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彼岸 湊の事件簿

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彼岸 湊の事件簿

4 - 幕章その1 転校生前篇

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2020年10月08日

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午後20:15 湊自室

(あの事件からもう1週間になるのね…)

結月の死から1週間が経った。

まだ湊はその時の事件を引きずっていた。

…雨

外は雨が降っている。

もう梅雨の時期ね…

あと数日で6月になろうとしていた。

そういえばそろそろあの集まりか…

めんどくさいなぁ…

悠も来てくれるかな。

去年も来てくれたけど…

…明日聞こう。

そこで湊の携帯が鳴った。

あれ、悠からだ…

悠から着信が来ていた。

どうしたんだろう…

取り敢えず出てみよう。

湊は悠からの電話を取った。

もしもし、湊。

悠、どうしたの?

夜遅くにすまないな。寝る所だったか?

うん。でも悠なら大丈夫だよ。

そうか。

それでどうしたの?

そろそろお前、親族会議の時期だろ?

覚えててくれてたの?

そりゃあ毎年付いて行ってるからな。

今年もあるんだろ?親族会議。

…うん。

それで…お願いあるんだけど…

『今年も一緒に来てくれ』だろ?

…そう。

一緒に…来てくれる?

ああ、勿論だ。

元々、俺から付いて行くって言うつもりだったからな。

悠…

ありがとう。

いやいいさ。

俺がお前の立場だったら、行きたくないからな。

気持ちは分かる。

それじゃあ、日程が決まったら教えてくれ。

分かった。

じゃあな。

悠。

ん?

また明日、学校で。

ふっ、ああ。

おやすみ。

そう言うと悠は電話を切った。

良かった…今年も悠が来てくれる…

でもこのままじゃダメだよね。

…ちゃんと向き合わないと。

湊はそう強く決心した。

眠い…

まだ夜の20時だが、湊が眠くなるのは普通だ。

湊はいつもこのぐらいの時間に寝ている。

特に理由は無いが、子供の頃から寝るのが早かっただけだ。

湊は歯を磨き、電気を消し、ベッドに横になり、ほんの数十秒で眠りに落ちた。

翌日。

湊と悠はいつも通りに公園に集合し、教室に来た。

クラスメイト達と挨拶を交わし、自分の席へ着く。

彼岸さんおはよー

右斜め前の席のクラスメイト、島崎 桜が話しかけてきた。

島崎さん、おはよ。

ねぇねぇ聞いた?今日転校生が来るんだって!

転校生?

うん。なんでも、帰国子女らしいよ〜。

帰国子女…すごいね。どんな人なんだろう。

気になるよね!帰国子女ってくらいだから、英語ペラペラなんだろうねー。

金髪ロングの子かな〜。

まだ女の子って決まったわけじゃないよ。

あ、そっかぁ…。

でも金髪って部分は案外当たってるかも!

確かに金髪のイメージが強いかな。

そうだよね!

なんだ?転校生が来るのか?

あ、蘇芳君おはよー。

うん、帰国子女らしいんだ。

ほう、それは興味深いな…

うん、どんな人なんだろうねー。

そんな会話をしている内にチャイムがなり先生が入ってきた。

2-B担任教師

えー、今日はまず転校生を紹介する。

2-B担任教師

入ってきていいぞ。

そう言うと出入口から1人の少女が、教室へと入ってきた 。

アリス

少女が入ってきた途端にクラスがざわついた。

クラスメイトA

小さい…

クラスメイトB

わぁ…かわいいー

2-B担任教師

静かに。

2-B担任教師

コホン、今日から君たちのクラスメイトになる、八雲 アリスだ。彼女は帰国子女で久しぶりに日本に帰ってきたらしい。

アリス

八雲 アリスです!ふつつかものですが、よろしくお願いしますのです!

2-B担任教師

皆、仲良くしてやってくれ。

アリスは背がこのクラスにいる誰よりも小さかった。高校生には見えない見た目をしていて、小学生と言われても違和感はなかった。

クラスメイトC

よろしく〜

1人のクラスメイトが挨拶をすると、次々に他のクラスメイト達も挨拶をした。

2-B担任教師

それと八雲の席は…

2-B担任教師

彼岸の前が空いてるな。

2-B担任教師

八雲、あそこでいいな?

アリスに分かるように、席を指差した。

アリス

はいです!

そういうとアリスは、指示された席へと向かった。

クラスメイトB

(うわ…)

クラスメイトC

(かわいそう…)

クラスメイト達は小声でそう呟いていた。

それもそのはず。指定された席は、亡くなった雪音の席だった。

アリスは席の前に来ると、周りの人達に軽く挨拶をした。

アリス

アリスと言います!これからよろしくなのです!

