年明けカウントダウン、こっちの連載でやるよ〜!って言っちゃったので、 クリスマス連載は少しストップです。 途中なのにごめんなさい🙇
ずっと書きたかった練習場編!! 本編に直結してるわけでは無いけど、戦いをじっくり書くシーンとかもあまりないので、技名とかにも注目してみてね!
本編 Let's go!!
2023/12/27投稿
第36話
「パーティー特訓」
キィィ....(扉
宿の扉を開けて外の空気を吸い込む。 1月の夜の空気はまだまだ冷たくて、上着を羽織っただけでは全然寒い。
布団の中でくるまっていたかったが、部屋の中から1人消え去っていたので探しに来た。
桃
寒くて起きたら隣に居たはずの人が居なかった。「面倒見てな」とアニキから頼まれたのを思い出して心臓が一瞬止まった気がするくらい焦ったし。
けど多分そんな遠くには行ってないはず....あの子気まぐれすぎるから。
桃
赤
外に置いてあった古いベンチに腰掛けている赤髪の少年。
なんとも思ってなさそうな声で返される。こっちはわざわざ探しに来たのに。
桃
赤
赤
肩に毛布をかけて白い息をはくりうら。 空を見上げる姿がさまになっていて、俺が知っている昔のりうらとはだいぶ変わったなぁとしみじみ思う。
桃
赤
桃
赤
桃
赤
けらけら笑ってるけどこっちは本当に焦ったのだ。ただでさえ幻覚魔法で精神やられてたのに仲間が急に消えるとか聞いてないっていう状況。内心大パニック。
桃
桃
暇つぶしのため、純粋に気になった話題を声に出す。
赤
桃
ジュスティスの中で一二を争う強さを持ってた人だ。魔族と戦って亡くなってしまったけど。
それなりに喋ったことはある。ただ強いだけじゃなくて努力を惜しまない人で、リーダーとしての魅力を持っていた。 それと同時にとてつもなく優しい人だ。
赤
そして彼の恩師でもある。
赤
桃
赤
赤
諦めたような笑顔でこちらを見るりうら。彼の恩師が亡くなったのは3年前くらいだっただろうか。気持ちの整理もそれなりについているのかもしれない。
けど、当時13歳の少年だったりうらにとっては、一生消えない傷だと思う。
桃
赤
赤
桃
桃
赤
心当たりがあった。 だいぶ昔だが、シェイラさんはりうらについても話していた。毒使いに必要なスキルと毒の費用について。
その時に、俺もりうらと同じ疑問を持って「毒使いの経験があったんですか?」と聞いたのだ。
桃
赤
桃
桃
赤
口を半分開けて、瞳を震わせながら俺の言葉をのみこむりうら。
1度深く目を閉じて、こちらと反対方向を向く。目を腕でおおって小さい小さい声で呟いた。
赤
桃
今からどう足掻いても、彼の恩師はもう居ない。かける言葉がこれしか無かったことに少し悔しさを感じる。
けれど、りうらが顔を上げた時に見えたのは"救われたような笑顔"だった。
赤
赤
桃
そうか。この言葉で良かったんだ。
彼は1人でも、十分に成長し始めてるのだから。
桃
幻覚魔法地獄から2日後。 今日はりうらの希望により、メンバー全員で集まる予定の日だ。
青
桃
青
桃
早めに家を出たつもりだが、すでに待ち合わせ場所に居たまろと雑談中。
桃
青
桃
青
まろが右手で持っている杖を見る。 パッと見ると木でできてそうな見た目をしており、頭の方がくるくる2周くらい渦巻いている。
よくある典型的な魔法使いの杖だ。
桃
青
桃
青
桃
青
年齢いじりしてくるくせに子供っぽいとまで言われるの? 俺どうしたらいいんだよ。
たしかに人によっては少しはしゃぎすぎる時もあるけど。
青
青
桃
そう。りうらの希望とは「パーティー特訓」のことである。
まろからりうらがまだパーティーに入ってない頃にやったって話を聞いたらしく、ずっとねだられていた。
そしてその上に初兎ちゃんの「ええやん!!」の一言で希望が通ったのだ。
青
面白がってまろが言う。 1対5は俺死ぬよ?俺不死身かなんかなの?
