沢田マリカ
芹沢大和
私達の言葉に反応したのか
わずかに開いていた窓が……
芹沢大和
沢田マリカ
窓を閉めたのはあすみさんの兄
井川静(じん)さんかもしれない
芹沢大和
高城寛貴(所長)
所長の返事を合図に玄関扉を開ける
井川かすみ
井川かすみ
意外にも鍵はかかっていなかった
井川かすみ
普段は鍵をかけるように指示をしていたのか
あっさりと開いた扉に母親は更に動揺を見せる
芹沢さんに続いて私と優真さんが家の中に入ると
家の中はとても静かで
外から聞こえる母親の声以外は何も聞こえなかった
ただ静かなのとは違う
生活音すら感じられない異様な空気が漂う中で
堪らず優真さんが声を出す
三村優真
三村優真
沢田マリカ
どちらの呼び掛けにも反応はなかったが
二階から微かに聞こえた音に芹沢さんが反応し
直ぐに階段をかけ上がった
沢田マリカ
私の声に反応するかのように
奥の部屋から音が聞こえてくる
それは大きな何かを無理矢理移動させているような
ギィギィと床を引きずるような音
三村優真
部屋の前まで来ると
その音はもっとはっきりと聞こえてきた
よく見ると
この部屋にだけ外から施錠するタイプの鍵が取り付けられていた
恐らくこの鍵は
あすみさんが逃げないようにするためのもの
家族の入室時以外は常に施錠され
今はこの中に静さんもいるはずだ
芹沢大和
沢田マリカ
このままだとあすみさんが……
芹沢大和
三村優真
芹沢大和
芹沢大和
三村優真
いくらでも逃げる機会はあった
私達が母親と話している隙に
裏口から逃げることだってできたはず
でも静さんはそれをしなかった
玄関の鍵もかけていない状態で
誰でも侵入可能な状況を自ら作っている
まるで助けを求めているかのように
だからドアを蹴破ったとしても
あすみさんを守るはずだと芹沢さんは考えたのだ
沢田マリカ
沢田マリカ
芹沢大和
沢田マリカ
沢田マリカ
井川静(じん)
沢田マリカ
沢田マリカ
井川静(じん)
沢田マリカ
井川静(じん)
沢田マリカ
井川静(じん)
井川静(じん)
動揺している
沢田マリカ
沢田マリカ
井川静(じん)
微かにギィと言う音がして
扉がゆっくりと開いた
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