私は彼岸 湊。よろしく。

俺は蘇芳 悠。よろしくな。

私は島崎 桜!よろしくね!八雲さん!

アリス

はいなのです!

この学校のことで分からないことがあったら、悠に聞くといい。

悠はここの生徒会長だから。

ああ、分かる範囲で答える。なんでも…とは言わないが、何か分からないことがあったら聞いてくれ。

アリス

生徒会長…

ん?どうした?

アリス

アリス

凄いのです!私びっくりです!

ははっ、お褒めに預かり光栄だ。

ふふ、なんだが賑やかになりそう。

湊…

ああ、そうだな。

悠は湊の笑った顔を1週間ぶりに見た。

休憩時間

今は1限目と2時限目の間の休憩時間だ。

クラスメイト達はアリスの周りに集まっている。

クラスメイトB

ねぇねぇ!どこの国に今まで居たの?

アリス

えーと、アメリカです!

クラスメイトC

先生が久しぶりに日本に帰って来たって言ってたけど、日本には何年ぐらい居たの?

アリス

確か、6年くらいだっ…

クラスメイトA

なんで外国に行ったの?

アリス

それは両親の仕事の…

仕事…もしかして八雲ってあの八雲グループの!?

アリス

え、は、はい。多分皆さんが思ってる物だと…

クラスメイトD

すっげぇ!それじゃあお嬢様かよ!?

アリスは質問攻めをされている。

そんな姿を湊と悠は後ろから見ていた。

八雲グループって確か、世界的に有名な大企業だっけ?

ああ。色々な企業に関わっている。自動車やら飲食店やら食品やら、例を挙げたらキリが無い。

凄い所のお嬢様なのね…

そう言うお前だって一応お嬢様だろ?

私は戸籍上だけ。八雲さんとは全然違う。

私は偽物。彼女は本物よ。

そうか…

いや…そうだったな…

湊は、取り囲まれてるアリスを見て静かに頷いた。

昼休み

相変わらずアリスはクラスメイトに囲まれ、質問攻めを受けていた。

クラスメイトB

ねぇねぇ…

クラスメイトA

八雲さんってさ…

アリス

み、皆さん落ち着いて…

クラスメイトD

なぁなぁ…

アリスは質問攻めを受け、明らかに困っていた。

はぁ、仕方ない。助けるか…

悠はアリスに近付く。

だがそれを湊が止める。

湊?

私が行く。

ふっ、そうか。

ごめん、少し退いてくれる?

クラスメイトC

何?彼岸さん。

クラスメイトD

なんだよ彼岸。

八雲さんに用があるの。

だから道をあけて。

クラスメイトB

いや、私達が先に話してるんだけど…

今の状況を話してるとは言わない。

あなた達が一方的に質問を投げかけてるだけ

クラスメイトA

な、なんだよ、偉そうに!

クラスメイト達が湊の方を向いて、私達が先に話してた等と言っている。

私は…

私は彼岸さんの言う通りだと思う。

クラスメイトB

ちょ、桜まで…

だってほら、八雲さん困ってんじゃん。

アリス

い、いえ私は…

それに私達は午前の休み時間の時も八雲さんにずっと質問してたし。

島崎の言う通りだ。

クラスメイトD

す、蘇芳…

皆が質問攻めをしてたら彼女は休めないだろ?

クラスメイトA

うっ。た、確かに…

クラスメイト達は納得し、道をあける。

八雲さん。

アリス

な、なんですか?

付いてきて。

湊はアリスの手を取る。

アリス

わわっ!ひ、彼岸さん、どこ行くんですか?

悠も来て。

ふ、中々強引だな。

湊とアリスは教室の出入口へと向かう。

それに続き、悠は鞄からある包みを取り出し、湊に付いて行った。

クラスメイトB

なんなの?あれ?

クラスメイトC

さぁ?

…あー、なるほどねー。

クラスメイトB

え、なに?

ううん、なんでもない。

(きっと昼食ねぇ。)

そう。湊はアリスを昼食に連れ出す事が目的だった。

それもクラスメイト達には知られずに。

知られたらきっと私も、俺も、となるからだ。

そうなってしまっては、アリスを連れ出す意味が無くなってしまう。

アリスを休ませるという目的が。

中庭

アリス

ひ、彼岸さん、ここは?

中庭だよ。

湊はアリスを中庭に連れてきた。

アリス

なんで中庭に来たのですか?

…ごめん無理矢理連れてきて。

でもこれしか方法が無かった。

アリス

方法?

