主
すすけた木製のドアを前に、 走って乱れた呼吸を整える。
主
主
私は冷たい金属製のドアノブに 手をかけた。
ギィィィィィ
軋むドアを開けて 真っ先に目に入ってきたのは
頭をかきむしり、 荒らげた声で叫び散らす ラトの姿だった。
主
思わず叫んだその名前に
彼ははっとした顔でこちらを向いた。
その瞬間、なにかが体にぶつかった。
???
ガシャーン!!!
???
突然の衝撃に閉じた目を 恐る恐る開くと
こちらをのぞき込む フルーレの瞳があった。
主
フルーレ
フルーレが心配そうな顔で 声をかけてくれる。
主
主
主
にこっといつも通り笑うその顔に
血が滲んだ。
主
主
わたしはハンカチを取りだし、 フルーレの額にあてた。
布に染み込んでくる彼の血が
手の平にじわじわと伝わる。
主
主
フルーレ
震える手をそっとぬくもりがつつむ。
フルーレが傷をおさえるわたしの手に自分の手を重ねてくれていた。
主
主
フルーレ
主
見上げると、 穏やかな笑顔で視界が いっぱいになる。
いつもの、いつも通りの 愛らしい彼の微笑みがあった。
フルーレ
主
主
主
フルーレ
私の手を包む彼の両手は かすかに震えていた。
フルーレ
フルーレ
フルーレ
フルーレ
フルーレ
フルーレ
しかし、まっすぐに思いを訴える赤い瞳はしっかりと私を貫いた。
フルーレ
フルーレ
主
主
私はもう片方の手で、 フルーレの白い手を しっかりと握った。
主
主
主
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