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コメント
1件
江藤ルミエールさん、第40話拝読しました。各キャラクターの「勝者」に対する向き合い方が本当に苦しくて、でも美しかったです。特に瞳子が「生存と勝利を異なる概念」と認識した瞬間や、穂乃花が「どっちかだけが本当じゃない」と認めた場面に心を掴まれました。菜々美が最後に「生き残りたい」と認めつつもLOSEを押した迷い――そのリアルさが、この作品の真骨頂だと思います。次回、誰の月桂冠が処刑装置に変わるのか、息が止まりそうです。素晴らしいお話をありがとうございます🌷
血に濡れた“緑の間”――
床に5人の少女が倒れている。
中央には、生徒ナンバー18・立花瞳子だけが立っていた。
制服も両手も赤く、足元には刃物が落ちている。
#ギャンブル
りんご
904
19
朽華 歌仙
78
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
生島菜々美
過去の映像ではない。
【SYSTEM】が“未発生の記録”と呼ぶ、存在しない未来だ。
映像の瞳子は、倒れた5人を振り返らず出口へ向かう。
実際のブースには、瞳子の荒い呼吸が響く。
立花瞳子
【SYSTEM】
立花瞳子
【SYSTEM】
【SYSTEM】
立花瞳子
瞳子は唇を噛んだ。
立花瞳子
立花瞳子
映像では、5人を越えた瞳子が出口へ手を伸ばす。
立花瞳子
瞳子は《LOSE》を押した。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
立花瞳子
緑の葉脈が、ゆっくり光った。
【SYSTEM】
画面に、第3試練の“黒の間”が映る。
生徒ナンバー03・生島菜々美が、生徒ナンバー25・新倉穂乃花へ手を伸ばしている。
生島菜々美
映像の穂乃花は、冷たい顔で首を振った。
新倉穂乃花
ブースで、穂乃花が叫んだ。
新倉穂乃花
【SYSTEM】
新倉穂乃花
だが、映像は止まらない。
菜々美から離れた穂乃花が、別の生徒とペアを組み、安堵していた。
そんな事実はなかった。
穂乃花は、菜々美とのペアを断った後、誰とも組んでいない。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
新倉穂乃花
だが、もう1つの気持ちもあった。
菜々美と理解を試される恐怖。
自分が間違えて死ぬ恐怖。
新倉穂乃花
それまで否定すれば、記憶を都合よく作り変えることになる。
新倉穂乃花
新倉穂乃花
新倉穂乃花
穂乃花は《WIN》へ指を伸ばした。
新倉穂乃花
新倉穂乃花
【SYSTEM】
【SYSTEM】
菜々美も、同じ映像を見ていた。
偽物の言葉。
だが、穂乃花が言えなかった本音も混ざっている。
生島菜々美
菜々美は《WIN》を押した。
選択の正しさではない。
穂乃花が生き残った事実を否定しないために。
【SYSTEM】
画面が暗転した。
【SYSTEM】
“緑の間”――
床には5人の少女が倒れている。
中央には、生徒ナンバー03・生島菜々美が立っていた。
穂乃花も。
瞳子も。
莉乃も。
摩智も。
小恋奈も。
誰も動かない。
立っているのは菜々美だけ。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
映像の菜々美が振り返る。
その顔は笑っていた。
生島菜々美
倒れた穂乃花の口が動く。
新倉穂乃花
だが、穂乃花の声ではなかった。
第6試練で失われた少女たちの声が、継ぎ接ぎにされている。
歌手を夢見た少女。
弟の名を叫んだ少女。
自分の方が高得点だと訴えた少女。
名前より先に、声と数字が浮かぶ。
95。
52。
82。
生島菜々美
【SYSTEM】
残り20秒。
生島菜々美
すぐには答えられなかった。
穂乃花が死ぬなら、自分が死んだ方がいい――
そう言い切れれば、きれいだった。
けれど、身体は生きることを望んでいる。
両親のもとへ帰りたい。
ゲームの正体を知りたい。
消えた少女たちを忘れたくない。
生島菜々美
生島菜々美
菜々美は《LOSE》を押した。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
褒められたのか、欠陥なのかはわからない。
別のブースでは、生徒ナンバー39・和久井莉乃が震えながら《WIN》を押していた。
画面の中には、自分を含む5人の少女が倒れている。
和久井莉乃
和久井莉乃
和久井莉乃
生徒ナンバー18・立花瞳子は、長い沈黙の末に《LOSE》を選んだ。
立花瞳子
立花瞳子
回答は違う。
それでも、2人は生存と他者の死を見つめていた。
生徒ナンバー07・小野田摩智は、ほとんど迷わなかった。
小野田摩智
小野田摩智
小野田摩智
摩智は《WIN》を選び、自分を含む倒れた5人を見ようとしなかった。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
小野田摩智
生徒ナンバー17・曽我部小恋奈は、画面の前で首を振り続けた。
曽我部小恋奈
曽我部小恋奈
曽我部小恋奈
【SYSTEM】
曽我部小恋奈
心臓が強く脈打ち、呼吸が速くなる。
曽我部小恋奈
だが、視線は画面の出口へ向いていた。
誰かが死んでも、自分だけ先へ進みたい。
その思いを口にできなかった。
曽我部小恋奈
小恋奈は《LOSE》を強く押した。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
曽我部小恋奈
言葉とは裏腹に、心拍数は上がり続けた。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
映像が消え、ブースの壁が透明になる。
菜々美の前に、5人の姿が戻った。
全員生きている。
それだけで胸が緩む。
新倉穂乃花
生島菜々美
名前を呼び合う。
だが、扉はまだ開かない。
【SYSTEM】
緑の葉脈が激しく明滅した。
6人の頭上に、月桂冠を模した緑の輪が現れる。
曽我部小恋奈
小野田摩智
【SYSTEM】
【SYSTEM】
生徒たち
月桂冠が、ゆっくり降下する。
だが、誰の輪が処刑装置へ変わるのか――
まだ名前は告げられていなかった。