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奈央と仲直りしてから前のように話すようになった。

だが、私はまだ教室で普通の生徒のように勉強することは出来ていない。

それが、とても憎いのだ。

そんな自分が嫌で嫌でしょうがない。

東宮奈央

はい藍ちゃんこれ

咲野藍

あーありがとう

奈央とはクラスが同じだ。

奈央は仲直りしてから休み時間に授業のプリントやノートを持ってきてくれるようになった。

だから、未だ教室に行けていない自分が嫌なのだ。

東宮奈央

藍ちゃん分からないところがあったらいつでも言ってね

咲野藍

うん、ありがとう

そこで、次の授業の5分前のチャイムがなった。

東宮奈央

じゃあ、ばいばい!

咲野藍

ばいばい

奈央は次の授業の準備をするために教室に帰った。

休み時間に保健室に来てチャイムがなったら帰るというルーティンはそうそうできるものでは無い。

その点において、私は奈央のことを尊敬している。

同時に私のことを心配してくれてありがとうとも思う。

小日向芽衣

なんか私たち要らなくね?

姫沢桜良

そうよね〜

姫沢桜良

親友と仲直りしたもの

姫沢桜良

私達より親友の方が大事に決まってるでしょ

はぁ...こいつらは何も分かってない

咲野藍

あんたら必要に決まってるでしょ

咲野藍

奈央とばっかり話してたら頭がカチコチになるから

咲野藍

あんたらで柔らかくしないとね

小日向芽衣

は?それどういう意味だよ

咲野藍

そのまんまの意味よ

咲野藍

あららら?もしかして馬鹿には今の分からなかった?

小日向芽衣

てめぇ...まじで殺す

咲野藍

馬鹿にそんな度胸あるの?

藤岡知子

あなた達やめなさいよ

とまあ喧嘩はこいつらとしか出来ないのでこいつらが居ないと何かと困るのである。

成瀬春樹

先輩これ食べます?

今日の昼はこいつと2人きりである。

それにしても冬で屋上は昼間とはいえ寒い。

咲野藍

なにそれ?

成瀬春樹

僕が作った卵焼きです

成瀬春樹

一応自信作なんですけど

咲野藍

くれ

成瀬春樹

はいあ〜ん

咲野藍

うま

こいつもしかして料理上手か?

高校生って普通こんな美味い卵焼き作れるのか?

成瀬春樹

よかった!

成瀬春樹

また作りますね!

咲野藍

いやお前の弁当だろ

咲野藍

お前が食べたいもの作れよ

成瀬春樹

いいんですよ

成瀬春樹

僕は先輩の笑顔が見れればそれでいいんです!

咲野藍

はいはい

成瀬春樹

先輩のお弁当美味しそうですねー!

咲野藍

これ全部冷凍だから

成瀬春樹

先輩が詰めたんですか?

咲野藍

うん

咲野藍

母親の弁当食べたくないから

しまった

空気が悪くなる

こいつに空気を読ませてしまう

成瀬春樹

先輩のお弁当って冷凍食品も高級食品に見せる魔法がかかってるんですか!?

咲野藍

かかってるわけねーだろ

咲野藍

馬鹿か?

成瀬春樹

それくらい美味しそうってことですよー!

成瀬春樹

先輩、相変わらず毒舌なんですからー!

成瀬春樹

まぁそんなとこも大好きです!

咲野藍

はやくたべろ

こんなくだらない話をしていると昼休みが終わってしまう。

私とこいつは黙々と弁当を食べた。

成瀬春樹

先輩デートしません?

咲野藍

は!?

いきなり過ぎてご飯を口から出すとこだった。

危ない...危ない...

成瀬春樹

いいじゃないですか

成瀬春樹

ふと考えたんです

成瀬春樹

こんなに仲良くなったのに今まで1回もデートしたことないなって

咲野藍

はぁ...

咲野藍

誰が行くか

成瀬春樹

そう言うと思いました!

成瀬春樹

なので条件つけます

成瀬春樹

デート中は先輩の行きたいお店、食べたいもの全部奢ります

咲野藍

まじ?

成瀬春樹

まじです

咲野藍

はぁーー

まぁ...夏休みとか外出すればいつもこいつがいたし変わらねぇか

咲野藍

わかった

成瀬春樹

やったーー!

こうして私は真冬にこいつとデートすることになった。

デートの待ち合わせはこの駅だ。

私が時間ぴったりに向かったらもうあいつは着いていた。

成瀬春樹

先輩!可愛い!

成瀬春樹

先輩の私服ってやっぱ可愛いですよねー!

会ってそうそう私の私服をジロジロ見てきた。

普通にきめぇ

咲野藍

速く行くぞ

成瀬春樹

待ってください先輩!

