澤本君と仲良く?なってから早一か月 落葉の季節も終わり、もう立派な冬になっていた
沙友里
クリスマスまで一か月。 あたしの誕生日まで一か月。
彼氏がいない悲しい12月は去年まで十分だ
花奏
沙友里
沙友里
花奏
一か月で彼氏ができる本 一か月でくびれができる方法 一か月で…
沙友里
沙友里の前に広げていた本を急いで隠すけど時すでに遅し
ファーストキスを取られたあの日からどうやらあたしはおかしくなってしまったらしい。
本当にあたしは何を簡単にぶちゅっとされているんだ
あたしの大事なファーストキスを……!
それにあたしも何をしていたんだ! 逃げられただろ!
いや、小説読みまくっているからって経験ないのに本当にされるなんて思わないだろ!
本当に少しでも気が緩むと、すぐにあの時の感覚がよみがえる。
思い出したらすぐ顔が赤くなっちゃうから、精神を統一して思い出さないように頑張っている
花奏
もう開き直って本をそろえながら堂々と言いきった
沙友里
花奏
沙友里
花奏
沙友里の突然の提案に固まる
花奏
今は11月24日。 クリスマスとあたしの誕生日までまだ一か月くらいあるのに
沙友里
沙友里
花奏
よくよく見ると沙友里の首元にきらりと光るなにか…
花奏
今も空き教室でその原因のやつと一緒にいる
でも今は放課後じゃなくて、沙友里のやつあたしがこの男の奴隷みたいになって使われている間に一つ上の先輩の人と付き合うことになったらしい
しかも、今日からお弁当を一緒に食べようってことになっているらしい
蓮
めんどくさそうに机の上に座っている澤本君を軽くにらみつける
花奏
蓮
花奏
花奏
花奏
蓮
怒りに震えるあたしに澤本君はとてつもなく大きなため息をついた
蓮
花奏
花奏
何も言い返してこない澤本君の反応にあたしはじぶんがした発言に気づく
あたしと出会った日彼は美人で学校のアイドルとして有名な橋本先輩に振られてばかりだ
普段、教室では何もなかったかのように過ごしているけれどそれが仮面の姿だということをあたしは知っている。
女子の仰がれの紫蘭の幹部の澤本君は本気で先輩のことが好きだった。 その証拠にあたしの首筋に涙を落した。
普段の彼からは想像できないくらい小さくて弱弱しいく
それなのに、あたしはなんてことを…
花奏
あれからまだ少ししかたっていない。 こんな短い期間でその傷が癒えるわけがないのに
蓮
無表情の瞳であたしを見据える
花奏
蓮
花奏
一瞬器の大きさに感動して見直したのに、そんなのさっきの一言でどこか遠くに行ってしまった
この男は隙あらば意地悪してくる
花奏
あたしは澤本君のかたをポコポコ叩いた
はっ! 叩いていたところで気づいて…いや性格的には思い出してしまったんだ
彼氏はおろか告白されたことないのにキスはした。 正しくはされてしまった。
今目の前であたしが急にフリーズしたことを不思議そうにこちらを見る澤本君に
蓮
花奏
黙り込んで目をそらすあたしに興味なさげな視線がチクチク刺さる
あんなことがあったのに沙友里に彼氏ができたからって、よくもまあ何のためらいもなく呼び出したなぁあたし
とにかく澤本君から安全な距離を保つために隣の机にうつる
だがしかし、やっぱり視線が痛いんですけどお!
バリアのために澤本君のほうにてを並べる
蓮
なんていいながら簡単に手首をつかんでくる澤本君の行動一つ一つに心臓がドキドキして落ち着かない
花奏
捕まれた腕を振りほどくことをあきらめてとりあえず今できる限り顔を背ける
暖房のきいていない空き教室は寒いはずなのに、あたしの体温はぐんぐん上昇中
でもそんなのに耐え切れなくなってごくり、とのどを鳴らしたとき
蓮
花奏
不意打ちの澤本君からの言葉の攻撃。澤本君からしたら何ともないことだけどあたしには今のは大ダメージだ
花奏
蓮
花奏
恥ずかしさやいろんな感情が混ざって自分でも混乱していた
花奏
ああ、ばか。 仮にもキスをしていた相手に聞くなんてものすごく恥ずかしいのに
蓮
蓮
花奏
あのですね? だったらなぜあんたはあたしにキスしたんだ!?
