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更新ありがとうございます!✨ 赤くんの過去はほんとに濃かったです、、 soraさんの伝えたかったことがめちゃくちゃ伝わりました! 「ご指名」っていうお話と繋げてみるとほんとに凄いなと思いました!シェイラさんの「俺の宝物」がめちゃくちゃ感動しました!(T^T) 赤くんが自分の輝ける場所と出会えだと思うとめちゃくちゃ最高だなと思いました!続き楽しみにしています! 頑張って下さい!(๑•̀ㅂ•́)و✧
「ご指名」読み返してきた! なんか、鬼滅〇刃の胡〇しのぶさんみたい...... (胡〇さんは、姉を亡くして、姉を真似て生きてるので....) お人好し故の裏切り.......若く、純粋な赤くんだからこその過去なのかな...... 次は誰かが来るのか、それとも、クエストに挑むのか......楽しみすぎるっ!(((長文🙏
クリスマスも近づいてきたねぇぇぇ!! soraです!
我が家はまだサンタさん来る予定です。何頼もうかな...( ◜ω◝ )
それでは赤くん過去編Part2! Let's go!!
2023/12/16投稿
35話
「輝ける場所」
赤
体を伸ばして目を覚ます。 朝6時の外は少し冷える。最近吹くようになってきた秋風が冷たい。
赤
シェイラ
赤
伸びをしたまま腕を右に左に回していると、シェイラが後ろからやってきた。 りうらの方が早く宿から出てたので、シェイラも準備が終わったのだろう。
この人どうでもよさそうに見えて見た目にすっごく気を使うからな...
シェイラ
赤
シェイラ
赤
昨日の不思議な話はなんだったのだろう。別にシェイラになんの変わりもないしりうらもなにも変わっていない。
ただの気まぐれだろうか。
3人組(武道家)
赤
赤
3人組(武道家)
3人組(黒魔)
3人組(弓使い)
数分してから3人組が宿の方向から教会までやってきた。 ジョブは黒魔と弓使いと武道家だ。
3人組(黒魔)
赤
3人組(弓使い)
赤
赤
3人組(黒魔)
赤
そんなに喋らない3人だが、別に悪い人ではなさそうだ。 最近ジュスティスが人を雇うスピードが早すぎて誰が誰だか分からない。
人事部達は何をそんなに焦っているのだろう。大方、他の大型パーティと競っているのだろうけど。
幼い頃優しくしてくれた人達は成長して強くなって、支部に飛ばされてしまった人が多い。そう思えばジュスティス本部の中の雰囲気はだいぶ変わった気がする。
3人組(黒魔)
赤
赤
赤
赤
3人組(黒魔)
3人組(武道家)
3人組(弓使い)
赤
本人との距離が近すぎてあまり感じないが、案外人気者なんだな。
さすがお人好し。 知らぬ間に人に優しくしてそうだ。
3人組(武道家)
赤
3人組(弓使い)
赤
このやり取り何回目だろう。 ジュスティスの中で初めて会う人達と大体同じ会話するんだよな。
「若い」という意見に肯定したら笑われた。この3人組も若手だと思うが、りうらは若手を越えてもはやただの子供だ。自覚はある。
3人組(黒魔)
赤
赤
3人組(武道家)
3人組(黒魔)
「シェイラから稽古を受けてる」という話題になると、大体羨ましがられる。
みんなあの脳筋メニューをやってないからそんなに目を輝かせることが出来るんだ。1度やれば素直に「良いな」とは言えなくなる。
でもシェイラの稽古を受けてるのはりうらしか居ないし、この気持ちを共有し合えるような人物は居ないのだけれど。
3人組(弓使い)
赤
3人組(黒魔)
赤
毒使いを目指していた時期があったのか、親しい人の中に毒使いの者が居るのか。
1度聞いてみた時「秘密」と言われてしまったので、それで聞くのは最後にしたのだ。あの人の口は固い。
ジュスティスメンバー達
ジュスティスメンバー達
話している内にまた1人2人来たようだ。よく見るとみんな若い人達。 きっと最近採用されたメンバーだろう。
3人組(弓使い)
3人組(武道家)
3人組(黒魔)
赤
いまさっき来た人たちの方へ駆けていく3人組。少し緊張していた肩の力を抜いて、花壇のレンガに腰掛ける。
赤
居ないと暇だ。 そう思えばシェイラくらいしか喋る人が居なくなった気がする。
