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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

〜前回のあらすじ〜

〜前回を読めば分かるので割愛〜

大石優

えっと……じゃあ、ルールを確認しておきましょう

①1時間以内に、6人の中から、好きなプレイヤーを1人選んで投票する ※やり直し可 ※投票しなくてもよい

②最も多くの票を集めた人が解放される ※同数の場合はその全員が対象

③解放された人が投票した人は脱落、残った人が次のゲームに進む

大石優

……こんな感じですかね

荒川和重

そうですね。皆さん理解できましたか?

谷口寛也

まあ、大体……

星晴真

大体じゃ困るんだよ。きっちり理解しろ

谷口寛也

あぁ? んだテメェ

奥村修

落ち着いてヒロ君。星さんも……

大石優

(またいがみ合ってるよ……会議でもいっつもやり合ってんだよな)

大石優

(こういう時は他の人に話題振った方がいいな)

大石優

冬樹、ゲームの攻略法とか分かるか?

斉川冬樹

……このゲームの肝は、2つのジレンマにあるな

斉川冬樹

前提として、自分自身に投票はできるが……その場合最多票を集めても、自分で自分を脱落させることになってしまう

斉川冬樹

必然的に、自分以外の誰か、助けたいプレイヤーへ投票することになる

斉川冬樹

だが……もし自分が最多票を集めてしまったら、自らの手で助けたい相手を脱落させてしまうことになる

斉川冬樹

逆に、他のプレイヤーから票を入れてもらっても、もしその相手が最多票を獲得したら……自分が脱落する

大石優

まさにジレンマだな……

荒川和重

全員が票を入れなければ脱落者は出ませんが……解放されることもありませんね

大石優

……これを踏まえて、俺達が取るべき行動は……

大石優

じゃんけんで脱出する人決めましょう

谷口寛也

だな

星晴真

ああ

斉川冬樹

それが公平だな

奥村修

そうですね……

荒川和重

いきますよ、最初は──

ゲームマスター

ちょっとぉぉぉおぉぉぉ!! それじゃゲームが台無しでしょうがぁぁぁぁ!!

大石優

アンタが真っ先に台無しにしたんだよ

ゲームマスター

アンタたちホントにルール分かってるの!?

大石優

分かってますよ。票を集めた人が投票した人が脱落するんでしょう?

大石優

逆に言えば、票を集めた人が投票してなかったら、解放者は出るけど脱落者は出ないってことだ

奥村修

確か、最多票が同数なら、例え1票しか獲得してなくても対象になるんですよね

斉川冬樹

ああ。理論上は最大3人脱出できる。僕たち6人の内、半分の3人が残りの3人に1票ずつ投票すればいい

荒川和重

投票される側は投票しなければ、脱落者も出ずに無事に出られますね

谷口寛也

なるほど

星晴真

なるほど

大石優

(分かってなかったのかよ)

ゲームマスター

そ、そうだ……しかしその3人をどうやって決めるのだ? 助かる権利をそう簡単に──

大石優

だからじゃんけんって言ったでしょう

ゲームマスター

止めろっ!! じゃんけんで決めんな! そんな運ゲー誰も見たかねんだよっ!!

星晴真

そもそもお前1人の自己満足だろうが……

ゲームマスター

うるさいうるさい! とにかくじゃんけんは禁止だ禁止!

斉川冬樹

ちっ、面倒臭いな……

奥村修

じゃあ時間はかかりますけど、コイントスで……

ゲームマスター

駄目に決まってんだろうが! じゃんけんもコイントスも運ゲーは全部禁止ッ! 話し合って決めろッ!!

大石優

じゃあ、まあ……とりあえず先生は出させてあげましょうよ皆さん。仕事あるでしょうし……

荒川和重

そんな、駄目ですよ。生徒を置いて脱出する訳にはいきません。皆さんが先に……

ゲームマスター

譲り合うなぁぁぁぁ!! 騙して欺いて言いくるめて争えぇえぇぇ!! それがデスゲームだろうがぁぁぁぁ!!

谷口寛也

るっせぇなぁもう……

ぐぅぅぅぅぅ

星晴真

ああ、腹減った……

荒川和重

お弁当食べてないんですか?

星晴真

食おうとしたとこ拉致られたんですよ! くっそ腹立つ……

タバサ

皆様の荷物は回収しておりますので、ご要望でしたらお届けしますが

星晴真

あっじゃあお願いします

ゲームマスター

勝手にやりとりすんなー!

