マサッキー
それじゃ、改めてフリップをどうぞー!

ミノリカワ
業務上で必要なことをやっただけだ。

ミノリカワ
それ以上でも、それ以下でもない。

ミノリカワ
確かに、彼女の死は悼むべきことだが、しかし原因が自分にあったとは考えていない。

この時点で、合計が【10】を越えることはなくなってしまった。
ユキノ
同じく、私もそう思う。

ユキノ
社会に出れば厳しく扱われるのは当然。むしろ、それは社会人として認めていたからのこと。

ユキノ
それを受け入れられなかったユキさんの心が弱かっただけ。

キジマ
なーんだ、それならわざわざ心にも思っていないことを書く必要もなかったね。

しかし、彼の場合は素直に罪を数値化したわけではないだろう。
ミホ
なんなの……これ。

ミホ
みんな、何がしたいの?

ミホ
これ――合計で【10】以上にならないと、和解できないんだよ?

自殺をしたユキに対する罪の意識は――【10】を上限したとしても、たったの【4】だ。
ユエ
……当事者中の当事者が、まさか【0】を書くとは思っていませんでした。

ユエ
やっぱり、救いようのない方々でしたね。

ユエ
残念です。

ユキノ
な、なんとでも言いなさいよ!

ユキノ
これまで、あんたは最終的に赦される側が不利益を被るような提案ばっかりしてきた。

ユキノ
どれを選んでも、何を選択しても、結局のところ不利益が生じる。

ユエ
そんなことはありませんよ。

ユエ
ちゃんと、助かる道は用意していました。

ユエ
ミホさんは選択を誤らなければ、今のようなお顔にはなっていなかった。

ユエ
インフルエンサーのお仕事も続けることができたでしょうし、治療でしっかり治る程度の怪我しかしなかった。

ユエ
あなた達だってそう。

ユエ
早い段階で正しい対処ができていれば、被害は最小限に抑えることができました。

ユエ
キジマさんの件は――ちょっと立場を見誤ってしまったため割愛しましょう。

キジマ
まんまと、僕にしてやられたからね。

ユエ
黙りなさい。

ユエ
とにかく、もっとも罪を背負うべき人間が、罪の意識を持っていなかったことが残念でなりません。

ユキノ
なんとでも言いなよ!

ユキノ
あんたの思い通りならここで私達が必死に【10】を目指して、誰かが【3】を出す。

ユキノ
あなたの割合の中では、私と彼が【3】で、残りの2人が【2】くらいだと踏んでたんでしょ?

ユキノ
おめでとう、思い通りに彼と彼女は【2】だった。

ユキノ
本心はさておき、あんたの思い通りに罪を認めた。

ユキノ
でも残念――本丸は落とせなかったね。

ミノリカワ
残念だけど、仕事をする以上、仕方のないことだ。

ミノリカワ
それに耐えられなかったユキさんのメンタルが弱かったとしか――。

ユエ
……全力で殴っておいて、当たりどころが悪かったで、済ませられますか?

ユエ
車で轢いておきながら、相手の体が弱かったからだと言えますか?

ユエ
――最後まで信じてあげようと思いましたが、甘かったようです。

ユエ
この……外道どもがぁぁぁぁぁ!

ユキノ
なんとでも言いなさいよ。

ユキノ
私達は必ずしも【10】を狙う必要はなかった。

ユキノ
【3】を出したら殺されるかもしれないけど、それ以外を出しておけば殺されることはない。

ユキノ
【10】に到達しなくてもペナルティーはねぇんだよ!

ユキノ
声荒げてビビらせようって魂胆かもしれないけど、そんなの通用しねぇんだよ!

ユエ
……えぇ、ペナルティーはない。

ユエ
でも――あなた達は失った。

ユエ
唯一、私と和解する手段を。

ユエ
こちらが最大限の譲歩をしたのに……罪さえ認めれば、命だけは助けてやると言ったのに。

ユエ
何を偉そうに宣っているのか――神経を疑います。

ユキノ
えっ……?

ユエはカウントダウンを続けるタイマーへと視線をやる。
ユエ
お忘れですか?

ユエ
この番組のコンセプト。

ユエ
お互いに和解が成立しなかった場合、どうなるのか。

制限時間までに和解が成立しなかった場合は……赦す側、赦される側、共に処刑される。
ミノリカワ
ま、まさか……。

ユキノ
あんた、自ら死ぬつもりなの!

ユエ
私の命と引き換えに、あなたがたを地獄の底まで引きずり込めるのであれば本望。

ユエ
多くの方々が観ている前で【断罪の魔女】は中途半端なことをするわけにはいかない。

ユエ
必ずや、ルールに則って、私の信頼できる仲間がやってくれます。

ユエ
……私達の処刑を。

ミホ
ええっ!

ミホ
私完全に巻き添えじゃん!

キジマ
あんた狂ってるよ。狂ってる……でも、嫌いじゃない。

ユキノ
ど、どうするの?

ミノリカワ
ど、どうすると言われても!

ユエ
屋上にのぼったユキは、どんな思いで目の前の景色を見ていたのか――。

ユエ
今なら少しだけ分かる気がする。

ユキノ
わ、和解しなさいよ!

ユキノ
そうじゃないと、あんたも死ぬんでしょ?

ユエ
えぇ、死にます。

ユエ
それがどうかしましたか?

ミノリカワ
い、命を簡単に扱うんじゃない!

ミノリカワ
君のことを大切に想っている人もいるだろう?

ユエ
私の大切な人を奪っておきながら、どの口が言えたのか。

ユエ
大切に想っている人がいる?

ユエ
その大切に想ってくれていた人を殺したのは誰?
