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薄暗い治療室。 寝台の上で、如月りんねは静かに眠っていた。
りんね
呼吸は落ち着いてきたが、まだ意識は戻らない。
傷にはしのぶが丁寧に包帯を巻き、回復の薬を塗ってある。
窓の外では、風鈴が涼しく鳴っていた。
胡蝶
胡蝶しのぶが、りんねのそばで静かに呟く。
胡蝶
不死川
壁にもたれていた不死川実弥が、腕を組んだまま言う
不死川
不死川
胡蝶
胡蝶
🚪カラカラッ――
そのとき、引き戸が音を立てて開いた。
宇髄
現れたのは、派手な装束を纏った男。 音柱・宇髄天元だった。
不死川が目だけでちらりと見る。
不死川
宇髄
ぴり、と空気が揺れる。
しのぶが柔らかく微笑みながら、さらりとその空気を切った
胡蝶
不死川
宇髄
2人は同時にそっぽを向いた。
宇髄はりんねに歩み寄り、じっと寝顔を見下ろす
その顔には、いつもの軽薄さがない。
宇髄
りんねの頬を撫でながら言う。 そう呟いた声には、ほんの少しの震えが混じっていた。
不死川
不死川が横目で見る。
不死川
宇髄は黙ったまま、りんねの髪をひと房、そっと払った。
宇髄
しのぶがくすっと笑う。
胡蝶
宇髄
しばらく、3人とも無言でりんねを見つめる。 その背に、体に、命を懸けた痕が残っていた。
胡蝶
しのぶの問いに、天元はすっと答える。
宇髄
不死川は口をへの字に曲げたが、何も言わなかった。
ただ一言、ぼそりと呟く。
不死川
宇髄もそれに応じるように、笑いを含ませる。
宇髄
宇髄
また静かになる部屋。 ただ、りんねの小さな寝息だけが、優しく響いていた。
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