斉川冬樹

なら僕の荷物も持ってきて下さい。時間の無駄なので勉強します

奥村修

あ、僕もお願いします

谷口寛也

なー、金出すからコンビニで●ャンプ買ってきてー

タバサ

かしこまりました、少々お待ち下さい

ゲームマスター

勝手にやりとりすんなっつってんだろーがー!!

タバサ

お嬢様、もう諦めて下さい。計画が破綻した以上、客人として丁重にもてなすべきです

大石優

従者に説得されてる……

谷口寛也

今週の●ャンプつまんねぇのばっかだわ。●ガジンにしときゃよかった

奥村修

そっか……まだ時間あるし、課題とかあるならやっておいたら?

谷口寛也

ねぇよ。ちゃんと現文も古典もやってるぜ。でしょ先生?

荒川和重

……数学と物理は終わりましたか? 特に数学は前々回の分から溜まってるはずでは

谷口寛也

う゛……! な、なんで知ってんすか!

荒川和重

昼休みに教室の廊下を通った際、嘆いている声が聞こえてましたので

星晴真

や〜いバーカバーカ

谷口寛也

うるせぇよ! そういうテメェはやってんのかよ!

星晴真

……………………やってるに決まってんだろ!

大石優

今の間はやってない間だと思います

荒川和重

良かったら今見てあげましょうか? 国語以外も多少でしたら分かりますよ

谷口寛也

マジっすか!? ありがとうございます!

大石優

あ、なら俺も良いですか?

奥村修

すみません、できれば僕も……

荒川和重

構いませんけど、お二人は後で見ますね。一番深刻な人から対処します

谷口寛也

そんな重症患者みたいな言い方しないで下さいよ……

星晴真

…………

荒川和重

星君も食べ終わったら見てあげましょうか?

星晴真

………………家でやりますから大丈夫です

荒川和重

ふふ……分かりました

谷口寛也

ん、んん……? 先生、なんか答え凄ぇ複雑になったんすけど……

荒川和重

そこまで複雑なのはおかしいですね……多分どこかが違ってると思いますけど……

斉川冬樹

……積分範囲の変換を忘れてますよ

谷口寛也

おっ、そうだった! ありがとよ、ええと……

斉川冬樹

斉川です

谷口寛也

おおそうだった。斉川お前凄えな、この辺は2年じゃまだ習ってねぇだろ?

斉川冬樹

もう高校範囲は一通り終えてますから

星晴真

かぁ〜、流石は特待生

大石優

お前は昔っから頭良かったもんな

斉川冬樹

勉強してるだけだよ。分からないことだってたくさんある。荒川先生にも何度お世話になったか……

荒川和重

いえいえ、それだけの努力を積み重ねられるのは充分凄いことです。胸を張っていいと思いますよ

斉川冬樹

……ありがとうございます

奥村修

あ……そういえば僕、斉川さんとバイトで会ったことあります

星晴真

バイト?

奥村修

はい、中学生向けの塾講師のアルバイトです

奥村修

すぐ辞めちゃったんで1回くらいしか会ってないんですけど……確か斉川さん、全教科受け持ってましたよね

斉川冬樹

……ああ

奥村修

凄いなあ……僕は一教科だけで一杯いっぱいだったのに、そんなに勉強しながらバイトもこなしてるなんて

大石優

奥村君、ため息ついてる暇あるか? その問題結構難しいぞ?

奥村修

あっそうでした……すみません

斉川冬樹

…………

荒川和重

…………

大石優

おっと、そうだった……面倒くせー……

奥村修

どうしました?

大石優

もうすぐ体育祭あるだろ? 閉会式の会長挨拶、今週中に考えないといけないんだよ

谷口寛也

そんなんわざわざ考える必要あんのか? 毎年大体一緒だろ

大石優

開会式はそうですよ。実際例年の演説ちょっといじるだけですし

大石優

けど閉会式の方は、体育祭のどこが勝ったとかどの種目が白熱したかとか、当日の経過に合わせていくつもパターン用意しておく必要があるんです

星晴真

確かにそうだな。部活動対抗リレーで野球部がサッカー部千切って優勝したパターンは考えておいてくれよ?

谷口寛也

なにフカしてんだテメェ? どう考えても逆だろうがよぉ

奥村修

喧嘩しないの

斉川冬樹

中々大変だな……しかも結局は1つのパターンしか使わないんだろう?

大石優

そうなんだよ。たくさん考えなきゃいけないのがもう面倒臭くて──

荒川和重

ふふ……

大石優

あっ──い、いや、全然面倒臭くないです! とても楽しいです、はい!

