陽菜
え…そんなっ!
杏里
どうしてゆずはが…っ!
ゆずは
ほら、言わんこっちゃない……
そのままゆずはは、美しい人形のように動かなくなった。
???
生き残ったそこの二人は有望みたいだから早くこっちに来なさいね
謎の女はそのままワープした
杏里
嘘、
陽菜
でも、今私たちは行くしかない
陽菜
真実までのリレーの、ラストスパートだ
陽菜
ゆずはがバトンを私たちに託した、絶対に落とさないよ
杏里
わかった、すぐに行こう
杏里
これって、地下に続く道があるってことだよね?
陽菜
うん、すぐにでも階段を降りて__
人間たち
うああうおおおおっ…があああおおおおおおおおっ!
陽菜
な、何あれ?!
杏里
大量の「廃棄物」たちがいる
陽菜
早く逃げなきゃ大変なことになっちゃう
陽菜
ゆずは、絶対に待っててね
杏里
私たちがおばあちゃんになるまで会わないから
陽菜
ここが、夢で見た場所だよね、?
杏里
なんだかすごく神秘的な場所だね
陽菜
そうだね
陽菜
まるで吸い込まれるような感覚がする…
杏里
それに例の培養槽もたくさん
杏里
私、ずっとここにいたいなあ
陽菜
え、ちょ何言ってるの
陽菜
そんなこと言っちゃあゆずはとの約束が…
杏里
あはは、光が綺麗
杏里
私もここで、一生、
「平和で幸せに暮らしたい」
陽菜
…っっ!
陽菜
そんなのが、幸せなわけないじゃん
杏里
どうして?
杏里
何も変化がなければ、失うものはない
杏里
苦しめられることだってない!
杏里
それなのに幸せなわけないじゃん?
どうしたの、頭おかしくなっちゃった?あははっ
どうしたの、頭おかしくなっちゃった?あははっ
陽菜
ねえ杏里、目を覚ましてよ!
陽菜
聞こえてる?!
杏里
ずっとずっと平穏に暮らせば何にも困らない
杏里
今、あなただって身に染みて感じているでしょう?
陽菜
っ、それはっ
杏里
へーえまだ反論をするんだ?
杏里
元気な子だね
陽菜
だって、何もないだけなのに、
「それが幸せなの?!」
陽菜
みんなで美味しいものたくさん食べて、
陽菜
楽しいことして、
陽菜
いっぱい運動して、
陽菜
学校に行って、
陽菜
ゲームもして、
陽菜
テレビを見たり、
杏里
何?
陽菜
たまには辛いことだってあるし、それを今まさに経験してるけど、
陽菜
でもっ、それでもっ…
「幸せなのッ!」
陽菜
幸せかどうかなんて、本人しか決められないんだよ?
陽菜
ねえ、杏里?
杏里
あーあ、バカみたい
杏里
物心ついてからの親友だと思ってたのに
杏里
ごめんね、あなたは私を裏切った
陽菜
え……
杏里
バイバイ
陽菜
きゃっ!
陽菜
さらに遠いところに飛ばされちゃった…
陽菜
でも、私だけでも、絶対に、
真実に触れてから帰りたい…!
陽菜
えーっと、これはただまっすぐ行けばいいんだよね
陽菜
何も入っていないのに、培養槽ってやっぱり不気味
陽菜
あれ、何も入って…
陽菜
ないはずだよね?
陽菜
じゃあなんで培養槽に
人が入ってるの?
陽菜
しかも見たことのある人が…
陽菜
昔の宮本家邸宅に飾ってあったあの絵の人物もいる
陽菜
なんであんなに昔の人のはずなのにここにいるの?
陽菜
ずっと昔から培養されてきたのかな?
陽菜
こんなもの、何に使うのかな?
陽菜
あれ、管から音が漏れてる
「ーーもーけはーいあー」
陽菜
なんて?
「みーもとけはがいあー」
陽菜
も、もしかして…
宮本家は害悪
陽菜
嘘…しかもこの言葉が何回も流れてる…
陽菜
この管は、培養されてる人の頭に繋がってるし、洗脳?
陽菜
!!!嘘っ…
陽菜
おり、おん…?
陽菜
ここにいたんだね…
陽菜
私だよ、リスナーだよ、わかる?
陽菜
ねえ、おりおん?
陽菜
って、目を覚ますわけがないよね…
培養槽の中にいる人間は、皆無表情だった。
陽菜
幸せなわけないじゃん、幸せだったらたとえ夢の中でも笑うでしょ?
陽菜
杏里もわかってくれたらな
陽菜
ってことは、犯人は宮本家を恨んでいる誰かってことになるね
陽菜
あの雪雫交差点での事故で亡くなった咲彩ちゃんは母親の一人娘だったし
陽菜
あの子が宮本家の末裔ってことになる
陽菜
つまり、咲彩ちゃんがいなくなれば宮本家は滅びる
陽菜
あの事件を起こしたのは連れ去りの犯人もしくはその協力者
陽菜
ってことでいいかな?
陽菜
ふふっ、名探偵同士で友達になっちゃったみたいだね
陽菜
自分で言うのもあれか
陽菜
もし、私がすぐにいなくなったら、
陽菜
天国で真実を教える。
陽菜
もし今回のことを生き延びたら、
陽菜
おばあちゃんになってから天国で教える。
陽菜
これでいいよね、
杏里、ゆずは。
陽菜
聞こえて、るかな?
陽菜
杏里は今頃培養槽の中かな…犯人の思い通りになっちゃった
陽菜
私だけでも、思い通りには絶対にさせない
陽菜
だから、二人とも見守っててね
陽菜
ここ、だ
陽菜
どうやらここが最奥みたいだね
陽菜
培養槽がたくさんある
陽菜
今まで見てきた人がたくさん
陽菜
今、助けてあげるから…
陽菜
でも、助けるってどうやって?
私は周囲を見まわした。
陽菜
うーん、特に私の力で動かせそうなものは、ってあっ!
培養槽の横に、小さなレバーがある。
陽菜
これ、動かせってことかな?
陽菜
うん、やってみせる…
陽菜
あれっ?
陽菜
手が震えてる…
陽菜
どうして?
???
そのレバーは、培養槽の中の人間を救出するためのものではなく、
命を奪うためのものなのです
命を奪うためのものなのです
???
暴走して培養槽を破り、地上に出そうになったら作動させます
???
何の抵抗もない状態で発動させれば、彼らの命はないでしょう
陽菜
そんな…!
???
ですが、私たちは人間の決断に直接干渉することができません
???
さあ、あなたはどうしますか?
???
もちろん、この研究は人としてやってはいけないことです
???
それを理解した上で、決断してくださいよ
???
あなたの決断を私たちは心から待っています
???
あと、最後にもう一つ
???
作動させるなら、このフロアを最後まで見たほうがいいですよ
???
これは絶対です
???
見ないと言う決断をあなたがしても責任は取れません
???
考える猶予はあります、合理的かつ感情も入れて考えてください
???
それでは、私たちはここで
謎の声は、聞こえなくなった
陽菜
誰なんだろう?
陽菜
どことなく、聞き覚えがあるような…
陽菜
まさかね
陽菜
さてと、さっき言われたことをやってみるか
陽菜
このフロアに、これ以上の驚きが隠されているの?
陽菜
すごく気になるけど、やっぱり足が震える……
陽菜
大丈夫、私ならきっと…!
私は、意を決して部屋の奥にあった培養槽を見たが、
見た瞬間に崩れ落ちた。






