フォス
俺たちを通してもらう!
シャドウ
何度も言わせるな
シャドウ
フォス…お前達を通す訳には行かない
シャドウ
私とて争いは好きではない
シャドウ
そして君達の命を取るまでもしたくはない
シャドウ
だから武器を捨ててさえくれれば斬らずに済む
フォス
それこそ何度も言わせるな!
フォス
俺は外に出るぞ!
シャドウ
………
シャドウ
ならこうしよう…
シャドウ
命は取らない
シャドウ
だが、進むための足は貰い受ける!
シャドウ
その足が無くなれば外に出ることは困難だ!
シャドウ
私からの最後の優しさを受け取るといい!
フォス
そんな情けを賭けられるくらいなら
フォス
俺は自ら命を絶つ!
フォス
本気で来いよシャドウ!
刀身に纏う水を操り水刃を作り出しそれをシャドウに向け幾つも飛ばす
シャドウ
(渡したばかりでこのレベルまで扱えるか)
シャドウ
(やはりフォス…お前は出しては行けない)
シャドウ
その程度で止められるほど私も甘くない!
対抗するようにシャドウもその大鎌を振り小さな竜巻を起こし、水刃を消し飛ばす
フォス
な!?
シャドウ
先に言おう…
シャドウ
私の使うこの鎌は貴様の使う
シャドウ
マジックウェポンなどという紛い物ではない
フォス
なに?
フォス
じゃあお前の持つそれは…
シャドウ
《神具》だよ
シャドウ
《神具 クロノス》
シャドウ
クロカゲ族の長が代々受け継いできた
シャドウ
由緒正しき神具だ
シャドウ
絶望したかフォス?
フォス
フォス
いや、そんなわけないだろ
フォス
神具を持ってるからって俺が引くと?
フォス
しっぽ巻いて逃げると?
フォス
残念だが脅しには屈しないぞ
シャドウ
まぁ、そんなことだろうとは思った
シャドウ
では、容赦なく私は使わせてもらう
フォス
あんたに貰ったこの剣
フォス
最大限まで活かして負かしてやる
シャドウ
武器の性能に実戦経験の数
シャドウ
お前に私は殺せない
シャドウ
それを今身をもって体験してもらう!
シャドウが鎌を一振すると幾つもの小さな竜巻が起こり、フォスに襲いかかる
フォス
こんなものぉ!!
その竜巻に臆せず剣を構えその荒れ狂う風の中にとその身を投げ出す
シャドウ
むやみに近づくとは…
シャドウ
貴様の水刃すらも消し飛ばす威力だ
シャドウ
死にに行くようなもの…
フォス
フォス
甘いな!!
シャドウ
なに!?
竜巻の中から先程見た水刃が四方八方に飛び出しシャドウを襲う
フォス
戦場で油断とは…
フォス
俺が相手だから舐めてるなお前?
シャドウ
くっ!?
フォス
お前の竜巻も利用させてもらう!
中に居たフォスは竜巻の気流に乗って、天高く飛び上がり
背に当てた炎の弓を取り出し、めいっぱい引きシャドウ目掛けてその矢を放つ
フォス
確かに俺の武器は神具の紛い物かもしれねぇ
フォス
でもよぉ?
フォス
こんな言葉があるんだぜシャドウ
フォス
『バカとものは使いよう』
フォス
劣化物でも上手く扱えれば神具すらも超える
フォス
それをお前にみせてやる!
シャドウ
小賢しい真似をするもんですね…
シャドウ
シャドウ
いくら高所からの攻撃だとしても
シャドウ
私をその程度で落とせると思うのは笑止!
シャドウ
私がクロカゲ族の長というのを忘れることなかれ!
空より降り注ぐ炎の矢をシャドウは、その大鎌を大きくまわし矢をはじき飛ばす
そして弾いた先にある先程放った残りの竜巻の気流に乗せてフォスに返す
シャドウ
戦闘を舐めてるのはどちらかな?
フォス
なっ!?
フォス
バケモンかよコイツ!
フォス
空で身動き取りずらいからって…
フォス
フォス
舐めてんじゃねぇぞ!!
フォス
うぉぉぉらぁぁぁ!!
空中で体をひねりその勢いを利用して水刃を作り出し飛んでくる矢を切り落とす
シャドウ
どちらがバケモノですかね…
シャドウ
あなたの行動も中々ですよ
シャドウ
しかし私にそれはもう効かないです
飛んでくる水刃を子猫を撫でるかのように鮮やかにいなして、身を守る
フォス
やっぱこの程度じゃまずいか…
シャドウ
さぁ!
シャドウ
地面が近くなってきたはずです
シャドウ
地に足をつける前にあなたの首を落とします
シャドウ
それで進軍が収まるのなら…
フォス
このまますんなり地面に着地は無理だよな…
フォス
一か八かだが……
フォス
フォス
正面切ってシャドウを叩く!
シャドウ
真正面から私とやるか?
シャドウ
その挑戦受けて立つ!
天から刺し貫く構えを取り、一気に距離を詰めるフォス
大地にて大鎌を下から上に狩りあげる構えをとるシャドウ
両者の射程距離内に入った瞬間、フォスは剣をシャドウに向け突き刺し
シャドウはその大鎌をフォスの腕ごと狩取るように切り上げる
両者のタイミングが噛み合い刃同士が接触し火花を起こす
空襲によるフォスの方が威力は高く、押し負けると判断したシャドウは素早く受身を取る
予想通りフォスに力負けし、シャドウの元いた場所は小さなクレーターが出来上がっていた
シャドウ
やはり位置エネルギー的な問題で私の負けですよね
シャドウ
まぁ、それを予知していたおかげで大事には至りませんでしたけど
フォス
ちっ……
フォス
大人しくやられていれば…
シャドウ
私にも引けぬ理由がある
シャドウ
それを話したはずだ
シャドウ
そう簡単にくたばる訳には行かなくてね
シャドウ
まだ始まったばかりだ
シャドウ
焦らずゆっくりやろうか
フォス
俺にはそんな暇はないんでね
フォス
(大地のドラムの効果がそろそろ切れる頃合いだ)
フォス
(こいつが切れれば俺に勝機はない)
フォス
(あの短い戦闘で分かった)
フォス
(確実に今の俺ではシャドウをやることは出来ない)
フォス
(だが、大地のドラムがあれば…)
フォス
(その差を何とか埋めることが出来る)
フォス
(どのくらい持つのかそれは分からないが)
フォス
(体感あと持って、3分程度だ)
フォス
(やり切れなくても、相手に大打撃さえ与えられれば)
フォス
(今の俺でもなんとかなるはず)
フォス
(今は作戦を練るよりも行動しねぇと…)
シャドウ
(あの血相の変わりよう…)
シャドウ
(大地のドラムが切れる頃合いか)
シャドウ
(ならば時間をかければ楽に落とせる)
シャドウ
(が、防衛ラインの状態は芳しくない)
シャドウ
(私の方も余裕は無さそうだ)
シャドウ
(仕方ない……)
シャドウ
(次の一撃で全てを終わらせてやる)
シャドウ
(カミツル族とクロカゲ族の悲しき歴史を)
シャドウ
(私達の代で終わりにしようフォス)
シャドウ
(互いにもう楽になるべきなのだから…)
フォス
こいつで終わらせる!
シャドウ
よかろう……
シャドウ
その誘いに乗ってやる!