桃
青
桃
水
水
赤
俺の後ろからにゅっと出てくる2人。 一緒に来るのはめずらしい組み合わせだ。家離れてるし。
赤
青
水
桃
水
桃
赤
桃
前衛の初兎ちゃんとアニキ、後衛のまろ、変わり種の魔法が撃てるりうらとその上に白魔のほとけまで乗っかったら、自身が負ける姿が安易に想像できる。
それに前のパーティー訓練とは違う。 半年もないうちにみんながどれだけ成長したというのだろう。
桃
...若さかな。みんなほぼ子供だもんな。
黄
紫
2人が宿の方向から並んでてくてく歩いてくるのが見える。この組み合わせは珍しくもない。なんていったって宿同じだし。いつも一緒に来ている。
黄
桃
紫
紫
「褒めろ」という気持ちが顔全面に出た表情でドヤられる。 まだまだ子供だなぁと思う。
水
桃
紫
2人で褒めちぎっていると、ほか3人から冷ややかな目で見られる。
赤
青
黄
褒める時は褒めないと、この人すっごいへこむからな。もうずいぶんと前に経験済みだ。
小さい頃は今ほどでは無いが一緒にいる時間も多かったし、扱いは知っている。
青
水
赤
黄
紫
桃
練習場の方向に先頭を歩く。 わちゃわちゃ喋りながらついてくるのがこのパーティーらしい。1番前から見るのも結構楽しいのだ。
今日も騒がしくなりそうだ。
青
桃
少し早めに来たつもりだが、先に来ている人達が結構居る。王都の練習場はひっきりなしに人が来るので、空いてる場所を早めに取っておいた方がいい。
隅の方だが、前みたいに他の人達の攻撃が飛んでくることも少なそうなのでいい場所だろう。
赤
黄
水
紫
紫
初兎ちゃんが俺をかがませて、情けない声で耳打ちしてきた。
紫
桃
紫
少しからかったが、それもそうかと納得する。だってまだ冒険者になって半年も経っていないのだ。知らないのが当たり前と言ってもおかしくない。
パーティーにも入ったことが無かったのに、急にリーダーなんて俺も無理だ。
桃
桃
紫
紫
ぱっと顔を上げて笑顔になる初兎ちゃん。他のみんなの方に向き直して話し始める。
紫
黄
青
紫
賛成した様子のみんなに安心するリーダーさん。
紫
紫
赤
水
桃
俺は「模擬戦」という選択肢しか伝えてない。そこからトーナメント戦かリーグ戦かを想像するとは思わなかった。
初兎ちゃんの強みは発想力なんだろうな。何も知らなかったら思いつかないだろう。
青
紫
紫
桃
桃
桃
赤
水
みんなで動いて横にランク順に並ぶ。 気づかないうちにみんなランクは上がっていっているが、順番はそれほど変わってなさそうだ。
C+ →桃 D+ →赤 E →黄 F+ →紫、青 F →水
桃
6人なので2人1組で、2チームを勝ち上がってきた人が1チームで勝利した人と戦うって形になりそうだ。
妥当な組み分けは....