...りうらだってやろうと思えばいろんな人と喋れる...はず。
シェイラ
点呼し終わったシェイラが感嘆の声を上げる。どうやら1人2人遅れてくると思っていたようだ。
冒険者はマイペースな人も多いので、大抵数人が遅れてくるものだ。
赤
シェイラ
シェイラ
ジュスティスメンバー達
シェイラ
シェイラ
伝統的な祭りは人も集まるし、儀式などをする場合は大きな魔力が発生することも珍しくは無い。
森に囲まれているが門の結界もそんなに強固ではなさそうだったし、混乱を招く前に仕留める必要があるのだろう。
シェイラ
シェイラ
シェイラ
ジュスティスメンバー達
赤
シェイラ
赤
シェイラ
シェイラと位置について森を眺める。 ただひたすらに生い茂る木。間を縫って魔物がぬっと出てきそうな雰囲気だ。
メンバーの配置は各方向に3つある門に4人ずつ。中央広場に3人となっている。
りうらはたまたまシェイラと同じ場所だ。1人で放置されても他の3人と気まずいので心底安心している。
赤
シェイラ
結界ほどの魔力なら魔法使いでなくとも感じようと思えば感じられる。 この村の門はかなり脆い結界のようだ。
シェイラ
赤
シェイラ
シェイラ
ただクエストで繋がっただけの村にそこまで気を使えるの人はあまり居ない。 りうらがシェイラの立場だったらなにも行動しないだろう。悔しいが。
彼の性格が良いのだ。 りうらは...そこまで良くもないし。
赤
赤
シェイラ
赤
赤
シェイラ
赤
赤
下からシェイラを見上げる。 拾われた時もこんな感じだったのかなと想像すると、彼の姿は本当にヒーローのように見えた。
シェイラ
赤
赤
赤
赤
シェイラ
シェイラ
昨日聞いたから疑問が出てきたんだ。 りうらの価値は、あなたに会うことで出来たのか。元々持っていたのか。
捨て子に価値はあったの?親はりうらに価値を見いだせないから捨てたの?
親が居たらどうなっていたんだろう。
赤
シェイラ
赤
シェイラ
シェイラ
赤
シェイラ
赤
りうらが20になるころというと、シェイラは40代入りかけだろうか。 あと40年は生きてそうだな。
赤
シェイラ
赤
下の床石がひんやりと冷たかったので、ちょーっとだけ寝っ転がろうとしたらフードを掴まれて強制的に立たされた。
シェイラ
赤
シェイラ
赤
シェイラ
厳しいな...服3着持ってるんだから洗えば同じなのに。
シェイラ
赤
シェイラ
「静かに」ジェスチャーをされて慌てて口を閉じる。他の2人もアンテナを立て始めた。
自分もシェイラが何に気づいたのか探るが、なにも感じない。
赤
グゥォォォォォォォォッッ
赤
耳をつんざくような獣の鳴き声。 近くの草木が波のように揺れた。
赤
シェイラ
姿は見えないが、巨大な魔力の塊を感じる。この魔力はきっと、とんでもなく大きいモンスターだ。
シェイラ
赤
毒の準備をしていると、その手を止められた。
赤
シェイラ
赤
たしかに危険だ。 どのくらいの大きさか分かっていない。
シェイラ
ジュスティスメンバー達
ジュスティスメンバー達
シェイラ
ジュスティスメンバー達
2人が行く方向を少し見送った後、 シェイラがりうらに向き直った。
シェイラ
シェイラ
赤
赤
シェイラ
赤
赤
正門から最短距離で広場まで走ってきた。
広場には混乱しているような様子も無く、さっきの大きい鳴き声は聞こえてないようだった。
赤
まだ来てないようだ。 回り込んで来てくれているので、こちらの方が早いのは想定内だが。
赤
赤
大きい声を出すのはそんなに得意では無い。が、うじうじしてるとシェイラに怒られる。
赤
赤
村人達
村人達
村人達
村人達
賑わいが徐々に収まっていき、広場にいる大勢の目線がこちらに集まる。
緊張で心臓がばっくばくだが、言わないと村の人達が危ない。
赤
村人達
赤
赤
こちらに耳を傾け静かだった広場が混乱で埋め尽くされる。
人を探して叫ぶ声。 ビックリして持ってるものを落とす人。
まさに大パニックだ。
ジュスティスメンバー達
ジュスティスメンバー達
もともと広場に居たメンバーが呼びかけ始める。いつの間にか門のメンバーも広場に集まっていた。
赤
男の子