星晴真

遅いだろどう考えても……

荒川和重

構いませんよ。実際その演説に限らず、生徒会長というのは大変な仕事ですからね

大石優

は、はい……

荒川和重

けれど、それは大石君もやる前から分かっていたでしょう? どうして立候補したんです?

大石優

そ、それは……冬樹が……

斉川冬樹

は……? なんで僕の名前が出てくるんだよ。何も関わってないだろ

大石優

そうじゃなくて……お前が頑張ってるトコずっと昔から見てるから

大石優

俺もなんかこう、頑張んないと置いてけぼりにされちまうって思って……

斉川冬樹

……そんな理由で立候補なんかするなよ。他の生徒が迷惑だろ

大石優

うっ、うるせーよ! ちゃんとやってるんだから良いだろ!

谷口寛也

修。『〜を達成する』は英語で?

奥村修

えっ……『achieve』かな

谷口寛也

おっけ

奥村修

…………ちょっとヒロ君! 今分からないトコ僕に答えさせたでしょ!

谷口寛也

な、なんだよ! 良いじゃねぇかよ別に!

奥村修

良くないよ! 自分の課題でしょ!

奥村修

第一僕が答えられるってそれ基礎レベルの単語でしょ! 来年受験なんだから覚えてなきゃ駄目だよ!

谷口寛也

ぐっ……分かったよ……

大石優

……奥村君は、谷口さんの幼馴染なのか?

奥村修

え……そうですけど、なんで分かったんですか?

荒川和重

今ので分からない人はいないと思いますよ……

斉川冬樹

2年上の先輩をそこまで叱るのは、かなりの付き合いじゃないと無理だろう

星晴真

この馬鹿をしつけられるのはお前くらいだからな

谷口寛也

あぁ? んだテメ──

奥村修

星さん! いくらなんでもひどいですよ! 犬じゃないんですから

星晴真

……すまん

大石優

……星先輩にも結構臆面なく接してるけど、付き合いあるのか?

奥村修

え……いや、それは……

荒川和重

奥村君は確か、晴真……晴真君と同じ図書委員でしたよね

奥村修

……は、はい。お世話になってます

谷口寛也

なんだよそれ、聞いてねぇぞ

奥村修

まあ……言ってないから……

谷口寛也

おい星テメェ、修の奴いじめてねぇだろうな?

星晴真

あぁ? オメーじゃねーんだからんなことしねーよ

谷口寛也

はぁ!? 誰がいじめなんかするかよふざけんな!

星晴真

最初の部長会議でもっと予算よこせって大石脅しただろうが!

奥村修

……そうやって喧嘩になるから言いたくなかったんだよ……

荒川和重

……すみません

谷口寛也

終わったぁぁぁぁ!! あー終わった終わったぁ……

奥村修

ふふ……お疲れ様

大石優

あと10分か……意外とすぐ時間経ったな

星晴真

ああ……それにしても、ずっと静かだったな、鳳凰院の奴

斉川冬樹

そうですね……課題やってただけなのに、何も言って来ませんでしたね

谷口寛也

死んだんじゃねぇの〜?

ゲームマスター

いっ生きとるわっ! 勝手に殺すな!

谷口寛也

ちっ

荒川和重

そろそろ誰に投票するか決めましょうか

斉川冬樹

そうですね

大石優

……あ、そうだ

斉川冬樹

どうした?

大石優

すみませーん、タバサさん。質問なんですけどー

タバサ

なんでしょうか

ゲームマスター

なんでタバサに質問するんだ! 私を呼べ私を!

星晴真

もはや威厳ゼロだな……

大石優

俺たちを手に掛ける訳じゃないなら、脱落者はどうするつもりだったんですか?

タバサ

解放された方も含め、事情をお話して、お帰り頂く予定です

タバサ

あ、ご家族や学校の方には既にご連絡しておりますのでご安心下さい。ささやかですが謝礼も用意してあります

谷口寛也

マジか! よっしゃぁ! ありがとなー鳳凰院!

ゲームマスター

勝手にバラすな! そして喜ぶなっ!

星晴真

それだけかよ……俺たちはともかく、仕事してた先生はもっと補償しろよ

タバサ

ええ、荒川様は当日分の賃金を加え、後日学校側にも職務妨害による損害賠償金をお支払致します

荒川和重

そこまで配慮してくれるならさらわないで下さい

奥村修

あ……そういえば、脱落しても帰れるんでしたら、脱落しちゃった方が良いですよね

荒川和重

そうですね。全員が自分に投票すれば、全員脱落になって帰れます

ゲームマスター

待ってぇ! せめてそれだけは止めてぇ! 8000万もかけて準備したのに、無駄金に終わっちゃうよぉぉぉ!

