TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

実力発表会 会場

最後から2番目の 発表者が終盤を迎えていた

ガミス

ふふ

ガミス

この次がマリーニの番…

ガミス

間に合わないわねぇ

ジュベア

きっと今頃、部屋で
絶望しているでしょうね

リリーナ

あは♡いい気味ですの♡

リリーナ

ガミス様に楯突くから
ですの♡

ガミス

由緒正しき
バイオリン一家のお嬢様が

ガミス

バイオリンの発表会を
サボったなんて知れたら

ガミス

退学させられるどころか

ガミス

二度とバイオリンを触らせて
貰えないでしょうね…

ガミス

いい気味だわ

3人が笑うその横で

ゼーデラとダエルは焦っていた

ゼーデラ

(間に合わない……か)

ダエル

(何してんだよ…サジー!)

演奏が終わり

司会がマイクを取る

司会

素晴らしい演奏を
ありがとうございました!

司会

それでは

司会

次が本日最後の発表者と
なります!

司会

マリーニ・ミラーです!
大きな拍手を!

大きな拍手と歓声が会場を包む

…………が

司会

あれ、マリーニさん…?

肝心の主役が現れない

司会

……えっ
来ていない…?

動揺する司会者

その異変に会場はどよめきだす

何かあったのかな?

体調不良とか……

司会はほかのスタッフに 話しかける

司会

ど、どうしましょう…

司会

何も聞いてない?

ガミス

怖気ついて
サボったのでしょ?

ガミスが声を張り上げる

どよめいた会場はその声で 沈黙に包まれる

ガミス

司会者様、どうします?

ガミス

このまま現れない人を
待つなんて無駄でしょう?

ガミスは司会に問いかける

司会

それは…まぁ

ガミス

外部の楽団やお偉い
お客様もいらっしゃるのよ?

ガミス

ねぇ?

ダエル

(こいつ…!)

ゼーデラ

(マリーニを追い詰めつつ
自分の株は上げよう…って魂胆か)

ゼーデラ

(随分と姑息な真似を…)

ゼーデラ

(……でも)

ゼーデラ

(マリーニが現れないんじゃ
どうしようも…)

司会は暫く黙り込む

…が

司会

そう、、ですね

司会

マリーニさんには後で私から
確認を取りますので

司会

本日の発表会はこれで…

そう言いかけた時

会場内に響く 凛とした声

会場に滑り込んだ

マリーニとサジー

司会

マ、マリーニさん!

司会

…と

司会はサジーの方を見る

サジー

割り込んじゃって
ごめんなさい!

司会

えっ…あの

マリーニ

遅れてしまい
申し訳ありません

マリーニ

その…………

マリーニ

えっと……

サジー

あたし!転校生の
サジー・ハートです!

サジー

会場の場所が分からなくて
迷っちゃって!

サジー

通りかかったマリーニが
案内してくれてたんです!

サジー

だから遅れたのは
私のせいです!

サジー

マリーニは
悪くありません!!

マリーニ

え……

「そんなこと、していないわ」

そう言いかけるマリーニに サジーは目くばせする

サジー

(大丈夫)

サジー

(私が何とかする!)

サジー

司会者さん

サジー

まだ間に合いますよね!?

サジーは司会に詰め寄る

ガミス

遅れた癖に図々しいんじゃ
無いかしら?

ここでもガミスが立ち上がる

ガミス

これだけ大勢の人を
待たせたのよ

ガミス

まさか「ごめんなさい」で
済ますつもり?

そうだ!そんなやつ
演奏する資格ない!

でも間に合ったよね……?

再び会場がざわめき出す

だが、意見は2つに割れているようだ

ゼーデラ

(…委員長のオレが)

ゼーデラ

(何とかしないと…)

ゼーデラが立ちあがったその時

サジー

あーあー

サジー

マイクテスト
マイクテスト

サジー

うん、バッチリ!

サジーがステージ中央の マイクを取る

マリーニ

サジーなにを

サジー

さっき言った通り

サジー

私、転校生なんです

サジー

初めての大きな学校で
すごくナーバスになってて

サジー

そんな時
マリーニのバイオリンを
聴いたんです!

サジー

優しくて、綺麗で

サジー

でも力強くて

サジー

なにより、
マリーニ幸せそうで

サジー

緊張なんか吹っ飛ぶくらい

サジー

私も幸せになったんです!

マリーニ

サジー……

サジー

この会場の皆にも
聴いてもらいたい!

サジー

幸せな気持ちに
なってもらいたいんです!

サジーは大きく息を吸う

サジー

聴きたくないですか!!?

サジー

マリーニの演奏!!

会場に投げかける

ガミス

ふん、そんなやっすい
演説で誰が……

パチ………パチパチ……

ガミス

!?

ガミスがふと横を見ると ダエルが拍手している

ダエル

(お前ってやつは…)

パチパチパチパチパチパチパチ…

それに釣られて 周りの拍手する

拍手が段々大きくなる

サジー

みんな……!

マリーニ

これは……

マリーニは会場をみわたす

この拍手は自分に向けられたもの

胸が熱くなる

マリーニ

…………っ

マリーニ

サジー……貴方って
バカね本当に……

サジー

へへ

サジー

バカも役に立つでしょ?

