!私が小藤糸織

 

そうですか、よかったよかった

 

では

 

右足と左足、どっちを先に切りましょうか?

小藤 糸織

ヒッ…

小藤 糸織

 

左にしましょうか

小藤 糸織

は、は、はいっ

ギョリギョリ…

小藤 糸織

ぁぁぁぁぁああああああああ!!

小藤 糸織

ああああああぁぁぁぁぁぁ…

小藤 糸織

死ぬ…死ぬ…

 

そうですねぇ

 

もう少ししたら死んでしまうかもしれません

小藤 糸織

じゃ…あの…

 

なんでしょう?

小藤 糸織

私も…お願いしていいですか?

 

何をですか?

小藤 糸織

次に殺す人を

 

ふむ、いいでしょう

 

別にこれと言って

 

今はやりたいことがあるわけではありませんし

小藤 糸織

じゃあ、次は清水江美(しみず えみ)を

 

わかりました

小藤 糸織

(あはっ…ごめんね、B子)

小藤 糸織

(でも、あなたも…”死魔さん”に会いたいって言ってたよね?)

 

では、右足も切りましょうか

小藤 糸織

っ!!!

 

ふふっ…しっかり最後まで楽しませて下さいね

 

糸織さん

小藤 糸織

は、はいっ

名前を呼ばれて口元が緩む。

次いで襲い掛かってくるのは快楽ではない。

激痛である。

それでも、

小藤糸織は幸せだった。

”死魔さん”に出会えて、

”死魔さん”と会話が出来て、

”死魔さん”に名前を呼ばれて、

”死魔さん”に

殺されて。

小藤 糸織

じま゙ざん゙

 

……

小藤 糸織

ゴホッ

ノコギリの刃は、

確実に食道の半分を切断していた。

血を吐き、

それでも

小藤は微笑む。

小藤 糸織

ずぎで゙ず

 

おや、奇遇ですね

小藤 糸織

え…

 

私も

 

糸織さんが好きですよ?

小藤 糸織

ホントで

 

では、さようなら

小藤 糸織

あ゙

ノコギリが頸動脈を切ると、

鮮血が綺麗な弧を描いて吹き出し、

小藤は大きく痙攣を起こして

白目を剥いた。

 

ふぅ……

 

あれ?

 

もしかして、Likeではなく

 

Loveの方の好きだったのでしょうか?

 

……

床に転がり落ちた小藤の生首を見つめる。

 

まぁいいでしょう

 

こんな幸せそうな顔をして亡くなったのですから

 

嘘の方便というやつですよ

 

では、片付けますか

そう言って、彼は大きく背伸びをした。

 

先日、廃墟で亡くなったのは市内に住む小藤糸織さん、24歳であることが判明しました。

 

小藤さんは連続殺人鬼”死魔さん”を支援する掲示板に度々書き込みをしており、

 

その中には自ら信者であるという書き込みも見られました。

 

また、連続殺人鬼”死魔さん”の信者だと名乗る人たちが相次いで殺されていることから

 

警察ではこの”死魔さん”が事件と何らかの関係があると見て調べています。
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