桃
桃
桃
桃
黄
紫
青
水
みんな嫌そうなそうでなさそうな中途半端な顔をするが、明らかに拒否った顔をしているのがひとり居た。
赤
桃
赤
赤
桃
赤
痛いところ突いてくるな。
でも模擬戦って成績そんなに関係ないし、むしろこの後変な組み合わせでぺちゃんこにされる俺の気持ちも考えて欲しい。今のりうらよりひどい気がする。
準備運動みたいなものなのだから、気楽にやってくれればいいのに。
桃
赤
桃
紫
黄
黄
頭を深々と下げるアニキ。多分メンバーの中で一番礼儀正しいんだよな。 武道家ってみんなそうなのだろうか。
紫
初兎ちゃんも慌てて礼をする。
水
水
紫
紫
黄
桃
アニキが初兎ちゃんの出方をうかがっている中であの技。警戒されてるんだから百発百中逃げられるのは分かっていただろう。
「山棘無限」はたしか、曲線を描くように剣を振り続けるとんでもない力技だ。初兎ちゃんは苦手なはず。
紫
黄
紫
黄
紫
紫
水
赤
青
桃
根気でなんとかしているのだろうか。 ずっとスレスレを攻めてくる剣にアニキもだいぶ押されていて苦しそう__
....でも、絶対避けてる。
なんだこの違和感。そもそもなんで初兎ちゃんはあんなに続けて振れるの? おかしいのは体力じゃなくてその余裕だ。なにも気にせず振り続けている。
アニキは....なんでこの攻撃の連鎖を止めようとしていない?
桃
黄
桃
黄
避け続ける中でいきなり構えの姿勢をとったと思ったら、回し蹴りならぬ回し殴りみたいな強烈な拳を突き出した。
片腕を後ろに引いて、そのまま突き出すかと思いきやまさかの"1周回して"勢いづけてパンチをおくる。
紫
体をひねってギリギリで避ける初兎ちゃん。ほんとにギリ。当たってたんじゃないかってくらいだ。
そう思うと反射神経が良いんだろうな。
水
赤
青
観戦組も盛り上がってる。 楽しそうでなによりだ。
黄
黄
紫
黄
紫
上から下から横から斜めから...さすが武道家。全方位から躊躇なく技を繰り出してくる。
体制を立て直す暇もなく、よろけながらギリギリを避けていく初兎ちゃん。
黄
紫
黄
紫
黄
青
水
桃
赤
どっちかの体力が切れるまで続く気がしてきた。このままいったら分からない。
アニキも攻め続けるより一旦距離を取って様子を見る方がいい気がする。
桃
やっぱり違った。
赤
桃
さすがアニキ。 彼のほうが1枚上手だ。
紫
黄
紫
勝利を確信した初兎ちゃんの口角が上がる。剣を握り直して構えた。
紫
ビュォッ(剣を振る
「朝露」 剣の表面に魔法を添わせ、剣を降って落ちる朝露のように魔法を飛ばす技。 魔力が多かったり魔法をすぐに出せるような剣士がよく使う。
青
水
黄
速い剣捌きで避けられず、直で攻撃をくらうアニキ。
でも、立ってる。体制を崩さずに。
紫
混乱する初兎ちゃん。そりゃそうだ。 だって勝利を確信して放った攻撃をくらった相手が、しゃんと立っているのだ。
黄
黄
紫
あまりにも予想外だったのだろう。
まっすぐ飛んできた拳を見て、石のように固まる初兎ちゃん。 顔のスレスレでピタッと止めるアニキ。
紫
黄
黄
水
赤
桃
青
紫
照れ笑いを浮かべながら恥ずかしそうに立ち上がる初兎ちゃん。
赤
桃
黄
桃
桃
黄
模擬戦に勝って爽やかな顔だったアニキが少ししょぼんとする。
黄
紫
紫
青
紫
紫
得意でない技を模擬戦で使える奴は強いって俺の師匠が言っていた気がする。 つまり"本気になれる人"。
負けた初兎ちゃんも勝ったアニキも、本気で戦ってたから本当に楽しかったんだろう。
まだ5人でここに来た時、アニキは傷つけてしまうのが怖くて少し手を抜いていた記憶がある。そう思えばすごい成長したんだな。
赤
桃
紫
紫
青
水
いや...組み分けしたの俺だけどさ、決定って言っちゃったの俺だけどさ、
ぶっちゃけどう戦うのか1ミリも想像できない。
白魔術師VS黒魔術師の模擬戦なんて前代未聞だよ。宗教のいがみ合いはあっても身と身で戦うって聞いたことない。
水
青
2人も混乱してる....()
青
まろが杖からファイアボールを数個連発する。なるほど、ああやって使うのか。 手が疲れないとか、そういうのなのかな。
水
青
水
青
水
青
水
青
水
まろの攻撃を防げる程度の小さな結界を飛んできた瞬間に正確な位置に張るほとけっち。すごくシュール。
まろはというと、模擬戦中なのに顎に手を当ててこのシュールな状況の脱出方法を考え始めている。
赤
紫
黄
桃
たしかにこのままじゃもはや模擬戦じゃないしな。ほとけっちからも攻撃してもらわないと。
桃
水
説明しよう! 基本魔法とは土・水・風・火・雷・闇の6属性のことだ!世の中の魔法はここから複雑に組み合わされて出来ているぞ!
