リュウ
ね〜、佳澄ちゃん❤️
リュウ
明日、ヒマでしょ?
リュウ
3時に🏠迎えに行くから
リュウ
待ってて😘
佳澄
佳澄
勝手に予定を決めるな
佳澄
つーか、どこに連れていくつもりだ?
リュウ
🎹ピアノリサイタル(^з^)-☆
リュウ
たまには、いいかな〜と
リュウ
思ってO(≧∀≦)O
佳澄
なにが?
リュウ
あ、佳澄ちゃんは
リュウ
手ぶらでいいからね💕
佳澄
財布は持っとくか……
翌日
竜一郎
佳澄ちゃん、迎えに来たよ♡
佳澄
…………
家の前にリムジンが止まっていた
佳澄
(そういえば、こいつ──)
佳澄
(金持ちの坊々だったな)
佳澄
(すっかり、忘れてた)
竜一郎
ほらほら、乗って♪
竜一郎に手を引かれ、佳澄はリムジンに乗せられた
1時間後
竜一郎
着いた〜
佳澄
…………
リムジンから降りると、コンサート会場が姿を見せる
『貴井泰光 ピアノ・リサイタル〜聖なる夜〜』
佳澄
(たかいやすみつ)
竜一郎
ねー、佳澄ちゃん
佳澄
佳澄
ん?
竜一郎
開場まで時間あるし
竜一郎
テキトーにぶらぶらしようか♪
開場時間になり、ふたりは会場内に入った
竜一郎
佳澄ちゃん、こっち
佳澄
2階?
竜一郎
S席だからね♪
竜一郎
落ち着いて観られるよ
ぐいっ
佳澄
ちょっと待て
竜一郎
ん?
佳澄
──その前に、トイレに行ってくる
竜一郎
オレも行く
腕に抱きつく
佳澄
……抱きつくなよ
竜一郎
恋人同士なんだから
竜一郎
テレなくてもいいのに〜
佳澄
テレてないし、いつから恋人になったんだ?
佳澄
っていうか、離れろって
なんとか引き離そうとするが…………
竜一郎
テレ屋なんだから……♡
佳澄
(……はっ倒してやろうか)
どん
うわぁ
ほかの観客とぶつかってしまった
佳澄
!!
佳澄
(しまった……!)
佳澄
すみません、大丈夫ですか?
?
?
大丈夫
?
こっちこそ、ゴメンね
?
よそ見しちゃってて
佳澄
……美人
ベストスーツを着こなし、男とも女とも見える中性的な、相手の顔に思わず口がすべった
?
一応、生物学的には男なんだけどね
苦笑いをする
?
(美人って言われたの、これで二度目だな)
?
それはともかく
?
きみの隣にいる子が
?
めちゃくちゃ、殺気立ってるんだけども────
佳澄
へ?
竜一郎の方に視線を向けると、鋭い目つきで相手を睨んでいる
佳澄
佳澄
なに睨んでるんだよ!?
佳澄
睨むのやめろ!!
竜一郎
ふん
そっぽを向いた
?
大変だね
佳澄
……本当にすみません
?
?
そろそろ戻らないと
?
あいつ、癇癪を起こすと厄介だし
佳澄
…………
佳澄は妙な親近感を抱いた
竜一郎
……佳澄ちゃん、さっさとトイレに行こう
佳澄
……おい!
そのまま、腕をひっぱられていった
?
また、そのうち会うかも──
2階席
竜一郎
…………
佳澄
……竜一郎?
竜一郎は不機嫌のまま、座席に着いた
佳澄
(──弱ったな)
ため息をつく
しばらくすると、開演時間になった
ピアニストが舞台に上がり、観客に一礼する
そしてグランドピアノへ向かい、弾き始めた────
〜〜♪ 〜〜♪
心地よいピアノの音が場内に響いた
音色が耳に入ってくる
その中で印象的に残ったのは、クリスマス用にアレンジされた『カノン』だった
数時間後
竜一郎
佳澄ちゃん、ピアノどうだった?
佳澄
すごかったな──
佳澄
なんか、圧倒された
佳澄
(少しは機嫌よくなったか?)
竜一郎
──よかった
ぎゅっ
佳澄
…………
竜一郎
ねぇ、佳澄ちゃん
竜一郎
これから、オレんちに来ない?
佳澄
……は?
佳澄
なに言って……?
竜一郎
オレんちで、ごはん食べよ?
佳澄
……いや、俺は
竜一郎
遠慮しなくてもいいよ
佳澄
……そういうことじゃなくて
竜一郎
来るでしょ?
有無を言わせず、竜一郎は見つめてくる
佳澄
…………
そっと、ため息をついた








