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北海道の北部、ひときわ険しい山々が連なる地域に、ひそかな恐怖が広がっていた
「殺人事件の容疑者である男が、山中に逃げ込んだ」と・・
町では連日ニュースが騒ぎ立てていた
ポチポチポチポチ
秋田翔太
秋田翔太
と、ネットカフェの一室でパソコンを操作しながら呟く男がいた
都会から地方都市に流れ着き・・
工事現場や配送業など、日雇い労働でその日暮らしを送る青年
まともな将来など想像すらできない生活を続ける中で・・
翔太はいつしか金への執着を強く抱くようになっていた
秋田翔太
秋田翔太
スクロールしていく中で、ある一つのバイトの内容に目が留まった
急募
人を見つけるだけの簡単なアルバイト
日給50万円
秋田翔太
翔太はクリックして詳細を確認した
しかし、そこには具体的な仕事内容は記載されておらず・・
「仕事内容は現地にして説明します」とだけしか書かれていない
秋田翔太
それはあまりにも簡素すぎる内容で怪しい雰囲気を漂わせていた
秋田翔太
秋田翔太
しかし、翔太にはそんなことを気にする余裕は無かった
借金取りの影に怯える日々を抜け出し、まとまった金を手に入れるチャンスだと考えた
応募する
ピコーン
数時間後、スマホにメッセージが届いた
明日◯▲時、■◯▲に集合。詳細は現地で説明する
秋田翔太
秋田翔太
集合場所は山の麓にある廃屋のような建物だった
集合場所には4人が集まっていたので、そこに向かった
秋田翔太
秋田翔太
髙木
集まったメンバーはどこか怪しい雰囲気を漂わせていた
大西 : 筋骨隆々の男。表情が硬い 中村 : 中年の冴えない男。怯えた目つき 山口 : 若い女性。無愛想 髙木 : 胡散臭そうな青年。陽気
4人それぞれの顔を見渡すが、どこか皆異様に緊張しているように見えた
少しの沈黙の後、口火を切ったのは派手な服装の青年、髙木だった
髙木
髙木
髙木
大西
と答えたのは、大西。彼の体格は一見して只者ではないことを物語っている
中村
そう呟いたのは、怯えた様子の中年男性、中村だった。顔色が悪い
山口
山口
冷たく言い放ったのは、無愛想な若い女性、山口だ
秋田翔太
翔太はそんなやり取りを黙って聞いていたが・・
内心の不安がじわじわと膨らんでいくのを感じていた
暫くして、集合場所に大きな荷物を背負った主催者らしき男が現れた
名前は浅田と名乗った
浅田は無駄の無い動きで近づくと、一言、静かに切り出した
浅田
浅田
秋田翔太
翔太が聞き返すと、浅田は頷き、言葉を続けた
浅田
浅田
浅田
浅田
その名前を聞いた瞬間、場の空気が一変した
中村は目を見開き、声を震わせた
中村
中村
中村
中村
浅田
浅田
浅田
浅田の話から分かったのは以下のことだった
今から3年前、札幌市内で発生した金銭絡みのトラブルで、3人もの人間を刃物で襲った罪で指名手配中の人物、それが、片桐健治。
かつて暴力団と繋がりを持ち、金のためなら平然と非道を行う冷血な性格だと知られている。その片桐が、事件の直後に忽然と姿を消し、最近になって北海道の山中に逃げ込んだ情報がもたらされた。
浅田
浅田
浅田
未だ誰一人として戻らないらしい
浅田
秋田翔太
浅田
浅田
浅田
浅田
浅田の声には冷静さと共に、どこか底知れぬ怒りが込められていた
浅田
浅田
浅田
浅田
浅田
浅田
浅田
場は静まり返ったが、誰一人としてその場を立ち去る者はいなかった
山に入る前に5人は浅田から以下のものを渡された
ウェストポーチ 地図 コンパス 水(500mlペットボトル)
ザッサッ!!ザザッ!!
5人は浅田の指揮のもと、山中に足を踏み入れた
険しい山道を進む中、自然と口数は減り、緊張感が彼らの間に漂っていた
秋田翔太
秋田翔太
山はどこまでも深く、冷気が肌を刺す
シュルルッゥウウ!!サザ
ヒュゥウウ!!ザザザ
木々がうねるように立ち並び、その間を吹き抜ける風が不気味な音を奏でていた
翔太は後ろを歩く髙木と中村の足音を聞きながら、心の中の不安を押し殺していた
道中、浅田が立ち止まる
浅田
浅田
浅田
浅田
髙木
髙木
髙木は軽く笑い飛ばそうとするが、明らかにその声には焦りが混じっていた
浅田
浅田が淡々と返すと
髙木
と呟き、髙木は俯いた
①浅田 髙木 中村 ②秋田 大西 山口 の2チームに分かれた
浅田
浅田からトランシーバーを渡された後、指示に従い、山道のさらに奥へ進んでいった
ザジッ ザザッ パキッ
秋田翔太
大西
大西
山口
山口
山口
山口
秋田翔太
大西
秋田翔太
さらに奥へ…
秋田翔太
秋田翔太
途中、山口が声を上げた
山口
彼女が指差したのは何かの残骸だった
そこには、破れた服?の切れ端や、何かに踏み潰されたであろう機械の一部分が転がっていた
翔太はその場に駆け寄り、怯えた声で呟く
秋田翔太
秋田翔太
大西
大西
大西が冷静に言葉を返すが、その表情にも不安が浮かんでいる
翔太が辺りを見回していると、ふと地面に別のものが入った
秋田翔太
秋田翔太
秋田翔太
秋田翔太
秋田翔太
大西
山口
山口
山口
山口
山口
大西
秋田翔太
山口
山口
秋田はトランシーバーを取り出し、浅田に報告を入れる
秋田翔太
浅田(トランシーバー)
秋田翔太
秋田翔太
秋田翔太
秋田翔太
少し間があった後、浅田の声が返ってくる
浅田(トランシーバー)
浅田(トランシーバー)
秋田翔太
浅田(トランシーバー)
浅田(トランシーバー)
髙木?(トランシーバー)
髙木?(トランシーバー)
髙木?(トランシーバー)
浅田(トランシーバー)
浅田(トランシーバー)
浅田(トランシーバー)
秋田翔太
浅田との会話を終えようとした次の瞬間
トランシーバー越しに浅田の絶叫が響いた
なん 助け て!!
ああ"アア"ああ!!
秋田翔太
声の後に響いたのは、激しい咆哮と何かが裂けるような音
通信はぷつりと途切れた
大西
秋田翔太
秋田翔太
秋田翔太
山口
逃げてええええ!!
秋田翔太
山口が大声で"逃げて"って後ろからこっちに向かいながら言うもんだから
振り向いたんだ
でも、もう遅くて
前足を振り上げてるのを見たら
逃げられないってのはすぐに分かった
わかんない
おれ どうなったんだっけ?
いきてる いま?
あったかい…
あれ?
ああ…
"全員"が消えた山には、再び静寂が訪れた
風が木々を揺らし、遠くで鳥の鳴き声が聞こえるだけだった