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主。
主。
主。
主。
オレがいつも通り神社の掃除をしていると、 昨日At様が入るなと言っていた部屋の前を通りかかった
Mz
そうつぶやきながらその扉を無視してAt様の寝室の掃除に取りかかろうとする
しかし、なぜだかどうしてもその扉の向こうに広がる空間が気になって オレは思わず足を止めてしまった
Mz
Mz
オレがそんなことを考えながらじいっとその扉を見つめていると、 扉の向こう側から誰かにおいでおいでと呼ばれているような気がした
Mz
そう独り言をこぼしながら足早に部屋の前を通り過ぎようとすると、 オレの耳はここにはいないはずの大好きな家族の声をとらえた
Tg
Mz
Tg
目の前の扉の向こう側から失ってから数年間一度たりとも忘れたことのない 大切なもう1人の親代わりがいるかもしれないと感情的に考えてしまって、 そんなわけないだろ、引き返せと叫ぶ理性的な自分を押さえて オレの体を動かしてしまう
オレの頭にぼーっとモヤがかかったような心地がして、 オレは神の言いつけを破って目の前の扉を開けて 禁じられた空間に足を踏み出してしまった
オレが禁断の部屋に足を踏み入れると、 目の前に古びた本のようなものがたくさん保存されている空間が広がった
Mz
Tgの声に誘われて来たものであるのでキョロキョロと辺りを見回すが、 当たり前のことではあるもののTgは近くにはいなかった
Mz
Mz
神の言いつけを破ってしまった後ろめたさに耐えられず オレがくるりと体を回れ右させて部屋を出て行こうとすると、 視界の端で何かがぽうっと光った
Mz
なんとなく優しく光っているそれの正体が気になって、 オレは穏やかな光を放つそれに視線を向ける
そこには、他のものと変わらない古びた本のようなものがあった
Mz
オレがそう疑問に思うのと同時に、 体が勝手に動いて光り輝くその本を手に取ってしまった
Mz
早くこれを元の場所に戻してこの部屋から立ち去りたいのに、 体が言うことを聞かず、パラパラとその本をめくり始める
どうしよう、と困惑しながら焦っているオレを差し置いて、 オレの手は本の途中で先をめくるのをやめた
古びた紙に書いてある言葉に、オレは目を見開く
Tg『おれはどうなってもいいから、2人を守ってください、神さま。』
At様が先日、この部屋は人々の願い事が履歴のように保存されている 自分の仕事部屋だと説明をしていた
実際に、Tgの願い事が書いてある頁をめくって数日前の履歴を見ると、 オレが幼い頃に神社で祈ったあの願いも残されている
そこには、たまにAt様の寝室で見かける彼の手記と同じ字面で、 『俺の力じゃどうしようもない、ごめん』と書き付けがされており、 何回もこの頁を開いたのか他の紙と比べて保存状態が悪い
Mz
その後Tgの願い事の頁に戻ると、 そこに記された日付は彼が行方不明になった当日のもので、 オレの願い事と同じAt様の字で『最優先事項』と書き付けがされていた
思わずAt様の字で書かれた大好きなもう一人の親代わりの願い事を 指でなぞると、オレの頭に何かの記憶が流れ込んでくる
Mz
そんなことをつぶやいたが最後、 オレは自分の脳みそで描き出される彼の記憶に意識を集中させた
おれの名前はTg、大好きな家族と幸せに暮らしているなんの変哲もない青年だ
Tg
Kty
Tg
Kty
恋人であるKtyにお出かけの内容を伝えていると、 おれの足にきゅっと可愛らしい少年がくっついてきた
Mz
Tg
Mz
褒めて褒めてと言わんばかりに目をキラキラさせている 可愛らしい彼におれは、えらいねぇ、と言いながら よいしょとその体を抱き上げた
Mz
Kty
Tg
今おれが抱き上げているMzという少年は村の外に捨てられていた子で、 それを見つけたKtyが家に連れて来たのだ
Ktyと二人で話し合ってこの子を育てることに決めてから、 もう数年経ったんだなあということを大きくなったMzたんを見ながら思った
Mz
Tg
Kty
Mz
そう言いながら幸せそうに笑っているMzたんを見て、 いつか彼を誰よりも幸せにしてくれる素敵な人が現れるといいなあ なんてことを考えていた
おれは隣の村に出かけるためにMzたんの体をKtyに引き渡し、 不服そうな顔をしている幼い男の子に言いつけた
Tg
Tg
Mz
Tg
Kty
ニコニコと頼りがいのある笑顔を浮かべるKtyと 無邪気におれに手を振っているMzたんに見送られて、 おれは隣の村まで出かけた
Tg
おれが自分で用意した買うもの一覧を確認しながら村に戻ろうと歩き出すと、 後ろから見知らぬ男性に声をかけられた
隣の村の村人
Tg
隣の村の村人
Tg
Tg
隣の村の村人
Tg
Tg
おれは困っている人を放っておいてはいけないと思い、 彼が探しているお店に連れて行ってあげることにした
隣の村の村人
おれが村人たちの民家が並ぶ通りを通っていると、 とある家の前で男にぐいっと腕を引かれて口を塞がれた
Tg
Tg
助けを呼ぼうにも現在は真っ昼間であるのであたりに人はおらず、 おれが暴れても相手の力が強く反抗できない
隣の村の村人
隣の村の村人
