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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

彼女が、殺されました。

手がかりが少なく捜査は難航 すると思われたのですが

でも、意外な手がかりで この事件は解決されました。

凶器として使われた 血まみれのナイフから 犯人の指紋が特定されたのです。 犯人は、

僕でした。

暗い病室。 いや、実際はそこまで暗くないのかもしれない。 暗いのは俺の気持ちのせいか??

目の前の医者が 1つ小さなため息をつき、俺の方へ体を向ける。

医者

覚悟して、聞いてください。

そう言うと、医者は1つ間をあけた

医者

肺癌です。

医者

すでに、かなり進行しています。

町野将司

そうですか、

医者

明日から入院ですね、

医者

一緒に投薬、頑張っていきましょう。

町野将司

いえ、もう大丈夫です。

町野将司

入院はしません。

町野将司

治療もしません

医者は何故だと聞いてきた。 答えは簡単だ、「金がない。」 一ヶ月前に会社が倒産した。 今あるのは借金だけだ。

失礼します。 そう言うと俺は病室を後にした。

俺の事なんて まるでどうでもいいかのように 空は晴天だ。

普段使っているカバンさえ重く感じる きっともう長くはないのだろう。

町野将司

里美。

気がつけば同棲中の彼女の名前を呟いていた。

若葉里美

おかえり!
どうだった?大丈夫だった?

町野将司

あぁ。
大丈夫だったよ。

仕事がない上に「癌だ。」なんて言えない。 これ以上里美に迷惑をかけたくない。

若葉里美

そっか!!
良かったぁーーー

若葉里美

さ!
ご飯食べよ!
お腹空いたでしょ??

町野将司

ありがとう。

町野将司

とりあえず一旦シャワー浴びるよ。

町野将司

汗かいたからさ。

若葉里美

りょーかい!
じゃあ、ご飯の準備しとくね!

おれは、ありがとっと呟き シャワーへと向かった。

若葉里美

いただきマース!!

町野将司

昼からご馳走だな!

若葉里美

でしょ?

とはいえ、目の前には 鮭、お味噌汁、ご飯だけだ。

町野将司

ほんとに、ゴメンな。
会社がダメになって。

若葉里美

全然大丈夫だよ!

若葉里美

あ、そうだ!
今日、病院に持っていってたカバン気に入ってる?

町野将司

なんで??

若葉里美

実はあのカバン今、プレミアついててさ、売ったら結構高く売れるんだよね

町野将司

そーなんだ。
ちょっとまってて

俺はカバンの中身を全部抜き、里見に渡した

若葉里美

ありがとう!

町野将司

ほんとごめんな。
こんな生活で

若葉里美

だから、大丈夫だって!
でも、これから使わないものは売ったりしないとね。

町野将司

だな。

ピーンポーン!

若葉里美

はーい!

若葉里美

あ!

若葉里美

悟、来てくれたんだ!
ありがとう!

水谷悟

あぁ!

玄関先から聞こえてきた会話で目を覚ました。

町野将司

里美、その人誰だ?

パチッ! 音と共に視界が真っ暗になった。

若葉里美

ハッピバースデートゥーユー!……

水谷悟

ハッピバースデートゥーユー!……

町野将司

??

あ、そっか。

俺今日誕生日だ

若葉里美

高校の同級生で、今ホテルのコックさんなんだ!

若葉里美

ほら、私たち今外食は出来ないでしょ?だからさ、家で作ってもらおうと思って!

里見はボソッと耳元で囁いた。

水谷悟

初めまして!
水谷です!

町野将司

あぁ、町野将司です。

水谷悟

誕生日おめでとうございます!
今夜はフルコースどうぞお楽しみ下さい!

そう言うと早速水谷はエプロンに着替え出した

若葉里美

あ、悟!
キッチンは自由に使ってね

水谷悟

りょうかい!

そう言うと水谷は キッチンへと消えていった。

コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン!!!

町野将司

野菜切るのすごく早いね

若葉里美

でしょ?
さすがプロだよね笑

町野将司

本当に今日はありがとう!

若葉里美

全然いいよ!
今日は特に特別な日だからね

若葉里美

私も頑張らなきゃ!

町野将司

里見には、感謝してもしきれないよ。

若葉里美

またまたぁ笑

前菜でございます! その声と共に色鮮やかな サラダが目の前に置かれた。

町野将司

すげー!

若葉里美

だね!

「いただきます!」

俺たちの楽しい夕食が始まった。

若葉里美

美味しかったね!

町野将司

だね!

水谷悟

そう言って貰えてありがたいです!

若葉里美

あ、大丈夫!
私がするから!

洗い物をしようとする水谷に里見は声をかける。

水谷悟

悪いですよ

若葉里美

何言ってんの!
作ってもらったのは私たちなんだから!

