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朝、シトラは胸の奥に残る鈍い感覚で目を覚ました。 鋭い痛みではない。
でも、棘がそこに「ある」と主張してくる あの感覚。
シトラ
そう判断して、ゆっくり上体を起こす。
シトラ
向かいのベッドを見ると、 アクエルの脚だけが 布団からはみ出していた。
シトラ
一瞬、状況を整理してから、 シトラは小さく息を吐く。
シトラ
アクエル
布団の中から、頭のない声。
シトラ
アクエル
ごそごそと布団が動き、 ようやく上半身が現れる。
アクエル
シトラ
脚を拾って、何事もなかったように 戻すアクエル。 シトラはそれを、 もう驚きもせずに眺める。
シトラ
でも、嫌じゃない。 むしろこの光景があると、 「いつもの朝だ」と思える。
朝食後、二人で部屋に戻る。 アクエルは床に座り込み、 よくわからない体勢で伸びをしている。
シトラ
アクエル
シトラ
アクエル
その一言に、 シトラは少しだけ目を伏せた。
シトラ
自分の体調を、 ここまで自然に気にかけられることに、 まだ少し慣れない。
午前の授業を終えて、 シトラはいつもより早く部屋に戻った。 背中に、 じわじわと棘の感覚が広がってくる。
シトラ
ベッドに腰を下ろすと、 扉が開いて、アクエルが顔を出した。
アクエル
シトラ
アクエル
シトラ
それ以上、説明しなくても、 アクエルは頷いた。
アクエル
シトラ
アクエル
そう言いながら、 アクエルは本当に音を立てないよう、 ぎこちなく動き始める。
その様子がおかしくて、 シトラは思わず笑った。
シトラ
アクエル
シトラ
その言葉に、 アクエルは安心したように笑う。
アクエル
午後。 シトラはベッドに横になり 本を読もうとしていたが、 文字が頭に入らない。
シトラ
本を閉じると いつの間にか、 アクエルが床に座っていた。
シトラ
アクエル
シトラ
アクエル
思わず、苦笑が漏れる。
シトラ
アクエル
アクエルは首をかしげる。
アクエル
シトラ
アクエル
その言い方が、 あまりにも素直で。 シトラは、胸の奥が少しだけ軽くなるのを感じた。
シトラ
アクエル
夕方。 痛みが引いてきて、 シトラは起き上がれるようになった。
アクエル
シトラ
アクエル
アクエルは嬉しそうに立ち上がり、 勢い余って腕を落とす。
シトラ
アクエル
シトラ
アクエル
二人で笑う。 その笑いの中に、 痛みはもう混じっていなかった。
夜。 消灯前、ベッドに入ってから、 シトラは静かに口を開く。
シトラ
アクエル
シトラ
暗闇の中、 少し間があってから、明るい声。
アクエル
シトラ
アクエル
シトラは目を閉じる
シトラ
棘は消えない。 痛みも、なくならない。 それでも。
隣に、 うるさくて、優しくて、 体がよく外れる同室がいるだけで。 今日も、ちゃんと「日常」だった。
作者
作者
作者