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テラーノベル(Teller Novel)

あいつは、警察学校時代から厄介な奴だった。

射撃訓練

教官

次、上田!

上田

はい

回転式の拳銃を左手に握り、

照準を定める。

上田

すぅー

撃てるのは3回。

俺はトリガーに指をかけて、そっと深呼吸をした。

パァンッ

パァンッ

パァンッ

他生徒

おおっ

1発、心臓を撃ち抜いていた

その他2発も胴体に命中している

警察学校生徒の中では優れた方に入れただろう

上田

…よし

教官

上田、なかなかやるな

教官

次、犬山!

犬山

はい

自分の番が終わり、安堵した気持ちで外を眺めていると、

3発の銃声が鳴り終わるや否や、歓声が響き渡った

他生徒

お、おい

他生徒

3発とも急所だぞ…

教官

素晴らしい、経験したことはあるのか?

犬山

まさか、初めてに決まってんだろ

犬山

大体、さっきの奴くらいで驚いてる方がおかしい

上田

…なんだと

教官

やめとけ、ほら次!

ただのイキリか何かだろう

初めはそう見ていた。

だが、その実力はまさにトップクラスであった

上田

犬山、といったか

犬山

ああ?何の用だ

上田

いや、仲良くしたいと思ってな

上田

お前、頭脳も優れてそうだし、協力仲間になってくれないか?

犬山

ふっ、なるわけねーだろ馬鹿

上田

…っ

犬山

大体、俺の嫌いな奴が分かるか?

犬山

陰湿で手口の汚ぇやつだ!

犬山

俺が易々と協力してやるとでも思ったか?

上田

…すまない

犬山

そういうとこだっ!

犬山は俺の胸ぐらを掴んだ

上田

やめておいた方がいい

上田

教官に見つかったら後悔するのはお前だ

犬山

舐めんじゃねぇ!

上田

その途端、犬山は俺を殴りつけた

上田

うっ

止めてくれるような人は近くにいない

面倒だがやるしかない

そう思った。

犬山

おらっ、思い知れ!

こちらへ向かってくる拳を避け、下から顎を殴りあげる

犬山

ぐっ…!

上田

あ、ごめん

やりすぎてしまった

犬山の鼻からは血が流れ出ていた

犬山

く、くそが…

犬山

覚えとけよ……

他生徒

すごいな上田!

他生徒

あの犬山に勝ったのか!?

上田

勝ったって…

上田

仲間同士で勝負なんてするもんじゃない

上田

喧嘩を買った時点で俺の負けだ

他生徒

それでも凄ぇよ!

他生徒

犬山、よく難癖つけては自分の実力を知らしめてからよ、

他生徒

仕返しもできないんで困ってたんだ

他生徒

スッキリしたよ

上田

いや…その

上田

それはどうも

優等生として警察学校を無事卒業する

それが第1ゴールだった俺は、喧嘩なんて以ての外だったが、

犬山に勝てた時は、

なぜか嬉しかった

いや、1種の快感だったのだ。

そう考えれば俺は、犬山と違って表面に出していないだけで、

1匹の狂犬だったのかもしれない。

犬山はその素行の悪さから、能力こそ良かったものの、

首席を俺に譲って卒業した。

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コメント

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次回 第25話『狂犬覚醒』 【あらすじ】  水井、黒島、倉吉を喪い、いよいよ歯止めが効かなくなる犬山。犬山の中で眠り続けていた狂犬が、遂に覚醒する……。

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