俺の声に反応するほとけっち。一瞬迷った顔をして、笑顔になってまろを見た。
水
青
水
水
青
心底嫌そうな顔をするまろ。 火属性以外の魔法は苦手なのだろうか。よく考えれば見たことがない。
そう思えばこの2人の基本魔法だけの対決は結構面白くなりそうだ。
水
青
水
口をもごもごさせて楽しそうなほとけっち。普段白魔法しか使ってないから気分も上がるのかもしれない。
桃
青
水
青
水
青
水
青
水
杖を上に掲げて呪文を唱えまくる。
降り注いでくる雷を叫びながら避けていく白魔さん。まろは止める様子もなく同じ魔法をじゃんじゃんうっている。
紫
黄
赤
桃
ちょっと面白みが無い。 まぁ本気で勝とうと挑んでくれているのはとても良い事なのだが。
水
水
自身の上に水を展開させて雷を防ぐほとけっち。本当に雷が水の中で逃げていく。水属性が得意なのかもしれない。
青
青
あ、喧嘩売ったなあの子。
水
水
青
水
水
見て1発で分かる。闇属性の魔法だ。 ほとけっちの背中から闇のようなものがもくもくと出てきて、白い服とのコントラストが凄い。
青
白魔術師って闇属性使えるんだな。 ほとけっちから出てきたもくもくの闇がまろを囲むように降りかかる。
紫
黄
赤
桃
ほとけっちも意外と腹黒いのかもしれない。いや、無いか。純粋だからな。
紫
桃
青
水
ここぞとばかりに煽るほとけっち。顔がいきいきしている。
まろが直立で突っ立ってるので、どうしたのかとよく観察してみると、白目の部分が真っ黒になっていた。
視覚系の魔法をかけたときに出る症状。
桃
青
目元を手で覆いながら呟くように言うまろ。多分ほとけっちの魔法でほとんど見えていないんだろう。
そんなに高度な魔法使えたとは知らなんだ。ほとけっちはと言うと相手の視覚を奪えて余裕があるようで、にまにました顔で攻撃を中止している。
水
水
青
(今のところ)勝算がある白魔と、視覚をほとんど奪われた黒魔.... なんだか予想外の面白い展開だ。
ほとけっちが無言で詰めよろうとする。
青
まろを囲む火の輪がゴォっと地面から立ちのぼる。ほとけっちがスレスレで足を止めた。
水
青
業火の中できっと目が笑ってるんだろうな。たしかにこれじゃ近づけない。 さすが、前も思ったけど"ガチの実戦に強い奴"だ。緊急事態に強い。
青
水
フレイムの火が風に揺られて勢いがつき 大きく燃え盛る。まさに誰も入れない 「業火の檻」だ。
紫
赤
黄
桃
まろの狙い....「フレイム」にある? わざわざフレイムを使った意味ってなんだろう。いや、でもあの状況で自身の保護のために使うのは当然。
その先の先を読んでる....?
ゴォォォッッッ
水
まろがフレイムの火をどんどん広げていく。輪っかが大きくなって、その勢いでほとけっちが転んでしまった。
青
火の輪を広げていくまろ。 革靴の先まで火がきたとき、ほとけっちが叫んだ。
水
その言葉を合図に火の勢いがしぼんでいき、フレイムが解かれた。
青
赤
紫
桃
水
水
青
黄
桃
水
水
桃
桃
今ないちゃんにテネブルかけた!