おれは持っていたカゴでその男を殴り、 その隙に彼の腕から抜けて距離をとりながら唸る
隣の村の村人
Tg
Tg
隣の村の村人
向こうは約束を破られたような口ぶりでそんなことを話すが、 あいにくおれにはそんな記憶は一切ない
Tg
隣の村の村人
隣の村の村人
Tg
おれには全くその記憶はないが、一応と思って記憶を探るも、 5年前といったら一人で歩けるようになったMzたんを連れてKtyも一緒に この村で3人で買い物をしたことぐらいしか覚えていない
Tg
とてとてと一生懸命歩いてくるMzたんとそれを見守っているKtyの近くに、 そういえば目の前のこいつみたいな顔立ちの男が いたかもしれないと思い出した
隣の村の村人
隣の村の村人
Tg
Ktyが言ってくれればときめきそうな甘い言葉でも、 別に好きでもない知らない人がいえば気持ち悪いだけである
Tg
Tg
隣の村の村人
Tg
隣の村の村人
これ以上こいつと話していてもらちがあかないと思って おれは足早にその場を去ろうとしたが、 その直後に聞き捨てならない言葉が聞こえてくる
隣の村の村人
Tg
隣の村の村人
隣の村の村人
隣の村の村人
隣の村の村人
Tg
隣の村の村人
隣の村の村人
隣の村の村人
隣の村の村人
Tg
隣の村の村人
Tg
隣の村の村人
隣の村の村人
隣の村の村人
Tg
隣の村の村人
Tg
隣の村の村人
隣の村の村人
Tg
Tg
Tg
Tg
Tg
隣の村の村人
そう言いながら暗い愉悦に染まった気持ちの悪い笑顔を浮かべて、 男はおれに再会の約束を取り付けた
Tg
Tg
おれはこっそり唇を噛みながらも、大切な家族のために最悪の決断を下した
背景昼間ですが深夜だと思ってください(By主)
その日の夜、おれは布団から起き上がって辺りを見回す
Tg
そっと自分の隣で布団にくるまって丸くなっている小さい生き物の 愛らしい顔を覗き込むと、彼は規則正しい寝息を立てて ふにゃふにゃ幸せそうに眠っていた
そのもう一個向こう側の布団では、最愛の人も穏やかな寝息を立てており、 彼もまた夢の中にいるようだとわかる
おれは二人を起こさないように布団から抜け出し、 大回りをして二人のそばに行く
Mz
Kty
聞こえてきた大好きな二人の気の抜けた寝言に、 おれはくすくすと一人で笑みをこぼす
Tg
でも明日、この笑顔は崩れてしまうのだろう
他でもない、おれが原因で。
Tg
Tg
おれがそう言って彼の丸い頭を撫でると、 彼は幸せそうにおれの手に擦り寄ってきた
おれは今度は視線をKtyに向けて、彼にも謝罪の言葉を告げる
Tg
おれは泣きそうになるのをぐっとこらえながら、愛しい彼に口づける
Tg
おれはいつの日かKtyがおれにくれた 品のいい蒼石の装飾が施されたかんざしを彼の枕元におきながら、 一生の愛を誓う言葉を口にした
大好き、大好き、と何度も繰り返しながら、 あふれる涙を拭っておれは夜の街へと駆け出した
その後、うまいこと家を抜け出すことに成功したおれは、 身一つでMzたんが通っている神社にお参りに来ていた
神様がいらっしゃるという社の前に立って、おれは祈りを捧げる
きいてください、神さま。
Tg
Tg
Tg
Tg
その言葉を紡ぎながら、おれの瞳はほろりと涙を一粒流す
本当なら、ずっとずっと一緒にいたかった
可愛らしくて大好きなMzたんの成長を、 愛しい最愛の人であるKtyと一緒に見守りながら生きていきたかった
でもそれは、もう叶わない
Tg
二人が生きていくこれからの未来に、これ以上不幸が訪れませんように。
おれはそう神に願いをかけ、おれを待っているクソ男のもとへ歩き出した
Tgの記憶からオレの意識が元の世界に戻ってきた時、 オレは自分の頬を何か生暖かいものが伝っている気がして自身の顔に触れる
Mz
自分が涙をこぼしているのを自覚すると同時に、 オレの心は大嫌いだったあの神様への申し訳ない気持ちであふれていた
Mz
神様の詳しい事情なんかオレにはこれっぽちもわからないが、 オレの願い事の頁だけ紙がボロボロであることが 何よりも彼の努力を示しているような気がした
Mz
とはいえここで謝るとこの部屋に入ったことがバレてしまうので、 どうしたものかと考えていると、ガチャリと扉が開く音がした
今現在この扉を開ける人などオレは一人しか思いつかないので、 オレは顔を青ざめさせながらも素直に謝ることにした
Mz
At
Mz
At
At
Mz
At
At
ニコニコとからかうような調子でそう問いかけてくる彼に、 オレの心は申し訳なさでいっぱいになってしまった
Mz
At
At
Mz
At
Mz
At
At
Mz
Mz
At
Mz
Mz
At
Mz
At
彼は自分で頭を抱え、項垂れる
Mz
At
Mz
At
Mz
At
彼はオレの返答を聞いてさらに困ったような表情を浮かべてしまった
At
At
Mz
At
At
Mz
At
Mz
Mz
At
At
オレを見て懐かしそうに楽しそうに微笑むAt様を見ていると、 いつも通り心の奥がふわふわすると同時に、 心のもっと表面のところはざわざわするような感覚に陥った
Mz
Mz
Mz
Mz
At
At
Mz
オレはAt様の言葉に元気に返事をして、 最新の記録を開いて願い事を叶える作業をし始めたAt様を残して仕事に戻った