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蒼弥

この話し合いが最後の話し合い

蒼弥

僕か桃華さんのどちらかが死ぬことになる

ピートル

おやおや?

ピートル

いつも通りお早い到着ですね

ピートル

覚悟の方はできてますか?

蒼弥

このゲームが始まった時から出来てるよ

ピートル

返答の仕方も随分強気ですね

ピートル

やはり真実を知ったからですかね?

蒼弥

……

ピートル

ピートル

どうやら彼女もやってきましたよ

桃華

………

桃華

これが最後の話し合いね

蒼弥

…あぁ

ピートル

ではお二人共お集まりいただいたので

ピートル

最後の話し合いのルールを説明しましょう

ピートル

恐らくですがお二人共互いの情報を持っているはずです

ピートル

これはどちらも殺人鬼ということを示してます

ピートル

私が最初に話したルールでは殺人鬼が居なくなった時

ピートル

逃がすという話でした

ピートル

しかしおふたりとも殺人鬼なので本来は生かしておくことはありません

ピートル

ですが、今回は私の慈悲によってこのゲームに勝利した方を逃がします

ピートル

肝心のゲーム内容ですが

ピートル

至って簡単です

ピートル

相手に自首をさせてください

ピートル

やり方は特に縛りませんがゲームの最中に殺すなんてことはやめてください

ピートル

ゲームの最後の罰ゲームに死んでもらうのですから

ピートル

ここまででなにか質問は?

蒼弥

そのルールだと互いが認めなければ永遠に続かないか?

ピートル

えぇそうですよ?

ピートル

一見すれば穴のあるルールに見えますが

ピートル

これすらも見越したものになってます

ピートル

互いが認めなければ永遠に続く

ピートル

ここにはろくな食料はありません

ピートル

なので認めない状態が続けばお腹は空いていきます

ピートル

そしていずれ餓死となるでしょう

ピートル

それが辛いのならばいっその事楽にしてくれと

ピートル

そういうことになります

桃華

半強制的に自首させるのね

ピートル

その通りです

ピートル

まぁもちろん互いが認めない状態が続いたところで私は構いませんが

ピートル

苦しむのはおふたりなのでね

桃華

それじゃあ私からも一つ質問

ピートル

どうぞ

桃華

今回あなたの隣にあるナイフは一体何なの?

ピートル

あちゃー気づかれましたか

ピートル

これは今回の処刑に使うものです

ピートル

この際なので最後の処刑方法を教えましょう

ピートル

最後の処刑方法は勝者が敗者に直接トドメを指してもらいます

蒼弥

……

桃華

……

ピートル

うーむ

ピートル

そんな難しい顔をしなくてもいいじゃないですか

ピートル

最期くらい華を持たせましょうという私からの粋な計らいですよ

桃華

……そう

ピートル

あらら…冷めちゃいましたか

ピートル

まぁなんだっていいです

ピートル

それでは話し合いの方を始めてもよろしいですか?

蒼弥

構わない

桃華

私もよ

ピートル

では!話し合いスタートです!

蒼弥

どっちから話を切り出す?

桃華

時系列順に話していきましょう

蒼弥

その前に1つ

桃華

蒼弥

自首する気は?

桃華

ある訳ないじゃない

桃華

蒼弥もないんでしょ?