ほとけっちの声だけ聞こえる。
ないちゃんの目真っ黒や〜!
俺こんなんなってたんか...
目の前に手をかざしてみる。 本当に何も見えない。どういう仕組みなんだろう。
今ないちゃんの目に闇属性の魔法で作った黒いもやもやをかけてるのね
目の面積とまったくおなじ大きさで魔法を展開して、継続するの
《テネブル》
視界の黒色が無くなっていく。 光がぶわっと目に飛び込んできた。
桃
水
ほとけっち、今まで白魔術師としてクエストについてきていたけれど、その魔法を使えば戦闘力としても強いのでは?
水
水
桃
床に寝そべってゼェゼェ言っている。
紫
水
黄
青
青
そういえばまろもほとけっちほどではないが体力が無かった。しんどそうだ。
というか「げっ」て言ったよな...アニキと戦うの嫌なんだろうなぁ。 成長見たいし戦ってもらうけど。
桃
赤
赤
桃
満面の笑みで言わせてもらう。 彼に手を抜いてむかったら余裕で負けることくらい普段の戦いから分かってる。
負けず嫌いだし、本気で当たったら本気で返してくれるだろう。
赤
桃
赤
赤
桃
赤
桃
紫
紫
赤
桃
こちらに向けて物凄い速さで詰め寄ってきた。地面を蹴った音も無くて、軽やかに空を飛んでるような走り方。
首を掴まれそうになる。
桃
赤
この子...恐ろしい.....()
最初からスピードで来るとは思わなかった。攻撃は俺からかなと勝手に想像していたものだから、ひとつのシミュレーションが完全に崩れる。
桃
なるほど。俺に弓を使わせないために間合いを狭くしたのか。たしかにナイフしか選択肢が無くなった。
桃
赤
ナイフを数回突き出す。 りうらが思いっきり地面を蹴って飛び退いた。反射神経が凄い。
赤
魔法陣が展開されたりうらの手にナイフが浮かび上がる。 俺の物と形がそっくり。
桃
赤
桃
赤
赤
桃
出しては投げ出しては投げ、避けて避けて、外から見てたら俺がもてあそばれているように見えるだろうな。
けど、りうらが隙だらけだ。
そもそもナイフの訓練なんてした事ないはず。振りかぶり方が違う。もっと重心は前にしないと。
ナイフの生成に時間をかけ過ぎだ。
赤
桃
赤
桃
いい位置。いい速度。 これなら__
桃
赤
桃
桃
大きく振りかぶって投げる。 死ぬかと思うほど修行を受けたこの体だ。「投げよう」と思うと勝手に動く。
赤
赤
桃
りうらの目の前でナイフが消えた。自分の魔力で作った物だから魔力も分散させることができるのだろうか。
桃
りうらとの間合いをいっきに詰める。 よろけてる今がチャンスだ。
赤
赤
桃
さすがに回し蹴りは予想してない。 ナイフの軌道が変な方向に反れ、丁度腰にりうらの回し蹴りをもろにくらう。
体をひねって衝撃を極力抑えるが、痛いものは痛いし体はふっ飛ぶ。
桃
桃
りうらの後ろにシェイラさんが見えた気がする。毒使いに回し蹴り絶対必要ないのに面白半分で教えたんだろうな。
そのおかげで不意打ちされた。 案外面白半分も役に立つものだ。
赤
ほっとしたような顔で追い討ちをかけるりうら。
桃
上から毒であろう霧が煙のようにもくもくと広がってくる。多分吸っても死ぬほどの毒じゃないよう調整してくれているのだろうが、動けなくなるくらいには効く毒だろう。
桃
そうか。下に這いつくばってる今なら効かない。りうらも安心しきってるはず。 不意打ち返しなら今だ。
桃
床にナイフを勢いよく滑らせる。
赤
りうらの足にナイフの持ち手が当たる。
赤
赤
桃
寝そべった状態からいっきに起き上がる。「大嵐」は両手にナイフを持ってランダムに切り刻んでいく技だ。
初兎ちゃんが使っていた「山棘無限」と似通ったところがある。
赤
りうらの反射神経が良すぎてなかなか当たらない。
桃
けどこちらもすぐに諦める気は無い。 この技、1分間振り続けるだけでも結構疲れるのだが、俺の脳筋な師匠は1時間耐久とか意味わからんことやらせてきたんだ。
りうらの体力と気力が先に尽きる。
赤
桃
喋りながらもギリギリで避けていくりうら。よく疲れないな。
桃
赤
桃
赤