水谷悟

本当ですか?
ありがとうございます!

その後たわいのない話をしばらくし、水谷は帰って行った。

若葉里美

さっ!片付けも終わったし寝よか!

町野将司

だね!

俺たちは、ベットに入った。

午後、3時くらいだろうか。 俺は喉の渇きにより目覚めた。

町野将司

喉乾いたぁ。

俺はキッチンへと向かった。

町野将司

あ!

ガシャーーン! 肘が洗い終わりの食器にぶつかり落としてしまった。

町野将司

やっちまった。

おれは、なるべく音をたてないように食器を拾って片付けた。

その後、ベッドに戻り里見に 1度キスをして眠りについた。

朝が来た。 いつも通りの朝だった。

町野将司

じゃあ、行ってくる

若葉里美

行ってらっしゃーい!

俺は、今日職を求め ハイーワークへと向かう

その電話がかかってきたのは ちょうど安い昼飯を食べ終わった直後だった。

町野将司

はい、俺だけど

若葉里美

助けて!!!
やめて!

若葉里美

触らないで!!!

電話越しから里美の叫び声が 聞こえてきた。

町野将司

おい!どうした??

しかし、俺の問いかけに 返事はなかった。

町野将司

はぁ。

俺は、屋上の柵に腰掛けた。

家は荒れており、争いの後があった。

手がかりは少なく捜査は難航 すると思われたが、凶器の包丁からは

俺の指紋が摘出された。 最初は、容疑を否認したが 最後になるとどうでも良くなった。 どうせ、彼女は帰って来ないんだから 警察は里美の保険金狙いの殺人として 決めつけた。 そして、今に至る。

町野将司

なんで、俺逃げてんだろう。

俺は、空を見上げている。

彼女を失った時点で生きる意味もない 正直、捕まってもいい。 でも、捕まったところで 最後は癌で力尽きるのだろう。 なら、 自ら命を絶とうとここいいる。

町野将司

里美、今から逝くからね。

俺は、柵を乗り越えた。

若葉里美

だめ!!

町野将司

!?

若葉里美

私の死を無駄にしないで!

町野将司

??

俺は、振り向くがそこには誰もいない

町野将司

里美?

町野将司

どういうことだ?私の死を無駄にしないでって。

しかし、里美の声は それ以上聞こえなかった。

どれくらいの時間が経っただろう。 俺は、ひたすら里美の事を考えていた 一体誰がなんのために殺人を犯したのだろうか?

俺の中では1つ答えが出ている。

町野将司

いや、そんな訳ない。

いや、そうに決まってる。

分かっているのに、認めたくない。

町野将司

自殺。だったんだ。

そうすれば全てが繋がる。 今考えると色々とおかしかった。

まず、1つ疑問がある。 彼女は なぜ殺人に見せかけて死んだのか。 答えは簡単だ。

殺人の方が保険金がより多く貰えるからだ。

彼女は俺の病気を知っていた。 さらには、俺が治療を望まない事までも知っていた。 なぜ?

病院からの帰り道カバンが妙に重く感じた。 さらに、帰宅時に俺は彼女にカバンを渡した。 彼女が売ると言った時だ。

きっとあの中に何かが入ってたんだ。 だから、彼女は全ての事を知っていた おそらく、彼女は俺が病気でも伝えない事を予想してたに違いない。

しかしだ、殺人となると必要なのは 犯人だ。 そこで里美は水谷を犯人に仕立て上げようとした。

食事前に彼女が言った 「今日は特に特別な日だから! 私も頑張らなきゃ!」 彼女は水谷の指紋が付着した包丁を 手に入れるのが目的だった。

そして、水谷に洗い物は自分ですると言い 無事、水谷の指紋付きの 包丁を手に入れた。

しかし、1つここで誤算が起こる。 俺が水を飲みに行った時、食器を倒してしまうのだ。 俺は、食器を拾う時に包丁に触れた記憶がある。

おそらく、その時に水谷の 指紋の上から俺の指紋が 上書きされたのだろう。

しかし、里美はそんな事知らずに 計画を実行した。 自ら部屋を荒らし、 俺に電話を掛け、 その後

俺の指紋付き包丁で自殺した。

すべては、

俺のために。

よくよく考えると警察の捜査は あながち間違えではない。 里美は俺のために死んだのだから。

少し、暗くなってきた。

いや、実際はそこまで 暗くないのかもしれない。

俺の気持ちのせいか?

町野将司

やっぱり君のいない世界で僕には生きていけないよ。
今から行くね

岩波風月様 どんでんコンテスト

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コメント

19

ユーザー

読み返し勢です! 一言一言に深みがあって、この様な作品を無料で読めることに感謝しかないです……

ユーザー

伏線が凄い……

ユーザー

癌か…

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