なぜあたしにキスまなんてものをつけた?
た、たえろあたし。 澤本君が失礼なひどい奴だなんてあたしが一番知ってるじゃないか
花奏
震える心を抑えて冷静に聞く
蓮
花奏
改まってそう聞かれると怖くなる。
花奏
この際何でもいい、どんとこいだ!
蓮
いつもみたいに意地悪で言ってるんじゃなくて、あたしを見る目はたまに見せる本気の強い意志の塊みたいな……
その視線と言葉にガツンッて頭を思いっきり殴られたような感覚がした
そう。あたしは澤本君が言うように人を好きになったことがない
もっと言うと恋愛感情での意味の好きがいまいちわかっていない
恋愛小説を読んでいるうちに勝手にわかっている気でいただけだった
彼氏ができない盲点がこんな近くに潜んでいたなんて……
授業中プリントの端っこに落書きをしながら、そんな自分にうなだれた
澤本君にしては珍しいくらいにまっすぐだった。 あたしには見ていられないほどに
そっと同じクラスにいる澤本君をちらっと見る
あたしたちは教室では全く話さない。 まるでお互いがぁ互いを知らない存在かのように
相変わらず女子にキャーキャー言われているのを遠めから見ているだけ
沙友里
沙友里に呼ばれながら目の前で手を振られて、隣にいる沙友里を見た
花奏
沙友里
花奏
先生
花奏
さっきまで黒板にいたはずの先生があたしの目の前にいる
先生
うわあああん! 先生みんなの前でなんてこと言ってくれてんだよお
先生のその一言に、顔がトマトのように真っ赤になった
沙友里
沙友里
花奏
沙友里
沙友里
あたしの親友は友の失態を盛大に笑っている
その出来事のせいで男子にはからかわれ女子たちにはにらまれ、本当にさんざんな目にあった
沙友里
先生からの罰でブルーなあたしをよそに楽しそうに帰っていく沙友里
くっそー!本当に今日はとことんついていない
罰がコピーだから印刷室に行く
花奏
するとそこには先客がいた
橋本先輩…!
長くてきれいな黒髪と対照的に全体的に白い肌
足や腕など全体的に程よく細くてスタイルも抜群
女子高生とは思えないほどの色気が出ていて…
なんていうか…
花奏
橋本先輩
橋本先輩
先輩があたしに気づいて、顔の前で小さく手を合わせた
そんな些細なことでさえすごく絵になる
美人なのに先輩は気取ったりしない
学校中の男子が先輩に憧れてて、先輩には彼氏さんがいるってみんな知っているのに
なかには本気で告白した人もいるといないとか
この一か月、目まぐるしい程あたしの生活は変わったけど一か月前と変わっていないことが一つある
それは先輩とのとこ
花奏
橋本先輩
印刷室のドアをしめてそっと尋ねると先輩は笑顔で了承してくれた
橋本先輩
先輩はあたしの手元にあるプリントに目を落としてにこりと笑った
花奏
橋本先輩
花奏
花奏
橋本先輩
花奏
橋本先輩
今の先輩からは想像できない
花奏
頭をかきながら尋ねてから先輩の悲しそうな、表情で気づいた
その日は二人が別れ話をしていた日… とくに先輩からしたら忘れたい日だったに違いない
あたしのばか!
橋本先輩
花奏
あたしはその時の先輩の表情が澤本君とおなじだったのが忘れられなかった
コメント
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元姫の真実もめっちゃ良い話でしたし面白かったです、 でも!元姫番外編めっちゃ面白いし良い話なのでこれからも応援しますね✨