もう少しで当たりそうだけどなかなか当たらない。
ナイフを繰り出す事だけに集中してしまっていた。りうらがポケットに手を突っ込んでるのに今頃気づく。
桃
赤
赤
桃
やばい。切ったら毒が飛び散る。
桃
自分ごとしゃがんで試験管からナイフをそらす。今ここで試験官を突きつけられたら負けだ。どうしよう。
今動いたらりうらは絶対に俺を負けに持って行ける。しゃがんだ状態から逃げるのは現実的じゃない。
ナイフか...弓矢で不意打ちか。
桃
赤
りうらがナイフを生成する。
赤
桃
赤
視線が上に向く俺につられてりうらも慌てて上を見る。
桃
そこには__下向きになって浮いた矢が大量に並んでいることに気づくんだ。
桃
降ってくるころにはもう遅い。 だって瞬発的に逃げれる距離と矢の展開されている面積が合っていない。つまりどう逃げたって当たるわけだ。
赤
赤
水
俺らの頭の上にほとけっちの結界が展開される。降ってくる矢の傘になるように、矢がグサグサと刺さっていく。
紫
赤
青
桃
赤
桃
桃
まだ横っ腹がズキズキする。りうらも当たるとは思ってなくて本気で蹴ったんだろうな。
黄
赤
桃
水
桃
もうちょっと引き気味の姿勢が良かったかもしれない。「メンバーだし」と知っているつもりでいたが、まだまだすごい力が隠れていそうだ。
桃
黄
青
【結果】 アニキ Win
青
水
桃
青
赤
黄
紫
桃
黄
休んだ
黄
桃
赤
開始の合図。多分アニキとはスピード勝負だ。とりあえず出方をうかがおう。
黄
桃
けど、隙もない。 今攻撃しに行っても確実に避けられる。 向こうもこちらをうかがっているのだ。
きっと攻撃したらアニキが飛び退くから...間髪入れずにもう一度飛びかかってフェイント入れてとどめ技。
よし、それでいこう。
桃
桃
黄
予想通り。
桃
ナイフを振る。右上から振って、その流れのまま左にそらして左からもう一度突き出そう。
右上から振りかざす。 アニキが避けようとして左に.....
桃
低い体制の中視線を上に上げる。 アニキのすました顔。完全にこの振りがフェイントだって分かってた表情だ。
黄
桃
ナイフを持ってフェイントをかけた方の手首をしっかり掴まれる。 武道家に腕掴まれるとか大ピンチだ。
黄
あ、背負い投げだこれ。腕終わったな。
自分の体が宙に浮いている。というか飛んでる?とても風を感じる。多分飛ばされた後から体が1周まわってる。
桃
黄
興奮気味に伝えてくるアニキ。
桃
桃
今!!模擬戦中!!!()
桃
黄
結構速いスピードでナイフを振り続けているのに、ちゃんと追いついてくる。アニキの動きがすばしっこすぎて狙おうにも逃げられる。
桃
黄
黄
避けるためしゃがんだのかと思いきや、そのまま足を伸ばしてもう片方の足を軸にプロペラのように半回転する。
桃
足を引っ掛けられそうになった。転けたらチェックメイトされていただろう。
どんな形の攻撃をしても、身体を上手く使って隙を奪おうとしてくる。 油断出来ない。
桃
こちらに勝算はある。けど、気を抜いたらあっさり負ける。
好きな類の試合だ。
黄
桃
お互いだいぶ体力が削られた。 相手は肩で息をしている。多分俺より疲れていると思う。だってアニキは全力で立ち向かってきてくれているのだから。
ワンアクションに使う体力がこちらの方が小さければ、時間をかければ相手のほうが確実に疲れる。なるべくアニキに大きい動きで返してもらえるような攻撃ばかり送ったのが効いたみたいだ。
黄
黄
ふらっとしたと思ったら、構えの姿勢に入ったと思ったら、技を出てきた。
距離はそんなに遠くもない。でも、この距離で相手が疲れているのなら__
桃
黄
かがんで技をかわしつつ、アニキのお腹の辺りに手を回して捕まえる。
そのままぐるっと回して首にナイフを近づければ、よくある人質状態の完成だ。
桃
黄
桃
青
水
黄
桃
紫
赤
桃
黄
桃
休憩後
紫
紫
紫
紫
いや聞いてない聞いてない。
青
水
黄
赤
桃
桃
紫
桃
桃
紫
あ、そこは素直なんだな。 てか「生贄」って言い方失礼じゃない?
