通知音

チャットアプリの通知音が聞こえた

あいつからだった

最後に連絡したのは半年と少し前

いきなりで少し驚いた

俺達/うちら の関係は、よく分からない

私は小学校低学年のときここに引っ越してきて

元々いたクラスの女子に仲間外れにされた

それがトラウマで女子と話せなくなってしまい、

学校では人間関係をうまく築けなかった

私は必死に勉強して

逃げるように中学で進学校に入学した

翔は私がいじめられていたときに、唯一仲間でいてくれた人だ

小5くらいまではよく一緒にゲームしたりしていたのだが、小6の夏くらいから急に対面では話さなくなってしまった

この会話が、去年の12月 半年と少し前

理由はないけれど、無性に翔と話したくなった

2022/6/14

もしかしたら、もしかしたらだけど、

「死にたい」と思っていた自分を、人を信じられなくなっていた自分を救ってくれた彼を

失いたくなかったのかもしれない

あいつは"友達" それ以上でもそれ以下でもなかった

あの時までは

去年の夏

本当に暑い夏の日だった

あの時、あいつは何も悪いことは言っていない

嫌いになった訳じゃない

そうやって周りよりも努力して、自分よりも一足早く大人の階段を上り始めていた琴音を

とても遠い存在に感じていたんだ

あいつは何も変わっていない、そんなこと分かっていた

顔が見えないチャットでの会話

自分よりずっと大人になっていたあいつと

画面の向こう側にいるあいつを 違う人と思い込む事ができた

いつもテストで合格点取れなくて、勉強を教えてやってたあいつは

今では学校の成績上位者に入るほどになっていた

やっぱあいつは何も変わっていなかった

あいつ、ほんと謎だよなぁー