奢ってもらうんだ。今日は私が食べたいけど我慢してたもの全部食べる。

店員

いらっしゃいませ〜

成瀬春樹

2人で!

店員

こちらへどうぞ〜

私達は店員に言われるがまま席に着いた。

店内は綺麗なカフェである。

この店の目玉のパンケーキがめっちゃ美味そうなのだ。

成瀬春樹

先輩何食べます?

咲野藍

私決まってる

成瀬春樹

じゃあ僕は先輩と同じものにします

なんだこいつ

食べるものも自分で決められないのか?

咲野藍

なんで?

成瀬春樹

先輩と同じ味覚になれるからです!

咲野藍

は?

成瀬春樹

先輩は今こういう味のもの食べてるんだな〜とか

成瀬春樹

こういう香りを嗅いでいるんだとか想像したいからです!

咲野藍

きも

成瀬春樹

ひっどーい!

うるせぇ

こいつ店内で静かにするっていうモラルもないのか?

店員

どうぞ〜パンケーキです

成瀬春樹

ありがとうございます

美味そう

さすが目玉のパンケーキだけあって生地もしっかりしている。

成瀬春樹

いただきまーす!

咲野藍

いただきます

うま...

成瀬春樹

これ美味しい!

うるさく食べるやつとは反対に私は好きなものは黙々と食べてしまう性格なのだ。

黙々と食べている中でふとあいつのことをチラ見する。

成瀬春樹

どうしました?先輩

そうすると私の視線に気がついたのか尋ねてくる。

咲野藍

いや

成瀬春樹

咲野藍

なんで...私のこと好きになったのかなって...考えちゃった...

成瀬春樹

またその話ですか?

以前この話をした時にこいつにしつこく言われた。

「そんなことは考えなくていい」と言われた。

だが、最近ますます考えてしまうのだ。

成瀬春樹

何度も言ってるじゃないですか

成瀬春樹

一目惚れしたのが先輩だっただけですよ

不服だ。

咲野藍

私、過去言ったじゃない

咲野藍

本当は言いたくなかったけど

咲野藍

あんたに言わされたのよね〜

咲野藍

あんたも言うわよね?

成瀬春樹

いやそれとこれとは話が違うじゃないですか〜

咲野藍

早く言え

成瀬春樹

はぁ...わかりましたよ

成瀬春樹

あれは僕が入学した時のことです

淡々と話し始めた。

私はパンケーキを食いながら話を聞いていた。

僕の家は父子家庭です。

僕が入学する少し前に両親は離婚し親権は父親になりました。

離婚やら親権やらで僕はむしゃくしゃしてたんです。

さらに父親は親権を取ったとはいえ僕のことはろくに世話をしていませんでした。

料理、洗濯、掃除全て僕がやっていました。

「父子家庭」と言えばどいつもこいつも話のネタにしてくると思い高校では友達を作る気ではありませんでした。

成瀬春樹

はー

成瀬春樹

高校生活面白くない予感がする

成瀬春樹

父子家庭だもんなそりゃそうか

成瀬春樹

高校生って普通は青春して、彼女作ってとかじゃないの?

成瀬春樹

人生こんなもんなのかなー

でも...

小日向芽衣

今日どこ行くんだよ

咲野藍

知らん

姫沢桜良

ならいつもの商店街行きましょうよ

成瀬春樹

え...?

僕の心の中のむしゃくしゃを全部吹き飛ばすかのように先輩は現れたんです。

その顔、その声、その性格

僕は一瞬で一目惚れしました。

他の誰でもない先輩のことを好きになりました。

それから僕は先輩のことを調べました。

同学年では無いことはわかったので、クラスメイトに聞きました。

そしたら先輩達「教室に行っていないヤンキー」って1年の間でも有名になっててますます好きになりました。

だから僕はその後保健室に行って事情を話してあの日告白したんです。

まぁ、先輩の性格からして絶対に振られることはわかってましたけど。

逆にOKされたら怖いです。

成瀬春樹

はい、話しました

成瀬春樹

さぁ先輩全部食べて次のお店行きましょう!

咲野藍

...

改めて考えると私はこいつのこと何も知らなかったんだなと思う。

父子家庭なのも初めて知った。

父子家庭だとしたら今まで私が話した母親の話はどう受け取っていたのだろうか。

そう考えると一気に気まずくなる。

成瀬春樹

先輩?どうしました?

咲野藍

いやなんでもない

私はこいつに今までの私の言動を謝ろうと思ったが、

謝ったらこいつは調子に乗るなと思いやめておくことにした。

この日のデートは全てこいつの奢りであり、私は行きたいところに全て行くことが出来た。

こういうものは...

意外と悪くないかもしれない...。

先輩、大好きです。

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