赤
水
黄
腕をホールドされた初兎ちゃんが押されながら俺の方へやってくる。
水
赤
紫
桃
紫
初兎ちゃんか....戦闘力で見たら向こうの方が圧倒的有利だ。人数もジョブも。
魔法・魔法・毒・創作・武道 vs ナイフ・弓・剣....?
厄介なのは魔法の量と創作だ。 武道と毒は避ければ何とかなるが、魔法の数で押してきたり向こうが有利になるよう何か作られたら結構困る。
紫
紫
桃
でも俺基本一人で戦ってきた奴だし、普段同行してるクエストでいろいろ口出してるけど、それはパーティーとしての術である。
2人組の今、大げさに言えば初兎ちゃんは相棒という立場になってくる。 俺の片方の腕で、俺の見えない背中。
昔から知っている彼の強みは__
桃
紫
紫
桃
桃
紫
紫
桃
紫
桃
紫
知ってる。初兎ちゃんはまだ指示が得意じゃない。だから、きっと俺がそれどうりに動いてもはちゃめちゃになる。
でも、俺がピンチになったら、彼は何があっても飛び込んで助けてくれる。 「そういう奴」なんだ。初兎ちゃんは。
桃
これまた楽しい試合になりそうだ。
紫
紫
赤
青
紫
紫
ピーーーッ(セルフ笛
紫
桃
紫
桃
1人で4人に突っ込んでいく。 全員がぎょっとして構える。飛び込んでくると思ってないと思う。だって2体4だ。こちらが出方を伺うほうがいい。
紫
初兎ちゃんの読めない指示も、きっとこちらのチームの強みだ。
桃
水
青
水
黄
桃
赤
後ろを振り向くと、りうらの得意げな笑顔。手には毒っぽいものが入った試験管がにぎられている。
カキーンッッ(試験管がはじかれる
赤
紫
水
桃
紫
そのまましゃがむ。ウォーターボールはみごと避けれた。
ちょうどほとけっちとまろの2人組、アニキとりうらの2人組に囲まれている図になっている。
魔法使い2人が固まってる.... 不利か?
いや、有利だ。 接近戦と遠隔攻撃が混ざるほど厄介なことはない。離れてくれた方がマシだ。 この立ち位置なら....
桃
紫
紫
桃
桃
紫
紫
初兎ちゃんがまろとほとけっちの魔法使い組へ向かって突っ込んでいく。 想像通り。この立ち位置なら1対2で戦った方が立ち回りやすい。
それにしてもかっこいい台詞言う前に 許可もらっちゃうんだな.... やっぱりまだまだ子供だなぁと思う。
桃
桃
〈 当たり前や〜!!
