○年前
デビルズパレス
主の部屋
主
主
それは
今にも溶けてしまいそうな
雪のような声でした
ベットに入っている主様は
上半身を起こした状態で
少しうつむいていました
私はそのベットの横に置かれた 椅子に座っていたので
主様の横顔だけしか見えませんでした
ラト
ラト
私はその言葉がどうして発されたのか 分からず
悲しそうなその横顔を見つめながら
主様に聞いてみました
主
主
主
横顔の主様は半分の姿しか見えず
その口から吐き出された言葉の意味も
私には全て理解することは できませんでした
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
主
ラト
こちらを振り返った主様は
驚いたように目を開くと
主
次の瞬間
小さな花が咲くように
控えめに笑いました
主
主
ラト
ラト
ラト
私はなぜ主様が笑っているのか
なぜ急にそんなことを言うのか
ますます理解ができませんでした
主
主
主
主
主
主
主
主
主
執事は主様のために働く者
見返りなど
そんなものを求めて主様に尽くす執事は
少なくともここには1人も いないでしょう
ラト
ラト
ラト
主
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
主
主
主
主様の言葉は
綿のように柔らかく、滑らかな手触りで
主
木漏れ日のように
主
主
心地よく感じました
ラト
ラト
私は主様の手を取った
主
ラト
ラト
ラト
驚いた主様は
目を丸くして
そのあとに
目を泳がせて
顔を赤くして
主
主
いつものように笑ってくれました
ラト
ラト
ラト
ラト
主
ラト
今度は
主様の手が
私の手を握り返しました
そして
主
主
ラト
私を
真っ直ぐな瞳が
貫きました
ラト
ラト
胸がザワザワと
うるさい
ラト
ラト
ラト
主
ラト
ラト
主
主
主
あぁ
なんでしょうか
この気持ちは
ラト
ラト
ラト
○年前
デビルズパレス 食堂
ラト
ドアを開けると
広いテーブルの端のひと席に
小さな背中が見えました
主
こちらを振り返った主様は
小さく私に手を振りました
ラト
ラト
主
主
主
微笑む主様の頬が
いつもより少しだけ紅潮していて
その周囲から
珍しくワインの香りがしていて
主
とても
胸のあたりがザワザワしました
ラト
ラト
主
私の問いかけに
小さなほほ笑みは
分かりやすく揺らぎました
主
主
ラト
私は嘘が嫌い
騙して欺いて隠して
なんて醜い行為なのでしょう
なんて愚かな行為なのでしょう
しかし
主様もそれを分かっています
そして
ラト
それでも
主様がつく嘘は
誰かを守るための行為であると
私も知っています
主
主
主
ラト
ラト
ラト
ラト
主
ラト
ラト
主
ほんのりと赤く染った主様の顔が
分かりやすく動揺して歪みました
ラト
ラト
私は主様と向かい合うように席につきました
そして
主
私は頬杖をついて上目遣いに主様を見上げました
主
主
主
主
ラト
主様は
澄んだ瞳で私を見つめながら言いました
ラト
その言葉に欠片の嘘もないことを証明するようでした
ラト
ラト
ラト
けれど
そうやって他人のために 心を砕くその姿は
とても気に入らない
たとえそれが
ほかの悪魔執事のことであったとしても
ラト
ラト
主
やっと
主様は私だけを見ました
ラト
ラト
ラト
主
ラト
ラト
主
私の言葉を遮るように
主様は少し大きな声で
私の名前を呼びました
ラト
ラト
私は胸が少しくすぐったくなりました
主
ラト
ラト
ラト
ラト
私は主の手を取りました
ラト
ラト
主
酔いが冷めたはずの主様の頬が
みるみるうちに
また赤くなりました
ラト
ラト
ラト
ラト
主
あなたがこちらを見てくれるなら
なんだっていい
どんなに歪な形だって構わない
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
主
ラト
ラト
ラト
ラト
主様はまた
少し驚いた表情して
私の手を優しく包み込むように 握りました
主
主
ラト
伝わったぬくもりは
とても温かくて
とても優しくて
ラト
私の中に
雪解け水のように
染み込んでいきました
グロバナー家 本邸
地下室
ラト
ラト
ラト
私はベットの中で目を覚まし
まだ薄ぼんやりとした眠気の中
私は
目を擦って
その後に伸びをしました
ラト
ラト
随分と懐かしい夢を見た気がしました
そしてどれも
私の胸のザワザワをより大きなものにする夢ばかり
ラト
ラト
グロバナー家に来てから4日
私はミヤジ先生たちと離されて
簡単な身体検査を受けながら
この地下室で1人過ごしています
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
胸がざわめく
ラト
ラト
ラト
呼吸が浅くなる
呼吸がはやくなる
ラト
ラト
ラト
ラト
頭がじわりとしびれはじめる
ラト
ラト
あぁ、そうでした
ラト
ラト
1人というのは
こんなにも恐ろしくてたまらないものでした
ラト
ラト
いつのまにか
溢れてきていた涙が
ポロポロと落ちて
服にしみこんでいきました
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
あなたを思うたび
分からないことが
雨のように降ってきて
雪のように積もっていきます
ですが
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
私のものにしたいと思うのです
ラト
ラト
ラト
私は服の胸元を乱暴に握り
荒くなる呼吸に抵抗しました
ラト
頭の中には
最後に見た
主様の優しい微笑みが浮かんできます
ラト
その瞬間
その笑顔はぐちゃぐちゃに歪み
視界がぼんやりと輪郭をなくし
そして
ラト
バタン!
私はその場に倒れました
主
ラト
主
ラト
ラト
主
ラト
朦朧としていた私の意識は
ラト
ぷつりと
途切れた
コメント
5件
私も
すみません、ログインできました💦💦 通常通り進行していきます!第二のアカは近いうちに消します! お騒がせして申し訳ございませんでした💦💦
作者です! このアカウントにログインできなくなってしまったので、急遽第2アカを作りました!今使っているのがそれです! 続きはこのアカで書いていこうと思います!一応これからフォロワー様を順次フォローしていきます! 読みにくくなってしまい申し訳ございません💦💦 引き続きお楽しみいただける方はこちらのアカウントをフォローしていただけると嬉しいですm(_ _)m