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花子さん

あら

花子さん

美奈に憑いてる奴以外にももう一人いるって?

花子さん

どうしてそう思うのかしら

本田芙蓉

憑いておるのが誰かにもよりますが

本田芙蓉

仮に間沼すばるという生徒の霊であったなら

本田芙蓉

彼は恐らく、去年の春から憑いておったはず

本田芙蓉

しかし美奈ちゃんはおろか

本田芙蓉

わしにさえもその事実を悟られぬほど

本田芙蓉

はるかに微弱な霊であったと思われます

本田芙蓉

それがここ数日で急激に力をつけた

本田芙蓉

あの子でさえも察知できるほどにじゃ

本田芙蓉

――で、あれば

本田芙蓉

何者かの入れ知恵かなにかがあったと

本田芙蓉

そう勘繰るのは、不思議なことではありますまい

花子さん

なるほど

花子さん

ちなみに悟

久留間悟

はい!?

花子さん

アンタは同じ質問をしようとしてたの?

久留間悟

え、あー

久留間悟

とりあえず美奈ちゃんに憑いてるのが誰かが

久留間悟

いつから憑いてるのかは聞こうと思ってたよ

久留間悟

学校内でしか憑いてないって話だったから

久留間悟

いつ憑いたかが分かれば

久留間悟

そこから霊の素性とか

久留間悟

その霊が執着している場所も分かるし

久留間悟

今回は花ちゃんにいじめられてたせいで

久留間悟

じっちゃんのほうが先に情報集めちゃったけど

花子さん

は?

花子さん

なに、私が悪いの?

花子さん

約束をすっぽかしたアンタが悪いんじゃなくて?

久留間悟

すみません俺が悪いです!!

本田芙蓉

花子さん

本田芙蓉

ご回答を

返答を急かすように、本田の目が花子を射貫く。

その眼光に肩をすくめ、花子はにんまりと中空に足を組んだ。

花子さん

さすがはご明察というところよ

花子さん

美奈に憑いているのは間沼すばる

花子さん

ふよ坊と美奈の結婚式の翌日自殺したけど

花子さん

美奈を諦められず、ずっと憑きまとってたわ

花子さん

彼は学校での美奈の姿しか知らなかったから

花子さん

校内でだけだけど

本田芙蓉

やはり左様ですか

久留間悟

でも、急に力を増した?

花子さん

ええ

花子さん

ひと月ほど前に一週間ほど

花子さん

……妙にソワソワしてしまうような

花子さん

なにをしていても居心地が悪いような

花子さん

じっとしていられないほど危なそうなナニカが

花子さん

校内に入ってきたわ

本田芙蓉

一週間、ですか

久留間悟

そいつが美奈ちゃんに憑いてた奴に

久留間悟

なにかしたってことかな

花子さん

断言はできないけど

花子さん

ソレが頻繁にすばると接触してたのは確かよ

花子さん

校内の至る所で、他の怪談たちが目撃してるわ

本田芙蓉

その姿はいかようなものでしょうかな

花子さん

……むずかしいわね

久留間悟

目撃者多数なんでしょ?

花子さん

表現できないのよ

花子さん

私たちには――ソレがよく、見えないの

本田芙蓉

見えない?

花子さん

原理もなにも分からないわ

花子さん

ただ、ぼんやりと見えるだけ

花子さん

例えるなら、ちょっと霊力の強い人間が

花子さん

偶然に霊を見たときみたいにね

本田芙蓉

――面妖ですな

花子さん

だけど、ソレはもう出て行ったわ

花子さん

ちょうどすばるの霊が強くなったのと同時期にね

久留間悟

……キナ臭いね

本田芙蓉

じゃな

本田芙蓉

しかしその行方や正体を暴くのは後回しじゃ

本田芙蓉

とにかく下手人は判明した

本田芙蓉

あとは美奈ちゃんが引き込まれた場所を

本田芙蓉

正確に知ることができれば――

途端、上空に人影――否、書影が現れた。

ポスト

ボス、みっけた!

