テラーノベル
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98
それから一ヶ月。
何も起こらなかった。
奈々も元気に学校へ通っている。
奈々
奈々が笑う。
美咲も頷いた。
その日の帰り道。
空からぽつりと雨が降り始めた。
美咲
ふと前を見る。
遠くの交差点に誰かが立っていた。
赤い傘を差して。
美咲
美咲は立ち止まる。
しかし今度は少女ではなかった。
制服姿の見知らぬ男子生徒だった。
その男子生徒はゆっくりこちらを向く。
雨音の中。
その声だけがはっきり聞こえた。
男子生徒の後ろには――
もう一本の赤い傘が立っていた。
まるで新しい獲物を探しているように。
こうして赤い傘の噂は終わらなかった。
雨の夜。
もし前を歩く赤い傘を見つけても――
決して追いかけてはいけない。
コメント
1件
いやあ…「何も起こらなかった」からの、あの雨の日の再会というか邂逅の描き方が絶妙ですね。読んでるこっちは「あれ、本当に終わったのかな」って油断しかけてたところに、一本じゃなくて二本の赤い傘が立ってるカット。男子生徒の「君にも見えるんだ」というセリフも、視線の誘導が上手くて背筋が冷えました。ホラーとして「終わらせない怖さ」を選択したのが良いですね。続きが気になります。