TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

アシンメトリー□□パペット.

一覧ページ

「アシンメトリー□□パペット.」のメインビジュアル

アシンメトリー□□パペット.

25 - もっと大切なものが見えたとき

♥

330

2023年11月17日

シェアするシェアする
報告する

ウチは卒業までなんのアクションも起こさなかった

柑奈

蘇芳くんっ!写真撮ろ!

蘇芳くん

はいはーい

蘇芳くん

そういえば雅楽、高校オレと同じなんだっけ?

蘇芳くん

まあ偏差値的にはちょーどいいか

柑奈

あー…

柑奈

(あのときはまだ、追いかけようと思ってたからなぁ)

柑奈

そうだよ、水花

蘇芳くん

珍しいなぁ、2人だけだし

蘇芳くん

高校行ってもよろしくな!

蘇芳くんはそう言って笑ったけど

柑奈

うん〜

ウチは

柑奈

(…この恋心はちゃんと、ここに捨てていくよ)

ちゃんと"友達"できるか、不安だった。

柑奈

…よし、うん、かわいい

柑奈

今日もウチが1番かわいい!!!

そう鏡の中の自分に言い聞かせて、鞄を手にする

あれからウチは、蘇芳くんみたいになろうとした

まずは、世間とのズレをちゃんと認めて、"ふつう"な気持ちと考えを知った

それから心理学の本だとかそういうのをたくさん読んで、思考を知った

柑奈

あとは、実践!

何度も鏡を見ながら研究した、自分の表情、特徴

柑奈

えーっ、BesuiT好きなんだ!!流行ってるよね〜!

 

うん!わたしはちろるくんが好きでさぁ!

柑奈

あ、じゃあこの間のアレ良かったよね!?あのときさ───

ちっとも好きじゃないアイドルの話を楽しそうにして

 

柑奈アホだな〜ほんと!

柑奈

こらぁ、ゆんちゃんもでしょっ!

ぜんぶハマりすぎないようにてきとうにして

 

今度遊ぼうよ〜、柑奈どっかある?

柑奈

あ、じゃあこの前イソスタで見たんだけど───

みんなの憧れる、"ふつうのおもしろい子"になった。

挨拶をしてくれる友達はたくさんできた

だけど、自分のトラウマのせいで人に気を遣いすぎて、深く関われなくて

学んだ分だけ人の気持ちが分かる分

自分が都合がいいモノだと思われてることに気づいてしまって、苦しい。

柑奈

ねえコノ───ゆんちゃんたち!

 

なーにぃ、移動いこーっ

柑奈

うんうん、そのことなんだけど今日抜き打ちあるらしい

 

げっまじ!?

 

コノミぃ、教えてよ音楽は得意でしょぉ〜〜

 

もー、ハルカってば

人を、名前で呼ばなくなった

名前という固有名詞で、自分の中に形としたくなかった

あだ名は便利で、忘れたらまた作ればいい

ただ、視線の先や仕草、表情の小さな小さな起伏にだけ気を遣って

人に求められる存在に、なればいい

暗い感情なんていらない

傷ついたり怒ったりすればボロが出る

今みたいにふつうに扱ってもらえるんだから、悲しいわけがない。

ウチなんかが、そんな感情に振り回されてる場合じゃない。

だから、ウチはもうずっと

誰にも見られてなくても、誰をも見ている。

蘇芳くん

それはねーわお前〜笑

柑奈

(…あ)

柑奈

(…蘇芳くんだー)

なんだか蘇芳くんも、余裕が生まれたのか表情が少し穏やかになった気がする

友達に囲まれてるその人は、ウチなんかに気がついたりはしない

蘇芳くん

あ、雅楽、やほー

柑奈

柑奈

(…ああ、違った、そうだ)

柑奈

(人を1番見てるのは、この人)

柑奈

やぁっほ〜

 

友達?あれ幸太くんだよね

柑奈

そうそう、知ってる?

 

あ〜、なんか顔広いよね、私も話したことある

柑奈

へえ…

ウチはそんなにうまくできない

蘇芳くんのソレは才能だろうけど、ウチのは付け焼き刃だから

関わるひとりひとりに全力で、誠実に。

そうやってウチは今日も、必要な存在として、生きられている

今日もちゃんと、笑えてる。

柑奈

(…だから)

柑奈

(ばいばい、あのころのウチ、それから蘇芳くん)

柑奈

ふわぁ〜眠たい

公園の小さなイスから腰を上げる

柑奈

…さて

柑奈

もうそろそろ、気まずい関係は嫌だなぁ

ピロン、とスマホが鳴った

柑奈

(…染花ちゃんだ、ふふ、またなんか怒ってる)

今度は、別に分かってくれなくても、嫌がらない人がいて

ちゃんと、ウチを知ろうと、見ようとしてくれる人がいる

柑奈

(それで十分…ううん)

柑奈

(そのおかげで、頑張れる。)

染花ちゃんに返事を返して何通かやりとりする

少しして、ウチは時計をチラリと見てから、立ち上がった

柑奈

っどわ!

柑奈

ったた…ごめんなさ───

柑奈

柑奈

…あれ?

顔を上げようとして、知っている匂いがした

少し甘くて、でも自然な優しい匂い

柑奈

…もしかして

ウチは顔を上げて言った

柑奈

白玖くん!?

白玖くん

あ?

アシンメトリー□□パペット.

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

330

コメント

14

ユーザー

柑奈ちゃーーーーーーーーー まってーーーまってまってめっちゃさ伝わるの柑奈ちゃんも周りの子もほんとに扱いがちょっと仲いいこって感じで…都合良いって感じで…キッツ……えこれ思うの私だけかな…めっちゃなんか心きたんだけど…

ユーザー

柑奈さんが「コノ…ゆんちゃんたち」って言い直したところは本当は名前で呼びたいけど、広く浅くの関係でいるためにあだ名呼びに変えたっていうのがすごく伝わってきたけど、やっぱり読んでて少し苦しかった……😢😢 今は染花さんと仲良くしているから過去は辛いかもしれないけど前を向いて今を楽しんでいる、っていうのが伝わるくらい柑奈さんが嬉しそうで私も嬉しいな……!! 白玖くんの「あ?」は最高👍((

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