この日も雨が降っていた
私が何かを決意すると
やっぱり太陽が隠れてしまう
緊張で押し潰されそうだけど
今の気持ちをちゃんと伝えたい
そう思っていた
場所はあの時と同じカフェ
波瑠が到着したのは
私が到着して十分程、経った頃
波瑠
愛紗
前回と同じようにホットコーヒーを注文すると
波瑠はあの日の恭也さんと同じアイスレモンティーを注文した
単なる偶然だとは思うけど
恭也さんの言葉を思い出して少しだけ嫌な気分になった
もう完全に気持ちがなくなっていることを実感する
波瑠
愛紗
波瑠
別にコーヒーが好きな訳じゃない
ただ今は他の飲み物を飲む気にはなれなかった
波瑠の目の前に置かれたワインレッドのアイスティー
そこにそっとレモンを絞る
徐々に色が変化していく紅茶を眺めながら
波瑠が口を開いた
波瑠
愛紗
愛紗
波瑠
愛紗
愛紗
波瑠
波瑠
波瑠
波瑠の言葉が引っ掛かる
まるで私が悪いみたいな言い方に聞こえてしまう
波瑠
波瑠
やっぱり波瑠はわかっていない
私がどんなに苦しかったか
どんなに辛くて悲しくなったか
目の前にいる好きだったはずの人が
怪物に見えてしまったあの瞬間の恐怖
あんなことがあったのに
それでも一緒に行けって言うの?
波瑠
波瑠
愛紗
波瑠
愛紗
波瑠
波瑠
ここで気づいた
波瑠の気持ち……
愛紗
波瑠
波瑠
波瑠
波瑠
波瑠
愛紗
波瑠
こんな時
どんな言葉を返せばいいんだろう?
何を言えば波瑠は納得してくれるの?
私にはもう気持ちがない
あんなことをした人とシンガポールになんて行けない
波瑠
愛紗
波瑠
愛紗
かわいそう?
あんなことがあったのに?
逃げた私が悪いの?
拒絶しちゃいけなかったの?
一度、付き合ったら
相手に何をされても従わないといけないの?
私は恐怖で全身が震えて
苦しくてたまらなくなったのに
愛紗
波瑠
波瑠
愛紗
愛紗
愛紗
思わず声が大きくなり
回りの視線が集まってしまった
波瑠
波瑠
愛紗
愛紗
波瑠
愛紗
波瑠
波瑠
愛紗
波瑠
愛紗
愛紗
愛紗
ダメだ……
やっぱり波瑠は理解してない
恭也さんが好きだから
どうしても恭也さん目線で考えてしまうのかも
波瑠は一番、言ってはいけない言葉を言った
"キスくらい"
それがどれだけ嫌だったかをわかっていない
あの時、私はフラッシュバックを起こしていた
元彼A
それなのに
"キスくらい"って
愛紗
愛紗
愛紗
愛紗
愛紗
愛紗
愛紗
愛紗
もうダメだ
これ以上は何を言っても伝わらない
目の前にいる波瑠の顔が
物凄く歪んで見えた
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