サジー

司会者さんも!
いいですよね!?

司会

司会

そうですね

司会

時間もまだありますし
間に合ったことですし……

マリーニ

ありがとうございます…!

サジー

よかったー!

サジー

マリーニ!頑張ってね!

マリーニ

あっ、サジー!

そう言うとサジーは さっさと壇上から降りる

マリーニ

忙しい人なんだから……

マリーニ

……でも

マリーニ

ありがとう

マリーニは観客席へと向き直る

ケースからバイオリンを取り出し

課題曲の楽譜を譜面台に置く

マリーニ

……

マリーニ

(この舞台に立てたのは
全てサジーのお陰だわ)

マリーニ

私は…………

少しの間、譜面を見つめていたが

やがてそれを ぱたん、と閉じた

サジー

マリーニ……?

そんなマリーニの様子をサジーは 心配そうに見つめる

マリーニ

私は

マリーニ

あなたの為に演奏するわ

マリーニ

サジー!

バイオリンを構えると マリーニは声を上げる

マリーニ

私の音楽の魔法

マリーニ

お見せしましょうか

弓がバイオリンの弦に触れた瞬間

美しい若葉色の魔法陣が足元に現れる

マリーニ

これを使うのは入学
してから初めてね

優しい緑の光がマリーニを包み そして弾ける

するとマリーニの服装は

美しいドレスに変わっていた

ダエル

なん、だ?アレ……

ガミス

あの女、あんな力を
隠してたの?

会場がザワつく

サジー

わ……すごく綺麗…

マリーニ

ふふ、いくわよ

美しく優しいバイオリンの音色が 会場のどよめきを一瞬にしてかき消す

サジー

え…

サジー

この曲……

サジーはすぐに気がついた

励ましながらも 強く背中を押してくれるような

何度も自分を助けてくれたあの曲

サジー

エンジェル……メロディ?

彼女の名前を口にするのも この学校ではタブーなんじゃ……?

いつかのゼーデラの話がふと頭をよぎる

それでもマリーニは 私のために

私のためだけに この曲を選んでくれたんだ

サジー

マリーニ……!

気がつくとサジーの頬は濡れていた

ダエル

課題曲を直前に変えることは
よくあるが……

ダエル

よりによって…

ゼーデラ

それほどまでに
マリーニはサジーの事を
想っているのか……

ガミス

こんなことをして
タダで済むとでも…

ガミス

生徒会が黙っていないわ…

彼女の曲である事に 戸惑う者は多かったものの

誰もその演奏を遮ることは出来なかった

それほどまでに マリーニの演奏は

その場にいる全員の心を 掴んではなさなかった

最後のサビへと入る

まるで 歌っているような高音のビブラートに 心も震える

その高鳴りは 初めてエンジェル・メロディの ステージを見たあの感覚

画面越しに輝いていた彼女が 目の前にいるような錯覚さえ覚えた

私の憧れたキラキラは

もう画面越しじゃない

サジー

あぁ……

思わず声が漏れる

最後の1音が伸びやかに響き渡り

一瞬の沈黙

─────そして

割れるような拍手と歓声

会場にいる誰もが スタンディングオベーションをしていた

その先には満足気に微笑む マリーニの姿

会場の空気に鼓動がはやくなる

すごい すごい すごい!

いつかは私も…………

サジー

(私、絶対アイドルになる…!)

サジー改めて強く思った

ステージに手を伸ばす

サジー

届きそう

もうちょっと あと何歩だろう

伸ばした手の指の隙間から ステージの光をぼんやりと見つめていた

その時

マリーニ

サジー!

その手を暖かい手が包む

サジーはハッと我に返る

サジー

……マリーニ!

マリーニはサジーの手を握ったまま 強く抱き寄せた

マリーニ

ありがとう

マリーニ

本当にありがとう

マリーニ

貴方のおかげ

マリーニ

貴方って最高……!

マリーニの声は涙声だった

サジー

それは私のセリフだよ

サジー

マリーニの演奏が
聞けて幸せ!

サジー

私こそ、ありがとう

サジーも強く抱きしめ返した

鳴り止まない拍手の中 2人はそのまま お互いをはなさなかった

???

お涙頂戴物ね

???

涙が止まらないわ!

???

あら、その割には
一滴も流れてないけど

???

酷いなぁ
感動したのは本当よ?

???

そういう事にしておくわ

???

……にしても

???

エンジェルの曲を演奏
するなんて大した度胸ね

???

禁止事項を破ったあの子には
相応の罰が必要だわ

???

うーん、今回は逃しましょ

???

…なんですって?

???

それより私
気になる子がいるんだぁ

???

あの転校生…

???

サジー・ハート?

???

ええ

???

あの魔力値
とっても興味があるの

???

お喋りしてみたいなぁ

???

ふふっ♪

つづく!

キャラクター紹介

次回もお楽しみに!

ムゲンダイ!HOPE SONG

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

1,122

コメント

14

ユーザー
ユーザー

生徒会来たーーー!!!!!!!!! 青い鳥で見て楽しみにしてました!!!! バイオリンとか自分の人生で描くこと無さそうです🙄

ユーザー
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