ポスト

お嫁ちゃんの落ちた隙間あったよー!!

興奮した様子のポストの声が、トイレの壁に反響する。

その言葉にわずかに安堵の息を吐き、

本田は深々と花子に頭を下げた。

本田芙蓉

ご助力、感謝に尽きません

本田芙蓉

今は持ち合わせがございませんが、いずれお礼を

花子さん

そんなのいいわ、早く行きなさい

花子さん

目に入れても痛くないほど可愛い新妻でしょ

花子さん

さっさと取り返していらっしゃい

ポスト

ここ!ここだよ!!

ポスト

すっげー分かりづらいんだけど

ポスト

ここでパッキリ途切れてる!

ポスト

すっげーちっさい歪みがあるの!

ポスト

分かる!?

本田芙蓉

ふむ

本田芙蓉

……わしの目には見えんが

本田芙蓉

確かに指先に触れる渦のようなものがある

本田芙蓉

さすがはポストじゃ

ポスト

エッヘン!!

久留間悟

渋の字呼んでくる?

本田芙蓉

いや、それには及ばん

本田芙蓉

くーちゃん、美奈ちゃんの守護祈祷を頼む

本田芙蓉

渋やんも今まさに続けてくれておるが

本田芙蓉

仏だけでなく、神からも守護をいただきたい

久留間悟

はいよ

本田芙蓉

ポストはわしとおいで

本田芙蓉

美奈ちゃんを無事に救出したあと

本田芙蓉

祈祷中のくーちゃんと渋やんを呼んで欲しい

ポスト

はいはーい!

本田芙蓉

では、いざ

皺だらけの顔が柔和に笑んだと思った瞬間、

羽織の下からずるりと模造刀が現れる。

鞘に収められていながら異様な迫力を放つそれに、

ポストが言葉を失うのと時を同じく

瞬きの早さで鯉口が切られた。

本田芙蓉

でやぁああああああ!!

窓を震わせるほどの発声とともに、白銀が中空を切り裂く。

再び刀身が鞘に収められてから、

ずずとズレ落ちるように広がった歪みに

久留間は顔を引きつらせて小さく拍手した。

久留間悟

……おさすが

ポスト

ポスト

ボス、なんかいつもと違う

本田芙蓉

怖がらんでもよいよポスト

本田芙蓉

これをお前さんに振るうつもりはないからの

ポスト

……あ

ポスト

これもしかして、ボスの全開……

本田芙蓉

ゆくぞ、ついておいで

ポストの言葉をさえぎり、本田が口元だけで笑む。

けれど表情から察せる内心に、ポストは背表紙をピンと伸ばし

久留間は一礼して足早に祈祷へ向かった。

歪みの向こうからは冷え冷えとした霊気が漏れる。

それを枯れ木のような手で振り払い、

本田は冷ややかな視線で足を進めた。

本田芙蓉

諦め悪く、他人の妻となった者にまで手を伸ばす若人よ

本田芙蓉

もしあの子に涙一粒でも流させておれ

本田芙蓉

優しく祓ってやるわけにはいかんぞ

掠れた声色でこぼれ落ちるのは

怒りと言うよりも、もはや呪詛に近い。

それを真横で聞きながら、ポストは初めて目にする本田の姿に

少しだけ

ほんの少しだけ、ときめいていた。

カタヅケ屋霊異記【完結】

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コメント

22

ユーザー
ユーザー

ときめくんかい笑

ユーザー

ふわー!!お見事!! じっちゃんバリくそカッコイイなぁ! いや、しかし怪異達にも捉えられないモノとは一体...🤔 あ、悟くんの台詞なんだけど、花子さんに何を聞こうとした?って訊ねられて初めに答えた1文、最後ってあれは方言みたいな?それとも誤字? それから、ポストが可愛いです。ありがとうございます🤗🤗🤗

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