アクヤ
アクヤ
正直、最初は嘘だと思っていた。
あの父が、
小さい頃、あんなに優しく 笑って、手を繋いで、 華鈴にも良くしてくれた父が、
華鈴と弟を、 殺した。
悪夜
亜麻
悪夜
父の日だからケーキ買ってき……
悪夜
その傷どうした?
亜麻
悪夜
心地よい晴れの日だった。
「父を笑顔にしよう」、 そう思っていた。
……なのに。
亜麻
悪夜
俺と父さんは?
亜麻
地獄のような時間だった。
嗚呼むしろ、 何も知らなければよかったのに。
亜麻
お父さんに殺されたの。
涙ながらに言う妹に、 「嘘だ」と叫ぶ勇気もなかった。
父さんが…… 華鈴を殺した?
悪夜くんのお父さん、 とてもいい人だね。
私、両親がいないからさ。
悪夜くんのお父さんが、 私のお父さんみたいだよ。
一瞬、呼吸の仕方を忘れた。
悪夜
どうなるんだよ!
亜麻
着いてこないで!
悪夜
悪夜
亜麻
今まで何度も喧嘩はしてきた。
お互い挑発して、 お互いにキレて、
でも数分後には笑って 仲直りしていた。
……でもこれは、 永遠の喧嘩になるだろう。
お互い、そう思っていた。
亜麻
何するか分からない……。
亜麻
それまでどこか行ってて。
亜麻
悪夜
悪夜
ケーキ、持ってけ。
お互い、何もできなかった。
だってお互い、 何も悪くないのだから。
真先 裕子
現れられるの?
悪夜
謝って、許されるとは思いません。
真先 裕子
真先 裕子
真先 裕子
悪夜
ごめんなさい……。
許してもらおうとは思わない
むしろ、永遠に恨んで欲しい。
恨んで恨んで、
恨みきれないほどの 怒りが現れた時、
誰か俺を、罪から 解放してくれ。
悪夜
吸鬼 陽悪
悪夜
あんなに父さんのこと!
本当の家族として優しく
してくれたじゃねえか!
悪夜
吸鬼 陽悪
利用しやすかっただけだ。
悪夜
悪夜
吸鬼 陽悪
悪夜
吸鬼 陽悪
吸鬼 陽悪
吸鬼 陽悪
お前を殺しにくる。
吸鬼 陽悪
吸鬼 陽悪
悪夜
悪夜
殺されてやる。
悪夜
首を長くして待ってろ。
吸鬼 陽悪
吸鬼 陽悪
生きてくれよ。
悪夜
お望み通りに。
そういえば、 バグの能力を持ったのも あの頃だった。
神の気まぐれか、
それとも、“罪”か。
アクヤ
俺らは両方悪魔ってわけだ。
アクヤ
アクヤ
一緒に。
アクヤ
亜麻にもあげたよ。
アクヤ
アクヤ
アクヤ
アクヤ
アクヤ
全ての頑張る男性に感謝を。
Fathers day.