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竜一郎
佳澄ちゃん、コレ受け取って
袋詰めにされた飴玉を佳澄に手渡す
佳澄
飴……?
佳澄
(──俺の誕生日じゃないし)
飴玉を受け取る
微かなりんごの匂いがした
竜一郎
竜一郎
今日は“いいりんごの日“なんだって
佳澄
そうか
竜一郎
喜ぶかなって思って、買ったんだ…………
街中で偶然見つけた下町情緒のあふれる飴屋
その飴屋でリンゴ味の飴玉を買った
飴:(恋愛としての)“あなたが好きです“ リンゴ:運命の相手
ホワイトデーのお返しじゃなくても、思いは伝えたい
ぎゅっ
佳澄
……竜一郎?
竜一郎
(──佳澄ちゃんが好き)
佳澄
佳澄
どうした?
竜一郎
……なんでもないよ
竜一郎
(親父が勝手に婚約者を決めたこと以外は──)
ぽん
竜一郎
…………?
竜一郎の頭に優しく手を置いた
佳澄
なんかあったかは知らんけど、無理だけはするなよ?
竜一郎
……うん
竜一郎
(やっぱり、佳澄ちゃんだけがわかってくれる)
竜一郎
(オレの“運命の相手“は、佳澄ちゃんしかいない)
竜一郎
(だから──)
竜一郎
(オレと佳澄ちゃんの仲を邪魔する害虫は)
竜一郎
(……消さなくちゃ)