どうしようかと棒立ちしていたら、7歳くらいの男の子が走って激突してきた。 地べたに転けたまま泣きじゃくっている。
赤
男の子
赤
母親を探しているらしい。 さっきシェイラと親の話をしたせいか、「お母さん」と呼ぶその声が羨ましく感じてしまう。
赤
はっと我に返る。 何を考えているんだ。今は違うだろ。
シェイラなら迷わず親を探すはず。 お人好しの彼なら絶対そうする。
赤
赤
男の子
赤
男の子
手をとってはぐれないようにする。 昔はよくシェイラにしてもらっていた。
このまま正門の反対側まで行ったら、きっとこの子のお母さんも居るだろう。
赤
男の子
赤
赤
大丈夫。彼はちゃんと仕切ってくれる。
彼は強い。
赤
とりあえず反対側に歩き続けていると、避難の終点地となっていそうな場所にたどり着いた。きっと他のメンバーがここを避難所にしたのだろう。
赤
男の子
男の子
花が開くように笑顔になった後、ずっと繋いでいたりうらの手をするりと抜けてお母さんらしき人の方へ走り出す。
男の子
村人達
赤
...いいな。「お母さん」。
きっとすごく心配されて、目と目があったらぎゅってしてくれるんだろう。 手だってあの子はいくらでも繋いだことがあるはずだ。
男の子
赤
男の子
男の子
「家族は?」という言葉に一瞬固まった。
「居ないよ」と言えない。言いたくない。 どこにいるのかりうらも知りたい。
赤
村人達
赤
赤
村人達
赤
男の子
村人達
村人達
男の子
赤
3人組(武道家)
赤
今朝の武道家の声だ。
3人組(武道家)
3人組(武道家)
赤
赤
男の子とその母親に軽く会釈して、武道家から渡された水桶を受け取る。
3人組(武道家)
赤
今になって思い出す。 りうらは呼びかけるために広場に行ったのだ。避難所まで来る予定は無かった。
赤
赤
3人組(武道家)
3人組(武道家)
赤
そんなに心配になる人数ではない。 ちゃんと十分な数を連れていったようだ。
3人組(武道家)
3人組(武道家)
赤
少し考える。 別に「戦う」と約束したわけではない。 それに11人も居れば倒せると思う。
村人の保護の方が優先かもしれない。
赤
赤
3人組(武道家)
赤
なんで応援に行かなかったんだろう。
「彼は強いから」って、安心しきっていた。「別に自分が行ってもな」という油断が出てしまった。
どれだけ後悔するかも知らずに。
彼が居なくなってしまうと知っていたのなら、どんな選択肢があっただろうか。
赤
額の汗を拭ってため息をつく。 怪我人の対応はとりあえず一段落ついたという感じだ。
そこまで大きな怪我をした人は居なかったので良かった。
赤
シェイラ達、遅いな。
そろそろ倒してもいい頃なのに。 手こずっているのだろうか。それならやはり今からでも応援に向かう?
でもここを手伝うと言った以上、最後までやり切らないと__
おーい!!
赤
向こうからずいぶん大きい声で呼ばれる。姿は見えないので、りうらを呼んでるわけでは無さそうだ。
切羽詰まった声に身構える。
ジュスティスメンバー達
声の主の姿が見えた。
赤
ボロボロになった1人の肩を持ってよろよろと歩いてくるメンバー。
肩を持っているほうもボロボロだ。 足を引きずっているほうは頭から血が流れている。息も荒い。
ジュスティスメンバー達
赤
ジュスティスメンバー達
ジュスティスメンバー達
後ろから、そのまた後ろから。 戦いに行っていたはずのメンバー達が続々と帰ってくる。
みんな息切れしていて、でも、一番最初に来たメンバーが一番ボロボロのようだ。他の人達はそうでもない。
3人組(黒魔)
3人組(武道家)
3人組(黒魔)
3人組(武道家)
フィクションのような新鮮なリアクションを見せてくれるが、それどころじゃないのだ。
赤
赤
3人組(黒魔)
3人組(武道家)
2人が負傷者を担いでどんどん建物の中に入れていく。案外黒魔のほうも力持ちなんだな、と感心する。
赤
赤
ジュスティスメンバー達
比較的傷が少なそうな人に声をかける。
よく見ると、ほぼ傷が無い。クエストに行ったなら当たり前、くらいの傷しかついていない。
魔法使いでも無さそうだし、魔力切れの可能性も違う。 ...なんで帰ってきたんだ?
