TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

前哨戦

一覧ページ

「前哨戦」のメインビジュアル

前哨戦

138 - 前哨戦 #138 アズキの過去②

♥

10

2024年01月06日

シェアするシェアする
報告する

初めてジュラトにあった夜はなんとも思わなかった

ただの臆病な一般人だと、

祓霊者と気づかないレベルだったから

一切の殺気を感じない人間だったから

2度目は違った

たまたま街中を歩いていると見てしまったのだ

恐怖心で属性も能力もコントロールできていないような未熟の祓霊者が、

死を恐れず一般人を守るために前に立ち塞がる姿を、

それを見て思ってしまった

閉じ込めた心が動いてしまった

この人を、ジュラト・グラビティを

守ってあげたい

世話が焼ける子だな

そう感じてしまった

微笑めてしまった

私はジュラトを助けた

治療してあげたいと思った

治療が必要だったのもあるが、

もっとこの子に世話を焼きたいと思ってしまったのも否めない

そこで私は寝泊まりの拠点としていた場所、廃墟の教会にジュラトを連れ帰った

本当は祓霊者なのだから高額な報酬をもらえるのだけど、

始めた当時はまだアレンの祖父は生きていたから、

あまり身元を明かすわけにはいかなかった、

だから本来の3分の1の報酬を手渡しでもらうことにしていた

例の男の死後もなかなか言い出せずにいた、

でも別に3分の1でも十分生活できる資金ではあった

平均収入ほどはあったから

 

ジュラトとの会話をまともに初めてした時、

第一声、

ジュラト・グラビティ

何処…ここ…

可愛いやつだな

小動物?

アズキ・ガーナ

廃墟になった教会…

ジュラト・グラビティ

な、なんか怖いよ…

ジュラト・グラビティ

腕と肩痛いしさぁ〜

可愛いやつだな

緊張する私の心を抑えて中に治療道具をとりに行った、

そして戻る途中、

中から声をかける途中、見てしまった

霊に怯えるジュラトを

ジュラト・グラビティ

ありがと…

助けるとはにかみながらそう言ってくれた

可愛いやつだな

治療しながら私はジュラトに聞いた、

能力が使えないのかということ、

使えるけど怖いと答えた可愛い彼に私は詳しく話を聞くことにした

難聴と過去の出来事が重なってトラウマになってしまっていたみたいだった

だから私は励ました後に伝えた、

アズキ・ガーナ

その1日のことだけをだけがんばる、

ジュラト・グラビティ

…うん

可愛いやつだな

アズキ・ガーナ

果てしなく遠くまで考えるから怖くなるんだよ、明日も怖いし明後日も怖いってね....

アズキ・ガーナ

そうじゃないよ、今日だけ怖い思いをする、それを毎日頑張る、大変だよ…..

アズキ・ガーナ

1日だけ小さな何かの為にがんばるを毎日できればジュラトはみんなの役に立てるよ...

アズキ・ガーナ

目標が有れば、多分ジュラトは思ってる以上の力を出せるよ...

私は伝えた

生きる術を

消えない傷を背負っても生き延びる技を、

明日生きることを頑張るコツを

母の支え兼呪詛を抱えて生きる日々の中で生み出したものを、

噛み砕いて彼に伝えた

ジュラト・グラビティ

あ、ありがと…

照れながらお礼をくれた

人助けは数えきれないほどしたけどこんなに嬉しいお礼はなかった

やっぱ可愛いやつだな

照れているってことは私に好意を抱いてくれているのだろうか

惚れていてくれたらこれ以上の幸せはない

これが「好き」なのか

そう思っていた

救いの神様

当時ジュラトに対して抱いた印象

暗い辛い私を救ってくれそうな人、

そして同時に決意した

私は生きるだけじゃなくていいんだ

私はこの人を守るために生きよう

そう思った

でも、

そんな幸せの兆しも、

すぐに消え去った

この作品はいかがでしたか?

10

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