樂
結良
樂
ドレスは。
結良
樂
結良
へらへらしていたのに、 急に真剣な顔になって背筋が伸びた。
結良
夕食を一緒に食べたいって。
樂
結良
聞かなくて……申し訳ないけど、
横でニコニコしてそれっぽい事
言ってくれればいいから。
樂
彼の父親ってことは、 組の頂点にある人……。
樂
知ってるんですか?
結良
降りる予定だから、
結良
知らないと思う。
樂
ならば簡単だ。
“妻のフリ”をすればいいだけ。
結良
樂
靖
靖
優しく目元が緩んでいる。
警戒されている様子はなさそうだ。
樂
結婚いたしました、樂です。
靖
靖
これから天城家の一員として
よろしく頼むよ。
樂
なんだろう、
気が抜ける。
この人は組の長なのに……
どうしてこんなに、 優しくしてくれるんだろう。
もっとなんかこう…… 色々覚悟を決めさせられるのかと 思っていた。
樂
靖
樂
靖
者でいいのか?
……なんて言おう。
別にこの結婚を、 利用として見なかったとしても、
私は嫌じゃないと言うだろう。
樂
仲良くなかったので、
樂
結婚できて、嬉しく思います。
靖
靖
急に目つきが鋭くなって、 背筋がのびる。
当の本人は、 何も変わらない様子だ。
靖
選んだ人物を
いかんとは言わん。
靖
天城家に居てくれるのは良いことだ。
靖
バカな真似をしたら……。
靖
今の時代存在するんだ…… 小指取る文化……。
結良
樂
結良
結良
……この笑顔の意味が、 ようやく分かった。
樂
靖
今日は華代様が来られてるぞ。
靖
華代様、
その名前を聞いた瞬間、 結良さんの瞳が変わった。
結良
樂、ちょっと待ってて。
樂
靖
樂
靖
苦手なのだ。
まぁ私の遺伝だろうな、と 冗談ぽく笑っている。
靖
他界してしまった。
靖
靖
寂しい思いをさせた。
その話を聞くと、 今日ここにお義母さんが居ないのも 辻褄が合う。
靖
どうしても後継が必要で、
靖
お見合いをさせたのだ。
お見合い。
愛がなくていいなら、 結良さんはその人と結婚をすれば 良かったはずだ。
なのに、どうしてわざわざ お金のない私なんかを……。
樂
先程の華代様、というお方ですか?
そう聞くと、 お義父さんは頷いた。
靖
組の子だ。
靖
分かっていたが、
靖
お見合いなら私と、と
ずっと言っていて。
相手がいないならそれでいいだろうと 思っていたのだ、と、 どこか空っぽの心で話している。
靖
愛する女性を見つけられて
本当に良かった。
樂
ああ、とっても心が苦しい。
これはお互いが利用するための 関係性であって……
お義父さんが望むような、 愛する者では……無い。
靖
誠心誠意尽くせる良い子だ。
靖
樂
1ヶ月だけ……ですけれど。
樂
結良
あぁ、父さんのこと?
結良
母さんを失ってるから、
俺にはそうならないよう
育ってほしいんじゃない?
樂
結婚しなくて良かったんですか?
樂
華代様は貴方を愛していたはずです。
結良
急に黙られて横を見ると、 楽しそうにニヤニヤしている。
結良
まだ1日しか一緒にいないのに⁉︎
結良
腹部にパンチを入れてやった。
結良
樂
舐めないでくださいね。
樂
結良
俺の目には樂ちゃん以外
映ってないよ。
樂
結良
次から次へとなんだ…… と思いながら、そちらを見る。
黄色い瞳が、 私を吸い込んでしまいそう。
夜は、お月様みたい。
海から見える、 透き通った黄色いお月様。
人魚姫も、月を眺めている時 こんな気分だったんだろうか……。
ほんの数秒。
何が起こったか自分では理解できず、 思考回路が全て停止した。
結良さんの楽しそうな笑い声で 現実に戻される。
結良
結良
樂
何やってるんですかこの……!
女たらし!!!!!
翠