赤
ジュスティスメンバー達
なんだ、その"言い訳を探している"ような顔。普通に指示を受けて帰ってきたんじゃないの?
ジュスティスメンバー達
赤
赤
ジュスティスメンバー達
ジュスティスメンバー達
赤
モンスターって魔族だったのか。 いや、でも、紛れ込んだとしてもこちらが撤退すればすぐ帰るか? 普通激怒してる頃だろうに。
赤
ジュスティスメンバー達
さっきから煮えきれない反応のメンバー。本当に真実を言ってくれているのだろうか。
赤
指揮を執った本人に聞いた方が早い。
赤
赤
数人...いや、十数人.... どこにも姿が見当たらない。
そもそも十数人ってほぼ全員帰っていている状況だ。シェイラ込みの12人で行ったんだし。
なんで居ないの?
赤
赤
ジュスティスメンバー達
勢いでさっきまで喋っていたメンバーの両腕を掴む。なんで彼に当たっているのだろう。でも、抑えられなかった。
赤
ジュスティスメンバー達
目を逸らした。 それが答えの反応だった。
赤
赤
赤
ジュスティスメンバー達
「とても適わない相手」に1人で立ち向かってるの?彼がそんなことする?
命を自ら捨てるようなことしない。 不可能なことはちゃんと不可能って分かっているはずだ。
なのになんで....
赤
ついた....
赤
赤
そこに居たのは
顔に剣が突き刺さった初めて見る大きさの魔族と
魔族の爪が胸に突き刺さり、赤く染ったその剣の持ち主だった。
赤
石につまずきながら門にもたれかかっている彼に近寄る。
魔族の腕を乗り越えて地面に降りると、下は真っ赤な水溜まりだった。 足を踏み出すと嫌な音が鳴る。
赤
シェイラ
赤
彼の目線と合わしてしゃがむ。
涙はまだ出ていない。 混乱しかなかった。だって、大切な人が血まみれで横たわってるのだから。
シェイラ
「すまんな」と掠れた声で謝られる。
「やられてごめんね」? 「約束守れなくてごめんね」?
冗談じゃない。 死ぬなんて聞いてない。
赤
赤
シェイラ
シェイラの言葉を無視して、シェイラの腹と魔族の爪の境目に手を添える。
シェイラの心臓のリズムが伝わる。 硬い爪と人間の肌。やけに腹のほうがぐにゃぐにゃに感じられて気持ち悪い。
赤
そもそもりうらの薬じゃ傷は治らない。作れるのは体の内側を治す簡単な薬。 分かってたはずなのに。悪あがきだって知ってるのに、
こんなにも諦めたくない。
シェイラ
震える手でこちらの手をきゅっと握る彼。昔はもっと大きくて心強かった手が、今は小さく震えて弱々しい。
赤
シェイラ
シェイラ
赤
途切れ途切れの言葉に頷く。
全て察した。 彼は死んじゃうんだ。 この出血はもう助からないんだ。
シェイラ
赤
彼の片手を両手で握る。 人間の温もりが伝わってくる。りうらの方が血が巡っているはずなのに、彼の方があたたかい。
シェイラ
赤
赤
「『聞いて』って言ったのに」と笑うシェイラ。
でも気になるのだ。なんでみんなが帰ってきたのか。 きっとシェイラからしか聞けない。
シェイラ
シェイラ
赤
シェイラ
赤
シェイラ
厳しい戦いの中でも囲む作戦を伝えたはずだ。いざ囲もうと思ったらみんな逃げていた。そういうことだろう。
力無く笑顔をつくるシェイラ。 その笑顔が苦しい。
シェイラ
シェイラ
赤
りうらの頬に手を添えてくる。
シェイラ
シェイラ
彼は見捨てられたんだ。 信じていたメンバーに、大切にしていたメンバーに。
彼が何をしたんだろう。 リーダーになったばっかりに死ぬなんて、あんまりじゃないか。なんの罪も無いのに。
なんでりうらの大切な人を奪うの?
