運命

やっと、春が始まった。 私の名前は、雪原未来。 苗字の中に雪が入っているから、 冬が好きだと思われがちだが、 1番好きな季節は、 春だ。

私は脊髄性筋萎縮症という 障害を患っている。 最近は、何かに捕まっていないと、 歩けない。 だから、車椅子を使って、 この桜を見に来ている。 この病院には桜がある、 桜を、見ると一緒に頑張ろうと 思える。 私はこの障害に負けたくない。

桜が綺麗。 僕の名前は、桜田創。 雪が溶け、桜が咲き始める この季節が1番好き。

僕は、生まれつき耳が聞こえない。 今日は通院日で診察が終わったから、 桜を見に来た。 そして、今僕は 桜の前にいる車椅子の少女に 目を奪われていた。

とんとん

誰かに肩を叩かれた。 振り向くのに時間がかかる。

高校生くらいだろうか。 顔が整っていて、 見惚れてしまいそうだ。

そして、彼はスマホの画面を 見せてきた。

こんにちは 僕の名前は桜田創です。 耳が聞こえないので、 スマホで、会話してもいいですか？

耳が、聞こえないんだ。 そうして、私はスマホを出す。 正直、スマホは使いたくない。 最近は、指の動きも鈍くなって、 文字が、上手く打てないから。

大丈夫です。 文字を打つのが遅いのですが、 いいですか？

大丈夫です 名前を聞いてもいいですか？

私の名前は雪原未来です

いい名前ですね

ありがとうございます

今、何歳くらいなんだろう、 聞いてみようかな、

今って何歳なんですか？

今、高2です。 未来さんは？

私は、中3です。

未来さんはここに入院してるんですか？

はい

あまり、聞かれたくない質問。 私はまだ自分が障害者だってことを 認めたくない。

じゃあ、毎日逢いに来てもいいですか？

いいですよ、 でも、なんで？

僕はあなたに一目惚れしました。

ん……？ 一目惚れ？ ひ・と・め・ぼ・れ？

そうなんですね

連絡先交換しませんか？

いいですよ

メッセージだけだと、単純なやり取り。 でも、なんだかこのやり取りが 心地いい。

これです。

ありがとうございます

では、また明日

私は手を振る。

さすが、看護師さん、 気づかれてしまった、

私は、動きが鈍くなった口で 一生懸命伝える。

やっぱり話した方がいいよね、