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神木 桃香

桃の木を御神木とする神社に生まれた私には、

神木 桃香

生まれつき、特殊な能力があったの

神木 桃香

それは……

ある日の朝、高校へ通学する途中――

神木 桃香

あ~、家出るの遅くなっちゃって、

神木 桃香

満員電車の時間と重なっちゃったかぁ

神木 桃香

嫌いなんだよね、満員電車

神木 桃香

だって……

プルルルルルル…… 電車が…… 黄色い線の内側に……

神木 桃香

ん、この匂いは……

私は、この世ならざる邪悪なものを「匂い」で感じることができる

姿を見ることは出来ないけれど、「悪臭」でそれがわかるのだ

神木 桃香

(この電車、ううん、もっと近く、同じ車両に、何かいる!)

神木 桃香

(この匂い、甘い……けど、

神木 桃香

お菓子を焼いたときのようないい匂いじゃなくて、

神木 桃香

胸焼けしそうな、嫌な甘さ、そんな匂い……)

神木 桃香

(人が多いと、よくない匂いに会いやすい)

神木 桃香

(満員電車が嫌いな理由はこれ)

神木 桃香

(けど、今日のは、特別にひどい)

神木 桃香

(この匂い、どこから……)

サラリーマンらしき男

…………

神木 桃香

(あの男の人からだ)

サラリーマンらしき男

(さわさわ)

神木 桃香

!!

神木 桃香

(あの人、痴漢している)

神木 桃香

(甘く嫌な匂いは、色魔の匂い。あの人、色魔に操られているのかも)

※色魔 性欲を司る魔。サキュバスなどが有名

実は私は、匂いを感じ取れる以外特殊な力を持っていない

だけど……

神木 桃香

よいしょ

神木 桃香

(人が多くてなかなか近づけない)

神木 桃香

(やっとすぐ後ろまでこれた)

神木 桃香

プシュ

サラリーマンらしき男

うっ

サラリーマンらしき男

あ、あれ……?

これは、うちの御神木から作った香水の一種

これには、魔を払う力があるの

サラリーマンらしき男

おれは、何を……?

女子高生

この人、痴漢です!

サラリーマンらしき男

あ、いや、あれ、そ、その……

近くの人

おい、お前、逃げるな! 大丈夫か、お嬢さん

女子高生

はい

神木 桃香

…………

神木 桃香

(魔を払って、女の子は助けられたけど、

神木 桃香

憑りつかれていた男の人の方は……)

神木 桃香

(それにしても、どうして色魔が?)

少し離れた場所

おかしいな?

俺の使い魔が払われた。何があった?

続く

オオカムズミ ――御神木物語――

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