赤
赤
涙が混乱をこえて溢れだしてくる。 頬をつたう大粒の涙が、砂で乾いた彼の手を濡らす。頬に添えられていたその手を自分の両手で握る。
赤
赤
シェイラ
赤
今、ばーっと喋ってしまいたかった。 楽しかった事も、くらだない出来事も、彼への感謝の気持ちも。
「いつでも喋れる」と思って取っておいた言葉。なんで話しておかなかったんだろう。
シェイラ
シェイラ
目に涙を浮かべて悔やむシェイラ。
最初で最後の泣き顔だった。
シェイラ
こちらの背中へ手を回す彼。 微かな力から、引き寄せたいと思っているのが伝わった。
彼の意のまま胸の中に倒れ込む。 久しぶりに抱きつくような仕草をした。
シェイラ
シェイラ
どんだけ小さくても、震えてても、まだ微かに感じていた彼の力が消えた。
いつの間にか冷たくなった体。
自身の体温だけが、この世界に残った気分だった。
赤
赤
赤
彼の腕の中で泣き崩れる。
泣いたら頭を撫でてくれた手が、 慰めてくれた口が、 もう動かない。動いてくれない。
赤
起きてよ。りうらには無理だ。
あなたを背負って歩けない。
2年後
3人組(黒魔)
赤
大切な人が居ない生活が2年。 体は「そういうものだ」と理解している感じがするが、やはり心はどうにもならない。
居ないはずのシェイラを探してしまう。
けど、慣れないと仕方がない。 生きなきゃなにもかも台無しだ。
3人組(黒魔)
赤
赤
3人組(黒魔)
2年という月日は意外と長いもので、ついに俺も15歳になった。
シェイラが俺を拾った時と同じ歳。
そんな"俺"だが、頑張って「お人好し」を続けている。
赤
なにかやらかしただろうか。 いや、叱られるとしてもなんで会計係長?別にお金いじってなんかないけど。
喋るのもシェイラの葬式ぶりだ。
葬式の時だって、「大変だったね」みたいな会話を交わしたくらい。 そんな親しい仲でも無いし、あの仏像みたいな顔は今も昔も変わらない。
赤
桃
赤
向こうの曲がり角から歩いてきた会計係長とばったり出会う。
赤
桃
赤
急な問いかけに変な声が出る。 そんな話したっけ...いつだっけ.....
赤
赤
桃
そういえばそんなこともあった。 たしかこの人と初対面だったのだ。というかよく覚えてるな、会計係長。
桃
桃
赤
まさか本当にレベル5まで上げてくれるとは思っていなかった。 「余裕」ってどれくらいの余裕ができたのだろう。ずいぶん太っ腹だ。
赤
桃
桃
...意外と良い人なんだな、この人。
桃
桃
あぁ....「期待の星」か。
彼の残した「お人好しにはなるな」という言葉。俺は今、そのお願いに全力で逆走している最中だ。
彼の生き方は間違ってない。 やったことは良いことだった。
それを天国の彼に分かって欲しかった。 俺がシェイラのためにできる恩返しはそれだと思ったのだ。
一人称も変えたし、前髪も下ろしたし、強くなれるよう"一人きり"の鍛錬もたっくさん積んだ。彼に近づくために。
赤
「期待の星」っていうのもやっぱり、 "利用"されてるだけなんだろうな。
一年後
少し指先が冷える季節。
俺ももう16なので、当たり前に混ざれるような歳になった。少し前までは怪訝な目で見られることも何度かあったが、今はもうそんなことは無い。
当たり前に仕事を任されて、それをしっかりこなせるような歳になった。
クエストリーダー
クエストリーダーが周りを見渡して声をかける。今回のクエストはかなりの大人数なようだ。
赤
これは大変なクエストになりそうだ。
ジュスティスメンバー達
クエスト開始から3時間。慎重に赤龍の子供をおびき寄せて誘導する。
やっと姿が見えてきた。
赤
ジュスティスメンバー達
赤
まだ子供なのに3mくらいはある。 龍では無いが、これ以上の大きさの個体を倒した自分の師匠の強さを実感する。
相打ちでなければ花丸だったのにな、という考えが頭をよぎるが、すぐに消し去る。シェイラの生き方を肯定しようと真似ている俺が否定してどうするのだ。
パシュッ(弓矢
赤龍
合図の弓矢。 見事に赤龍の背中に刺さった。
ジュスティスメンバー達
ジュスティスメンバー達
赤
赤
霧を出して毒の膜を張る。 このままやんわりと誘導できれば、赤龍を追い出すのに貢献できるだろう。
赤
膜を張るのはかなり難しい。苦手分野だ。それでも叩き込まれた技なので、鍛錬を思い出して魔法だけに集中する。
集中していたのに、後ろから肩を叩かれて、膜がぽんっと消えてしまった。
赤
クエストリーダー
クエストリーダー
赤
穴がいくつかある気がする。どこかでつまずきそうな危険な作戦だ。
クエストリーダーが言うものだから、了解と答えてしまった。
でも、シェイラならきっとこうするはず。すこしくらい危険な作戦でもなんとかする。俺にもできるはずだ。
赤
赤龍
赤
赤龍
トリックスターの技で小さめの壁を出す。魔力の塊の壁だ。
なんとか魔法陣の発動は間に合った。 あとはこれを連続で発動して、そしたら向こうのメンバー達がそのまま赤龍を誘導してくれるはず。
この技をもう1回....
