引き続き、 冒険者ギルドの 応接スペース。
マキリ
買ったばかりの魔導具 『魔法鞄《マジカルバッグ》』 をニヤニヤ眺める。
その軽さは、まるで羽根のよう。 ずっしり重かった硬貨の山が 入っているとは思えない。
“まさに異世界”な アイテムだ!
この世界に来てからは 生きるだけで精一杯だったけど――
――ヴィッテ達のおかげで 風向き変わってきたかも…?
ステファニー
マキリ
ステファニー
ステファニー
マキリ
ステファニー
ステファニー
ステファニー
マキリ
マキリ
ステファニー
ステファニー
マキリ
マキリ
ステファニー
ステファニー
ステファニー
マキリ
マキリ
高校生の時から1日のほとんどを 共に過ごしている 細フレームの度無しメガネ。
私にとっちゃ いわば“相棒”。
だけど、 どこにでもある量産品だし “レア”なわけない。
まぁ確かにお祖母ちゃんに 買ってもらったこともあって 私の宝物では あるんだけど…
ステファニー
ステファニー
マキリ
ステファニー
ステファニー
ステファニー
ステファニー
ステファニー
マキリ
マキリ
――バタンッ!
豪快に部屋のドアを開く音が 私の声を遮った。
傷だらけの大男
ドカドカと入ってきたのは、 見覚えのある“大男”。
マキリ
思わず 叫んでしまう。
なぜなら彼は、つい数日前に 路上でスライ2号を叩き切った 張本人だったから。
あの時の恐ろしい形相が 頭をよぎり、同時に 嫌な汗が背中をつたう。
ステファニー
ステファニー
ステファニーが 不思議そうな顔をする。
ギルド長
ギルド長
ギルド長
うっわ…私の顔、 しっかり 覚えられてるし…!
逃げ出したい気持ちを ぐっとこらえ、 引きつる笑顔で言葉を返す。
マキリ
マキリ
ギルド長
“ギルド長”と呼ばれた大男の 笑い声は 異様に迫力たっぷりで、
私の耳に 響き渡りまくったのだった。
ギルド長は、 見た目通り強そうな 『ダガルガ』 という名前だった。
助けた恩を着せるでもなく、 竹を割ったように、真っすぐで いい人そうだったんだけど…
――威圧感が 凄すぎて!
マキリ
彼の迫力に 気圧されそうになった私は、
余計なことをしゃべる前に、 早めに切り上げて 我が家に帰ることにした。
ヴィッテ
ヴィッテ
お行儀よく椅子に座った ヴィッテが、小さな口で 頬張っているのは、
ギルド帰りに私が買った “マリトッツォ”的なお菓子。
切れ込みを入れた柔らかい丸パンには、 これでもかと言わんばかりに 大量のクリームが詰め込んである。
私もさっき食べたところ、 クリームが柑橘風味で程よい甘さで、 胸やけしないおいしさだった。
マキリ
ヴィッテ
幸せそうに食べるヴィッテを 見るだけで、私まで自然と 笑顔になっちゃうねぇ…
…気に入ってるみたいだし、 そのうち似た感じの クリームたっぷり系おやつ 作ってみようかな!
スライ
ぴょんっと 近寄ってきたスライが 文字を表示した。
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マキリ
マキリ
マキリ
私はギルドで書いたメモを 片手に話し始めた。
時々挟まるスライの質問にも 答えつつ、 思い出せる限りの説明を終える。
おやつタイムを終えたヴィッテも 途中から 聞き役に合流していた。
マキリ
マキリ
マキリ
マキリ
マキリ
ヴィッテ
マキリ
マキリ
文字表示(スライ)
マキリ
そもそも私たちが お金を稼ぎたかったのは、 新たな魔導具『スラピュータ』を 作りたかったから。
いい感じのアイデアはまとまったけど、 肝心の開発資金が無くて 詰んでたんだよね…
…大金が手に入ったことで、 資金問題はクリアできた と言っていい。
マキリ
ヴィッテ
ヴィッテ
マキリ
マキリ
ヴィッテの教育とか 倫理的な観点とか でいえば――
――幼児が 日常的に 魔物と戦うのは どうかと思う。
だけど、背に腹は 変えられないし…
…何よりヴィッテ本人が 戦うのを楽しんでいる 節がある。
私がどうこう言って いいのかも含め、 ちょっと悩みどころだな。
とはいえ、今日の遠征で 売ってないドロップアイテムが まだ大量にあるから、
当面はヴィッテに 討伐をお願いする必要は ないはずだけど!
マキリ
マキリ
マキリ
マキリ
ヴィッテ
ヴィッテ
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マキリ
その夜のこと。
マキリ
マキリ
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文字表示(スライ2号)
文字表示(スライ2号)
マキリ
私はスライ2号と 相談しつつ作っているのは
“魔導具の発注用資料” となる書類。
マキリ
うちの会社って 部分的に外注する機会が 割と多くて、
その時に発注用資料を 作りまくってた経験が すごく活きてる気がする…
マキリ
マキリ
ただし、この世界には パソコンもスマホも 資料作成ツールも 無いから、
全部手書きで書かなきゃ なんないのが、ちょっと まだ慣れてないけど。
で、ネット検索できない分を フォローしてくれてるのが 2号なんだ。
スライ2号
スライ本体《オリジナル》と違って 2号のほうから意見を あまり言ってはこないけど、
ずっと付きっきりで 私の質問になんでも細かく 答えてくれるのは すごく助かる。
さすが私の教育係担当を 自称するだけあるね!
マキリ
マキリ
作り終えた資料を揃えて 魔法鞄《マジカルバッグ》に 入れておく。
スライ
ここで、ぴょこぴょこと 2階から降りてきたのは スライ。
マキリ
マキリ
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マキリ
マキリ
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マキリ
マキリ
冒険者ギルドのステファニーいわく、 私のメガネは『神の翻訳眼鏡LV1』という 売却不可能クラスなレアアイテムで、
『所持していると、 スキル【言語自動翻訳LV1】使用可能』 という効果を持つんだって。
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マキリ
マキリ
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マキリ
マキリ
マキリ
あれはあくまで物語だから、 “存在を裏付ける記述”なんて 大層なもんじゃないけど。
――まぁ、魔術や魔物が 存在する世界だもの。
神様も存在したって おかしくはないよね!
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