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紗羅
…魔叉琉、なんですね
藤野警部
……確かな
イオリ
…やっぱりね
紗羅
イオリはどうして…
イオリ
知ってるかって？
紗羅
うん…
イオリ
まだ内緒
高峰刑事
おい
イオリ
そんなことより
イオリ
どうするつもり？
藤野警部
……稔くーーーん
紗羅
警部…
藤野警部
いや、まあとりあえず
藤野警部
イオリを襲った人たちを
なんとかしなきゃならないのは
なんとかしなきゃならないのは
藤野警部
そうなんだが…
高峰刑事
どうします？
高峰刑事
相手のことが
全然わかってない中で…
全然わかってない中で…
イオリ
……1つ、策があるとすれば
そう言うと、イオリは
思案する姿勢を見せた
紗羅
イオリ？
イオリ
僕が囮になろうか？
高峰刑事
名案
藤野警部
賛成
高峰刑事
実行しましょう
イオリ
慈悲も何もないね
紗羅
少なくとも、
その傷じゃ無理だと思う
その傷じゃ無理だと思う
紗羅
ある程度回復せずに
紗羅
また姿を現したら…
イオリ
逆に怪しまれる、そうだね？
紗羅
うん…
高峰刑事
ええ…
高峰刑事
本当に匿うの…？
紗羅
……それは
高峰刑事
犯人隠避とかさ…
イオリ
何も知らなかった、
で通せるとは思うよ
で通せるとは思うよ
イオリ
それか、脅されたと言うか
紗羅
イオリ…？
イオリ
僕は犯罪者
イオリ
でも君がそれを知らなければ
イオリ
君の中で僕は
イオリ
ただの傷を負った
一般人のまま
一般人のまま
藤野警部
俺としては反対だがなぁ…
高峰刑事
こうやって関わってる時点で
俺達ももう…
俺達ももう…
イオリ
そうだね
イオリ
そこは否定しないよ
高峰刑事
否定しろよ！
紗羅
……イオリ
イオリ
ん？
紗羅
これは、この前の借りを
返したってことで良い？
返したってことで良い？
イオリ
…この前の
イオリ
……
イオリ
…ああ、刑事さんの居場所を
伝えた話か
伝えた話か
高峰刑事
そこだけ
高峰刑事
そこだけは感謝してる
高峰刑事
したくないけど
イオリ
そうなるね
イオリ
この傷じゃ、まともに
歩けもしない
歩けもしない
藤野警部
……ｺﾞﾎﾝ
藤野警部
まとめると
藤野警部
イオリの傷が回復し次第
藤野警部
囮にする
藤野警部
ってことだな
イオリ
ちょっと傷つくけど
紗羅
藤野警部
藤野警部
どうした？
紗羅
高峰刑事
高峰刑事
？
紗羅
イオリ
イオリ
なにかな
紗羅
私の我儘ですけど
紗羅
どうか、お願いします…！
藤野警部
当たり前だ
高峰刑事
…まあ、助けられたし
イオリ
構わないよ
紗羅の瞳は
もう、迷わないと
強い決意を秘めていた
・ ・ ・
一方、その頃
アメリカのとある街で
魔叉琉は手に感じる重さを 噛み締めていた
魔叉琉
(……まさか)
魔叉琉
(“これ”をまた
握ることになるなんて)
握ることになるなんて)
魔叉琉
(思っても、なかった)
警部から咄嗟に借りて 使ったことを除けば
もう二度と 使うつもりなんてなかった
日本で持てば たちまち違法となるそれも
ここでは許されてしまう
簡単に命を奪える道具
魔叉琉
(…紗羅)
浮かぶのは最愛の人の表情
それを首を振って追い払い
深く息を吸うと
かつて足を運んだ射撃場へ
ゆっくりと向かった
魔叉琉
(…俺は、もう)
魔叉琉
(決めたから)
魔叉琉
(絶対、アイツを…)
魔叉琉
(“マサ”を)
魔叉琉
(止めるって)
魔叉琉
(捕まえるって……)
魔叉琉
(だから)
魔叉琉
(死ぬ訳には、いかない)
魔叉琉
(あの頃とはもう)
魔叉琉
(全然違う筈だから)
魔叉琉
(少しでも気を抜いたら)
魔叉琉
(きっと、殺られる)
古い腹部の傷跡が
小さく疼いた気がした
魔叉琉
(あの時は)
魔叉琉
(…親友、だったのにな)
魔叉琉
(……)
魔叉琉
(…いや)
魔叉琉
(俺が勝手に)
魔叉琉
(そう思ってただけ、かな)
テストの点数を競い合い
短距離走、長距離走で 競い合い
学年のツートップだった あの頃は
まさか
こんな事になるなんて
思ってもみなかった
魔叉琉
(なぜ、違(たが)えた)
魔叉琉
(いつから、こうなった)
魔叉琉
(マサ…いや)
魔叉琉
ﾀｶﾅｼ ﾏｻﾄ
小鳥遊 聖人…
小鳥遊 聖人…
続く
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