赤
なんで赤龍は左側に行かないの? 誘導してくれてるはずなのに...
赤龍
ダメだ、こっちに来てる__
赤
赤龍
赤
赤
足元を攻撃されバランスをくずしたまま坂に合わせて転がる。 ゴツゴツした岩の上を少し転がった後、特別大きい岩にぶつかった。
赤
赤龍
ダメだ。やられる。
これ、死ぬやつだ。
シェイラもこんな気持ちだったのかな。 死ぬ間際って逆に何したらいいのか分からないものなんだな。
赤
赤
こんな人生でよかったのかな....
結局俺の輝ける場所ってどこだったんだろう。
きっとジュスティスではなかったんだろうな。そもそもあったのかな。
見つけてないのに...死んじゃうのか....
シェイラとの約束...りうらも守れてないじゃん......
わぁぁぁあっっっ!!!
赤
紫
赤龍
ザシュッ(かする
紫
紫
よろけながら近づいてくる剣士らしき白髪の人物。
紫
紫
赤
誰だこの人。本当に初めましてだ。
でも...「針剣」って、シェイラが使ってたのと同じ技だ。
それになぜか、安心感がすごい。
紫
これがまた運命みたいな出会いで、 リウラ・スタティアンは後から確信することになるのだ。
この人、この目の前にいる人物が、
りうらが輝ける場所の鍵になると。
黄
黄
赤
水
赤
武器庫を破壊するクエストの帰り道。 あの後、無事ないくんに弓矢で爆弾を発動させてもらって作戦通り終わった。
帰りは幻覚魔法の範囲外を少し遠回りをして歩いている。帰る時間はだいぶ遅くなってしまうかもしれないが、もう一度あの地獄を味わうのは嫌だという意見が多かったのでこうなった。
青
紫
赤
四角錐を2つ合わせた形のネックレス。 実は、シェイラの形見である。 中身は自分が作った毒に入れ替えたが、元々は「正義の水」とかいう金色の水が入っていた。
ずっと持っていたかったから、活用できるように入れ替えて使っている。 身につけていれば、すぐそこにシェイラがいる気がするのだ。
赤
水
今回のクエストで1番楽しみにしているのは、なんてったってみんなと泊まることだ。
本当は全員でひとつの部屋がよかったのだが、流石に6人は無理だったらしい。 けど、3人ずつでも満足だ。
まさに「パーティー」って感じがする。
桃
青
黄
桃
紫
水
赤
黄
青
紫
水
青
年末にまろだけに話した「メンバーと泊まりたい」という話。多分気を使って聞いてくれているのだろう。優しいな。
赤
赤
紫
赤
水
紫
黄
青
黄
桃
黄
青
桃
仕方なさそうに笑いながらりうらの肩に腕を回すないくん。
桃
紫
赤
ないくんのもう一方の腕に潜り込む初兎ちゃん。意図せずないくんの元々知り合いチーム(今作った)になった。
黄
水
青
保護者.....()
赤
桃
多分、ここがりうらの輝ける場所。
まだ分からない。だって、パーティーは裏切られることもあるんだから。
でもこれから証明していけばいい。 そのためには一緒に居ないとね。 全然苦じゃない。むしろ大好きだから。
彼以外に大切な人ができたのが、今の俺の1番の成長だろう。
「宝物」と言ってもらえたこの体。 今度はりうらの「宝物」を守るんだ。
続け