アルファ
いってぇな
アルファ
常人だったら怪我してたぞ…
私はその場で一息━━━
…ぐっ
アルファ
(やっぱもう行こう)
スタスタと歩き出した私に
あの声が聞こえた
おいおい
勇者には平和を任せたのだぞ
アルファ
知らない面倒だ
アルファ
それよりどこから語りかけている?
ここだ
耳障りの良い声が急に背後で聞こえる
パッと振り返るとそこには王がいた
アルファ
…何の真似だ
お前こそ
今までこんなにノリの悪いやつはいなかった
勇者だと崇めれば皆ノリノリだったのに
アルファ
(みんな穴に落ちて勇者だとか言われて天狗になったのかよ)
アルファ
知らないけど私は嫌だ
アルファ
見知らぬやつに構うメリットなどない
だが私が決めたんだ
アルファ
だから知らないって!!!
…はぁ
だったら━━━━
そう言った瞬間
私は異常な苦しみを感じた
アルファ
い、痛…!
王の命令は絶対だ
お前が魔法使いの一族だとしても、私には勝てぬ
アルファ
なっ…
この世では魔法使いは貴重価値だが
それでも私の手にかかれば殺すことなど容易なのだ
アルファ
アルファ
━━━分かった
膨大な強さを認めた私の身体が限界を迎える前に
私は諦めた
アルファ
勇者だかなんだか知らないけどやってやるが!
アルファ
私は魔法使いなどではない!
貴重価値
その言葉に釣られた
私はそんなモノだと思われたくない
圧力やプレッシャーはもう十分だ
私は特徴もない普通の冒険者…
ここではそういられる、だろう?
チラリと王に目線を向けると
王はこう言った
そうか
私はこの世界に来てしまった人を受け入れるが
そやつの情報など持ち合わせておらん
アルファという名に姓がないのに堂々としていることから魔法使いの一族かと思ったが
違ったのか
まあいい
早く人を助けることだな
それからちゃんとマニュアルを見ろ
アルファ
…はいはい
アルファ
おいそこのお前
は?
アルファ
助けてやるから縄を解け
…解けるなら解いて逃げてんだよ
アルファ
(ああそうだった)
アルファ
(家族以外に人と関わらないから分からなかったが…)
アルファ
(魔法が使えないとはこんなに不便なんだったっけ)
弟には負けつつも魔力にはやはり頼っていたことを知る
何してんだよ、早く解け
アルファ
ふむ
魔法を使おうとした私は貴重価値だと言うことを思い出し、近寄った
アルファ
面倒だな
アルファ
アルファ
おい、助けてもらいたいか
あ?
正面に立った私はやつに言う
アルファ
助けて欲しいか聞いている
助けるだと?
縄を解けっつーだけだろ
アルファ
…口の利き方に気をつけろ
アルファ
(ただで助けてやってんのになんだこいつ)
少し目つきの悪い私は
それでも分かるほどしっかり睨む
アルファ
ん、解けたぞ
…おい
アルファ
なんだよ
その折れた剣でどうやって縄を切った
アルファ
(バレたか)
この剣だけでは切れないから少しだけ魔力を含んだが
そうは言えない
だがしっかり対策もしている
アルファ
…切り口を見ろ、ただ力が強いだけだ
わざとジグザグとボロボロに切った縄と
剣にも軽く縄のほつれと匂いをさせている
…そうか
アルファ
あーあ
なんだよ
アルファ
お前がノロノロしているから
は?
アルファ
戦わないといけないハメになったじゃないか
そこには、こいつを攫ったと見られる男がいた