蒼弥

もちろん

蒼弥

互いが恨んでる相手だからな

桃華

やっぱりちゃんと記憶取り戻したみたいね

桃華

今の蒼弥は私の知ってる蒼弥じゃないけど

蒼弥

いや、お前の知ってる蒼弥だ

蒼弥

とりあえず時系列順に話していこうか

桃華

分かったわ

蒼弥

まず僕からだ

蒼弥

事の初めは僕の父さんが死んだことから始まった

蒼弥

父さんが死んでそのショックで母さんは壊れた

蒼弥

そして行き場のない悲しみと無意味な怒りは僕にと当てられる

蒼弥

ようは虐待を受けていた

桃華

蒼弥と私はあなたのお母さんが壊れるより前に知り合っている

桃華

その時はほぼ毎日のように遊んでいたがある時を境に

桃華

私と蒼弥は遊ぶことが無くなった

桃華

そんなある日いつも二人で遊んでいた公園にやってきた時

桃華

人影のない茂みの中に座り込む蒼弥を見かけた

桃華

そしてあなたの独り言全てを聞いた

蒼弥

僕が一輪の花に向かって今の無情な時を話してるあの時

蒼弥

君は僕の後ろにいたってことか…

桃華

私はあなたが虐待されてるのを知り怒りを覚えた

桃華

大人のくせに責任を自分の子供になすり付ける事が気に食わなかった

桃華

いや、現実を見たくないからって子供に当たることかもしれない

桃華

なんにせよ虐待という事実が私を奮い立たせた

桃華

そして日をかけて計画を実行し雷雨のあの日あなたのお母さんを殺した

蒼弥

その時僕は君が母さんの前に立ってニヤリと笑ってたのを覚えてる

蒼弥

確かに僕は母さんから虐待を受けていた

蒼弥

でも、母さんのことは嫌いじゃなかった

蒼弥

優しかった母さんはそこにはいなかったけれど

蒼弥

それでも僕に残された唯一の家族

蒼弥

それをあの場で奪われたんだ

蒼弥

そのショックで僕は二つに分かれた

蒼弥

喜怒哀楽

蒼弥

大きくわけこの4つが人間誰しも持っている

蒼弥

その中で喜怒と哀楽というように二つに分かれた

蒼弥

表に出る僕は哀楽のほう

蒼弥

気丈に振る舞うも心のどこかで母さんを思うそれは哀しい時が多かった

蒼弥

そして今出てる僕…喜怒の方だ

蒼弥

怒りにより誰かを殺害するそれ自体に喜びを感じるそんな狂った僕だ

蒼弥

母さんが目の前でなくなったあの日に今言った2つの感情が生まれ

蒼弥

母さんを失った怒りが僕を生んだ

蒼弥

そして同じ苦しみを与えるよう僕も計画をした

蒼弥

それが君のお兄さんを殺す計画だ

蒼弥

母さんが壊れるより前僕と君とで遊んでいたあの時

蒼弥

保護者として同伴するのはお兄さんだった

蒼弥

両親が居ない訳では無いのに毎回お兄さんが保護者としてきていた

蒼弥

この事から僕は彼女にとって大切な存在はお兄さんと気がついた

蒼弥

だからお兄さんを殺す計画を立てた

蒼弥

やり方は簡単だった僕が危機に瀕していれば助けてくれる

蒼弥

その優しさを逆手にとって襲えばよかった

蒼弥

その結果は君も知ってるはずだ

桃華

やっぱりあの時お兄ちゃんが助けた子は蒼弥だったのね…

蒼弥

僕が君のお兄さんを殺したことにより喜びを感じた

蒼弥

しかしそれがきっかけになり表の僕が所有権を取る

蒼弥

表の僕はこの現状がわからず怖くなって逃げ出した

蒼弥

これが僕たち二人の封印された幼少期だ

桃華

その後私はお兄ちゃんを失ったショックで無理やり記憶を改ざんした

桃華

お兄ちゃんという存在を消した

蒼弥

僕の方も同じだ

蒼弥

今話してる僕という人格、それと母さんの詳しい死因を封印した

蒼弥

だから表の僕は今の僕を知らなかったという事だ

桃華

互いに恨んでる相手だから引かないわけね

蒼弥

そういうことだ

蒼弥

真実を語るのは僕だったがあとの主導権はもう1人に任せる

蒼弥

単純な話し合いはこいつの方が上手いからな

蒼弥

蒼弥

……

桃華

蒼弥?

蒼弥

うぅ……

蒼弥

あ…れ?

蒼弥

もう話し合いが始まって……

桃華

確認していい?

蒼弥

なにを?

桃華

さっきまでの話覚えてるか

蒼弥

ふわっとしか分からない

蒼弥

僕も桃華さんも殺人鬼だっていうことしか

桃華

そう…

桃華

ねぇ?

蒼弥

桃華

自首する気はないかしら?

蒼弥

それは……

蒼弥

蒼弥

無理だよ…それは

蒼弥

母さんを殺した犯人が目の前にいるんだ

蒼弥

少なくても怒りは僕にだって芽生えてる

桃華

そっか……

蒼弥

そういう桃華さんこそ自首する気はないの?

桃華

私が自首する、ね

桃華

ある訳ないと言い放ったけど…

桃華

少し揺らいでる自分がいる

蒼弥

桃華

私が死ねばお兄ちゃんに会えるかもしれない

桃華

私の唯一の理解者に会えるかもしれないんだ

蒼弥

唯一の理解者って…

蒼弥

さっきまでの話し合いの中にそんな言葉ひとつもなかったような…

桃華

えぇなかったわよ

桃華

もう1人のあなたに話す気がなかったからね

蒼弥

そうだよね……

蒼弥

負の感情で出来た僕が憎いんだもんね

桃華

でも私のよく知る今の蒼弥なら話してもいいかもしれない

桃華

私があなたのお母さんを殺してしまった

桃華

その本当の理由を……

話”死”合い【終】

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コメント

1

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この回で終わらそうとしましたが長くなりそうだったので二分割します

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