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初めてジュラトにあった夜はなんとも思わなかった
ただの臆病な一般人だと、
祓霊者と気づかないレベルだったから
一切の殺気を感じない人間だったから
2度目は違った
たまたま街中を歩いていると見てしまったのだ
恐怖心で属性も能力もコントロールできていないような未熟の祓霊者が、
死を恐れず一般人を守るために前に立ち塞がる姿を、
それを見て思ってしまった
閉じ込めた心が動いてしまった
この人を、ジュラト・グラビティを
守ってあげたい
世話が焼ける子だな
そう感じてしまった
微笑めてしまった
私はジュラトを助けた
治療してあげたいと思った
治療が必要だったのもあるが、
もっとこの子に世話を焼きたいと思ってしまったのも否めない
そこで私は寝泊まりの拠点としていた場所、廃墟の教会にジュラトを連れ帰った
本当は祓霊者なのだから高額な報酬をもらえるのだけど、
始めた当時はまだアレンの祖父は生きていたから、
あまり身元を明かすわけにはいかなかった、
だから本来の3分の1の報酬を手渡しでもらうことにしていた
例の男の死後もなかなか言い出せずにいた、
でも別に3分の1でも十分生活できる資金ではあった
平均収入ほどはあったから
ジュラトとの会話をまともに初めてした時、
第一声、
ジュラト・グラビティ
可愛いやつだな
小動物?
アズキ・ガーナ
ジュラト・グラビティ
ジュラト・グラビティ
可愛いやつだな
緊張する私の心を抑えて中に治療道具をとりに行った、
そして戻る途中、
中から声をかける途中、見てしまった
霊に怯えるジュラトを
ジュラト・グラビティ
助けるとはにかみながらそう言ってくれた
可愛いやつだな
治療しながら私はジュラトに聞いた、
能力が使えないのかということ、
使えるけど怖いと答えた可愛い彼に私は詳しく話を聞くことにした
難聴と過去の出来事が重なってトラウマになってしまっていたみたいだった
だから私は励ました後に伝えた、
アズキ・ガーナ
ジュラト・グラビティ
可愛いやつだな
アズキ・ガーナ
アズキ・ガーナ
アズキ・ガーナ
アズキ・ガーナ
私は伝えた
生きる術を
消えない傷を背負っても生き延びる技を、
明日生きることを頑張るコツを
母の支え兼呪詛を抱えて生きる日々の中で生み出したものを、
噛み砕いて彼に伝えた
ジュラト・グラビティ
照れながらお礼をくれた
人助けは数えきれないほどしたけどこんなに嬉しいお礼はなかった
やっぱ可愛いやつだな
照れているってことは私に好意を抱いてくれているのだろうか
惚れていてくれたらこれ以上の幸せはない
これが「好き」なのか
そう思っていた
救いの神様
当時ジュラトに対して抱いた印象
暗い辛い私を救ってくれそうな人、
そして同時に決意した
私は生きるだけじゃなくていいんだ
私はこの人を守るために生きよう
そう思った
でも、
そんな幸せの兆しも、
すぐに消え去った