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君消えし春のアケボノは
夜と共に消えていく
君は実に素直じゃないねと
泣いて笑うもいとをかし
夏菜
朔の母
朔の母
夏菜
朔が死んだ
まだ実感はわかないけれど
昨日の夜に息を引き取ったんだと
朔のお母さんが教えてくれた
朔の母
朔の母
朔の母
夏菜
夏菜
違う…
朔は、 私がお見舞いに来ることを嫌がっていた
1ヶ月前に言われたあの言葉が
今も私の耳元で響いているから…
ー1ヶ月前ー
朔は、2ヶ月前から 重い病気にかかっている
もう長くはないようで
持って半年とのことだった
私は朔と仲が良かったし
好きだったから
ずっとお見舞いに行っていた
夏菜
朔
朔
夏菜
朔
夏菜
朔
夏菜
夏菜
朔
夏菜
朔
朔
朔
朔
夏菜
夏菜
夏菜
夏菜
その日以来 私はお見舞いに行かなくなった
ううん、行けなかった
合わせる顔が無いと思ったから…
本当はずっと行きたかったのに
ごめんって言って会いたかったのに…
桜が咲いても、私はそれをしなかった
意地を張ってしまったんだ………
夏菜
朔の母
夏菜
夏菜
朔の母
朔の母
朔の母
朔の母
朔の母
朔の母
朔の母
夏菜
朔の母
朔の母
朔の母
夏菜
朔の母
朔の母
夏菜
手紙、かぁ…
あの朔が一生懸命書いたんだと思うと
すぐに読みたくなって封を開けた
中から便箋を取り出して広げてみると
それはたしかに 朔の文字でいっぱいだった
夏菜
“夏菜へ”
“夏菜がこれを読んでるってことは、
俺はもういないんだろうな。”
“見舞いに来てくれるの
本当はすげー嬉しかった。”
“1ヶ月前のあの日はごめん。”
“実は、あの日の次の日から
結構きつい治療が始まる予定だったんだ。”
“どんどん弱っていく俺を
夏菜には絶対に見せたくなかった。”
“でも、あの言い方はないよな。”
“本当ごめん。”
“まあ、夏菜は可愛いから自信持て!w”
“俺はそろそろ死ぬと思う。”
“だから、死んだ奴に言われても
全然嬉しくないと思うんだけど
どうしても伝えたかった。”
“ずっと前から夏菜が好きだ!”
“今更で、しかも俺でごめん。”
“ヤベェ、そろそろ逝きそう。w”
“葬式だけはちゃんと来いよ?”
“最期にもう1回夏菜に会いたかった。”
“なんてな。”
“俺のことは思い出さなくていいから
とにかく前を向いて生きてくれ!”
“それだけで俺は嬉しいから。”
“なんて、やっぱ寂しいや。”
“たまには思い出してくれよ?w”
“でもちゃんと前見て進め。”
“今までごめん。”
“そしてありがとう。”
“じゃあな、夏菜。”
“朔より”
夏菜
夏菜
夏菜
夏菜
便箋の端には 日付と時間が書いてあった
日付は昨日で時間は夜…
つまり、朔は本当に死ぬ直前に
最期の力を振り絞って書いたのだ
朔…
夏菜
夏菜
夏菜
夏菜
夏菜
夏菜
夏菜
夏菜
夏菜
夏菜
涙で湿った便箋を封筒にしまった
ー1日後ー
今から私は葬式に参列する
朔への想いは詩にして書き留めた
夏菜
君消えし春のアケボノは
夜と共に消えていく
君は実に素直じゃないねと
泣いて笑うもいとをかし
君は窓から桜を見たか?
儚く優美な夢芝居
もう一度だけ逢えたのならと
アケボノの空見て恋い焦がれ
それでも前見て進むべし
時折なら振り返り良し
ただただ君に感謝する
花手向ければ
なおをかし
舞い散る桜 風と共に
私の心 君と共に
好きが重なった今想う
前を向いて歩いていく
それが私の使命だと
夏菜
暖かい春の木漏れ日の中
朔が見守ってくれている気がした
完