うん。八雲さんを連れ出す方法。

アリス

私を…連れ出す?

…八雲さん辛そうだったから。

アリス

ふぇ!?私そんなに辛そうに見えました?

その発言だと自覚あったみたいだね。

アリス

はい…

アリス

皆さんには申し訳ないのですけど、あまりああ言うのは…

仕方ないだろ。ああやって質問攻めを受けたら疲れないはずが無い。

お前が気に病む必要は無い。

アリス

分かってますけど…

…アメリカの学校にいた時の事に関係ある?

アリス

え、何でそれを…

…多分八雲さんがアメリカへ引っ越したのは、丁度小学校に上がるくらいかな。

そこでも今日みたいに転校生として編入して来た。

その時にさっきみたいな質問攻めをされ、答えられなかったから仲間外れにされた。

アリス

その時のようにならない為に、頑張って答えようとしていた…ってところかな。

アリス

どう?当たってる?

アリス

凄いです…

アリス

彼岸さん凄いです!名探偵です!!!

アリス

どうして分かったのですか!?

…多分引っ越した時は英語が喋れなかった、だから受け答えが出来なかったって思ったから。

アリス

た、たったそれだけで…凄い、凄いです!

アリスは興奮している。

アリス

本当に名探偵みたいです!!

それで当たっていたの?

アリス

アリス

はい…彼岸さんの言う通りです。

アリス

私は小学校に入学した頃両親の仕事の都合でアメリカに引っ越したのです。

アリス

そこでは私はずっと馴染めなかったです…

アリス

英語も片言でしか喋れなくて…それで…

それを見たご両親が日本の方がいいと思い、日本に戻ってきた、と。

アリス

アリス

はいです…お父さんは仕事の都合で日本には帰れないけど、お父さんは私の為を思って、お母さんと日本に帰ることを提案してくれたのです。

良いご両親だな。

アリス

だから私はお父さんとお母さんの為にも、日本で馴染めるようにと意気込んでここへ来たのです…。

ねぇ八雲さん。

アリス

はい?

ご両親はなんであなたを日本へ帰国させたと思う?

アリス

それは…私がアメリカで苦しそうだったから…だから…

だったらここでも苦しそうに過ごしていたらダメじゃないの?

アリス

!!

ここでも苦しそうにしていたら日本に戻ってきた意味が無い…そう思わない?

アリス

…だったら…

アリス

だったら私はどうすればいいんですかっ!

…そんなの簡単だろう。

アリス

へ?

…私達と友達にならない?

アリス

え、と、友達?

うん、友達。

ダメ?

アリス

!い、いえ!大歓迎なのです!

アリス

あ、で、でも…

ん?どうしたんだ?

アリス

友達になるのは自然にじゃないと駄目だって本で…

ははっ、どこの本だよ。そんな事に書いてあるのは。

アリス

ち、違うのですか!?

ふふ、友達のなり方なんて人それぞれ。そんな決まり無いよ。

だから、ね?

アリス

い、良いのですか?こんな私と…

焦れったい。謙虚なのは良いけど、ここはびしっと返事を返す場面。

アリス

は、はい!この八雲 アリス、ふつつかものですが彼岸さんと蘇芳さんの友達にならせて頂きます!!

よろしい。それじゃあ、これからよろしくねアリス。

ああ、よろしくなアリス。

アリス

!!はい!悠さん!湊さん!

よしそれじゃ、昼食にするか!

そうだね。

アリス

ちゅうしょくですか?

アリス

でも私何も持ってきてなくて…

あ、そうか。湊が強引に連れ出したからだな。

そのことすっかり忘れてた…

お前なぁ…

でも悠のお弁当を食べればいい。

その為に持ってきたんでしょ?

まぁ元々そのつもりだが。

だか、少しは遠慮しろ。

そのつもりだったらいいじゃない。

アリス

あ、あの…

あ、ああすまない。それじゃあ食べるか。

アリス

い、今のは俗に言う、夫婦漫才でしょうか?

!?

ああ。そうだ。俺達の持ちネタだ。

!!?

アリス

ほわぁ…湊さんって漫才探偵なんですね!

…悠。

まぁまぁ、そんなに怒るなって。

それより早く食べよう。昼休みが無くなる。

ほらアリス、そこのベンチに座ろう。

アリス

はいなのです!

(まぁいいか、こんなに楽しいの1週間ぶりだし…)

おーい湊。ぼーっとしてないでお前も早く座れー。

…分かってる!

その後は3人で賑やかに悠の弁当を食べ、結月がいた時と同じ量しか食べれなくて不機嫌な湊を何とか落ち着かせ、教室に戻ったのだった。

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