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数ヶ月後…
宇髄
朝の空気がまだ冷たい頃、宇髄天元のその一言で、如月りんねの一日が始まった。
日輪刀を背負い、りんねは軽く頷く。
りんね
天元は少し口角を上げると、ふっと視線を逸らす。
そして、静かに言った。
宇髄
りんね
驚いて顔を上げたりんねに、天元は真っすぐな目で向き合った。
宇髄
宇髄
宇髄
俺が行かなくて死んだら、お前はそれまでの人間だったってことだ。
冷たい言葉。でも、その奥には“信じている”という覚悟も見えた。
胸がぎゅっと苦しくなる。
でも、りんねは下を向かなかった。
りんね
天元はその言葉に目を細め、満足げに笑った。
宇髄
初めての任務――それは、りんねにとって試練の始まりだった。
目的地は、東の山間にある静かな村。
日が沈んでから、人が一人ずつ消えているという報告が上がっていた。
日が沈み、山の中にぽつんと灯る家の屋根にりんねは身を潜めていた。
りんね
風が止まり、木々のざわめきも凍りついたように感じる。
そのときだった
ぬるりと暗闇から現れたのは、女のような姿の鬼だった。
白い髪、割れたような赤い瞳、歪んだ笑み。 背中には鎖のような装飾をまとっている。
りんねは、すっと刀を抜く
りんね
鬼が、一瞬で距離を詰めてくる――
りんね
避けきれず、鬼の爪が肩を切り裂く。
りんね
地面に転がり、足を踏ん張ったとき――
グキッ――!
りんね
足をひねった。右足首に痛みが走る。
鬼は笑っている。
怖い。怖い。頭が真っ白になりそうになる
でも――逃げない。
天元の言葉が浮かぶ。
死んだら、それまでの人間だったってことだ。
りんね
震える手で剣を握る。足は痛む。でも――動ける。
呼吸を整える。未熟な音の呼吸、それでも前に出る。
りんね
ぎこちない構えでも、思い切り斬った一撃が、鬼の肩口を裂く。
鬼が襲いかかってくる。 飛びのききれず、頬にも傷。視界が赤くにじむ。
りんね
でも、その中で、りんねの目に“過去”がよぎる
家族の顔。鬼に奪われた日。天元に拾われた日。
「鬼殺隊になりたい」と願った、自分自身―
りんね
りんね
叫びながら、全身の力で踏み込む。 足が痛む。体が悲鳴をあげる――
でも、斬った。
――ザンッ!!
鬼の首が宙を舞い、血飛沫と共に崩れ落ちる。
りんね
りんね
初めての戦い。生き延びた。 それだけが、今の誇りだった。
りんね
目の前が暗くなってくいく。
――ドサッ。
山道を歩いていたひとりの男が、血の匂いに足を止めた。
?
彼が視線を向けた先、木の陰に、ぐったりと倒れている少女の姿。
?
?
?
?
歩み寄って、膝をつく。
近くに転がっている鬼の灰、そして完全に首のない死体の跡。
そして、傷だらけの体で微かに呼吸している少女。
?
不死川は深くため息をつきながらも黙って、りんねを背負い上げた。
小柄な体は、思っていたよりも軽い。
不死川
そう吐き捨てるように言いながら、足取りは早かった。
―蝶屋敷―
胡蝶しのぶが、包帯を巻きながら診察を進める
胡蝶
不死川は、壁にもたれて腕を組んでいた。 顔をそむけながらも、ちらりとりんねを見ている。
不死川
しのぶがふっと笑う
胡蝶
不死川
胡蝶
胡蝶
沈黙が落ちる。
不死川
しのぶはカルテを見ながら微笑む。
胡蝶
不死川は鼻で笑いながらも、どこか目を細めていた。
不死川
小さくつぶやいたその言葉に、しのぶは聞き返さなかった。
りんねの手は、まだかすかに震えている。
だがその手で、確かに“十二鬼月”の一角を斬った
不死川
不死川実弥がぽつりとそう言ったのを、 部屋の誰もが、聞こえなかったふりをした。
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