桃
赤
赤
黄
よく考えればさっき2人と戦ったな。 癖とか戦い方とかがまだ俺の頭の中にデータとして残っている。
桃
赤
りうらの厄介なところは反射神経...つまりすばしっこさと、あとはとっさに起こす予想外の行動。
多分最初から計画を練って練って攻撃に繋げているわけでは無い。 直感で、感覚で、本能で動いている。 天性の才とでも言うべきだろうか。
だからこそ勝利を確信した時、一気に集中が切れる。その鋭い勘が途絶える。 狙うならそこかな。難しいけれど。
桃
毒・創作・魔法を使ってくるりうらに比べれば、格闘技のみを使うアニキはマシに見えるだろう。 それがそうでもないのだ。
頭が切れる。体力バカ。絶対切れない集中力。隙のないかまえ。 りうら同様すばしっこい動き。
....うーん。俺詰んだかなぁ。
いやいや落ち着け。魔法職が居ないのだから、とにかく目の前のことだけに気を使えばいい。 避けることならまだできる。
黄
桃
赤
桃
赤
桃
なんか....動きが鈍い?
桃
お互いどう立ち回ったらいいのか焦ってるんだ。傷つけないよう、邪魔にならないよう、遠慮しあってる。
そっか...なら避けるのは簡単だ。 ちょこまか動き回って集中力と体力を削ごう。
あー、でも1人持久力すごい人居るからな。ずっとドンパチやってても後ろの初兎ちゃんがどれだけ持つか分からない。
この2人の弱点を活かしつつ、早めに倒す方法......
桃
黄
桃
赤
桃
連携...してるんだよな? アニキが突っ込んで、りうらが隙を着くみたいな形が出来上がっている。
今は逃げているだけ。アニキの攻撃を大袈裟に避けて、攻撃の後の隙を着いて技を出そう。 そしたらきっとアニキは飛び退く。
技を出した後の体制を崩した俺をりうらは間違いなく狙ってくる。 多分そこで彼は「あ、勝ったな」って油断するはず。
そんな鋭い勘が途絶えた状態を狙える 俺の技....?
「じゃあ攻撃方法は自由で!」
桃
魔法だ。基本魔法くらいなら撃てる。 相手も撃ってくると思わないはず。
狩人だから、そんなに精度は高くない。 けど不意打ちには十分だ。
黄
桃
ビュンッッ
黄
黄
桃
桃
赤
大きくジャンプして手に魔力を込めているりうら。 手の中の魔力はまだ小さくて、発動できるまであと1秒ってところだ。
基本魔法の俺の方が速い。
桃
赤
〈 ぎぃゃぁぁぁぁぁッッ!!
桃
後ろを振り向くと、フレイムに囲まれてる....初兎ちゃんらしき人影。
桃
紫
青
赤
水属性の魔法陣を突きつけられたまま混乱した顔で視線を変えるりうら。 こちらももう王手だったのにな。
紫
赤
黄
桃
2対4でも意外と出来るんだな。 というか初兎ちゃんが魔法使い2人相手にあんなに粘れたのが驚きだ。
ただ途中から実質1対2になっていたから、それがこちらのチームの有利な点になった気がする。 あんな風に2人でチーム組んで戦うのは、みんなした事なかったのだろう。
初兎ちゃんと協力してやるとなっていたなら、正直負けていたと思う。
桃
黄
赤
桃
2人の肩に腕を回して乗っかかる。 伝えたいことがたくさんあるのだ。 あ、別に説教じゃないよ?
赤
黄
桃
紫
水
青
紫
水
青
青
水
紫
桃
まだ午前中だしな。全然練習できる。 多分これから変なチーム分けでぺちゃんこにされるんだろうなぁw
この楽しい時間はもう少し続きそうだ。
続け
コメント
17件
更新ありがとうございます!✨ 練習場編めちゃくちゃ面白かったです!"(ノ*>∀<)ノ みんなのスキルが新しく見れたし、練習を楽しんでるみんなを 見れて良かったなと思いました! 相変わらず、桃くんは頭の回転が早くて先を見るのが上手で凄いなと驚かされました!次回のクエスト楽しみにしています! 頑張って下さい!(๑•̀ㅂ•́)و✧
待って いつもの作品もまじで神がかってるけど今回の作品まじ好みすぎてやばいです まじ最高✨️ 次もめっちゃ楽しみです✨️✨️