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井川かすみ

うちに何かご用ですか?

平常心を保とうと意識したが

かすみさんの心臓はずっとバクバクしていた

芹沢大和

はじめまして

男性の方がかすみさんに話しかける

芹沢大和

臨床心理士の芹沢と申します

そう言って資格登録証明書を提示してきた

井川かすみ

臨床心理士……

前にもここに臨床心理士を名乗る人物が来たことがあった

この人も同じ用件だろうと思ったかすみさんは

井川かすみ

あすみに会わせることはできません

そう言って追い返そうとした

井川かすみ

熱を出して寝込んでいるんです

前に来た臨床心理士はこれで引き下がったため

今回も同じ手で追い返すことを思い付いたのだ

しかし

今回の臨床心理士は引き下がらなかった

芹沢大和

いえ、あすみさんではなく、静(じん)さんにお会いしたくて

井川かすみ

は!?

背筋が凍った

予想外の回答に焦りと緊張が高まっていく

そもそもなぜあすみさんではなく静さんなのか

それがわからずただただ困惑する

井川かすみ

静に何の用があるって言うの!?

思わず過剰に反応して声のボリュームが上がる

額からは汗が滲み

もう動揺を隠すことができなかった

井川かすみ

か、帰って!!

焦りで言葉に詰まる

芹沢大和

少しだけでいいので

それでも引き下がらない男性に

井川かすみ

帰って!!

焦りと苛立ちが更に増していく

何とかして追い返さなければ

そう思った直後

突然、隣にいた女性が叫んだ

沢田マリカ

静さん!!

沢田マリカ

いるんだったら返事してください!!

井川かすみ

ちょっと!!やめて!!

こんな大声を出されたら近所の人に気づかれてしまう

沢田マリカ

静さん!!

それでも叫ぶのをやめない女性に

かすみさんは負けないくらいの大声で怒鳴った

井川かすみ

やめてって言ってるでしょ!?

井川かすみ

いい加減にしないと警察を……

そう言いかけたところで止めた

今ここに警察が来て家の中を見られたら

あの部屋の存在が明るみになる

井川かすみ

(そんなことになったらお義母さんに叱られる!)

なんとしてもこの人たちを追い返さなければ

瞬時にそう判断したが

高城寛貴(所長)

どうぞ、呼んでください

更に別の男性が二人も現れ

かすみさんの焦りはピークに達していた

警察よりも何よりも義母の存在が怖かった

なんとか平気なふりをして応戦しようとしたが

井川かすみ

な、何なのよ!!

焦りからかうまく言葉が出てこない

高城寛貴(所長)

ですから、警察を呼んでいただいて構わないと言ったんです

それでもなんとか動揺を悟られないようにと

井川かすみ

は!?

井川かすみ

頭おかしいんじゃないの!?

わざと大きな声を出して威嚇

なんとしても追い返そうと必死だった

高城寛貴(所長)

我々は逃げも隠れもしません

高城寛貴(所長)

不審者が来たと言えば直ぐに来てくれますよ?

家の中の様子も気になり

チラチラと家の方を見てしまっていた

この騒ぎで静さん本人が出てきてしまうかもしれない

そんな思いが駆け巡る

沢田マリカ

え?

少し驚いたように女性が二階の方を見ている

しかも視線の先はあの部屋の窓

よく見ると窓が少し開いていた

井川かすみ

(静……)

隙間から静さんらしき人影が見える

芹沢大和

どうした?

沢田マリカ

芹沢さんあそこ!

芹沢大和

あれは……

そこで女性の言葉に反応した静さんが窓を閉めた

渇愛と純情ー愛の鎖に繋がれてー

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