大石優

とっくにドブに捨ててると思いますよ

ゲームマスター

せめて、せめて違う人に投票しよ!? 1票ずつになってもいいから、誰が誰に投票するか話し合お! ね!?

星晴真

お前、なんでそんなに食い下がってんだよ?

斉川冬樹

結局同じ結果になるだけじゃないかそんなの。何がしたいんだ?

ゲームマスター

ふっふっふ……真実を知りたければゲームを勝ち進みその手で掴むが良い

谷口寛也

急に戻んじゃねぇよ無能ゲームマスターがよ

タバサ

すみません皆様……どうかこのお願いだけはお付き合いできませんでしょうか……

奥村修

そのぐらいなら、まあ……全員別の人に投票すればいいんですよね?

大石優

そうだな……じゃあ、誰が誰に投票します?

谷口寛也

俺は修に入れるわ

奥村修

じゃあ僕もヒロ君に……

斉川冬樹

優、僕たちで入れ合おう

大石優

分かった

星晴真

じゃあ俺と先生ですね

荒川和重

そうだね

大石優

決まったぞ

ゲームマスター

揉めろぉぉぉぉぉぉ!! もっと揉めろぉぉぉおぉぉ!! つまんねぇんだよぉぉぉぉぉ!!

谷口寛也

先生、解放されたらアイツぶん殴りに行きますけど見逃して下さいね

荒川和重

……ちょっと許しそうになりましたけど駄目です

ゲームマスター

ペアで投票し合うのは駄目っ! 6人でひと繋ぎになるようにしなさいっ!

大石優

どんどん後出しで条件が増えていくな……

奥村修

じゃあ、僕は星先輩に入れますよ

谷口寛也

はあ? なんでよりによってこのタコに入れんだよ!

星晴真

馬鹿かお前? 誰が誰に入れたって変わんねーだろ

奥村修

そうだよ、こんな時にゴネないで。ヒロ君の悪い癖だよ

谷口寛也

な、なんだよ修、お前どっちの味方だよ! もーいいよお前にも票入れてやんねぇからな!

大石優

(はあ……これじゃどっちが年上か分かんねーな……)

荒川和重

全く……。それなら私が奥村君に投票しますから、大石君は私に投票してくれませんか?

大石優

分かりました。そうなると冬樹には誰が……

荒川和重

斉川君は……谷口君にですね。後は星君が谷口君に入れれば良いかと

星晴真

はあ!? なんで俺がこのアホに入れないといけねー……いけないんすか!

荒川和重

入れなさい

星晴真

…………はい

大石優

(珍しく荒川先生が怒ったぞ)

斉川冬樹

確認のために図にしてみよう。ええと、俺が優に、優が先生に……

斉川→大石→荒川→奥村→星→谷口→斉川→……

大石優

うん、これで一つなぎになるな

奥村修

全員に1票ずつ入るから、全員が脱落になりますね

谷口寛也

おい鳳凰院、もう文句ねぇだろうな?

星晴真

これ以上ゴネたら承知しねーぞ

ゲームマスター

わ、分かったわよもう!

大石優

おっけ、じゃあ早速投票してみますね

大石優

ええっと、ここタップかな

スッ

大石優 0票 谷口寛也 0票 星晴真 0票 斉川冬樹 0票 奥村修 0票 荒川和重 1票

大石優

うん、先生に1票入りました。じゃあみなさんもお願いします

谷口寛也

ほいよ

大石優 1票 谷口寛也 1票 星晴真 1票 斉川冬樹 1票 奥村修 1票 荒川和重 1票

大石優

これでOKですね

ゲームマスター

……みんな票入れた?

大石優

入れましたよ

ゲームマスター

じゃあここでルール変更ぉーーーー!!

星晴真

あぁっ!?

ゲームマスター

一番多くの票を獲得した人には、解放に加えて特別ボーナスで20万円を差し上げますっ!

谷口寛也

はっ!?

奥村修

に、20万……!?

ゲームマスター

ただし、自分に入れるのは駄目っ! それで一番になってもあげないわよ!

ゲームマスター

さあ! 結果発表まで残り30秒! カウントダウン開始だ!

谷口寛也

あの野郎……! いきなりぶっこんできやがったぞ!

斉川冬樹

に……20万……

星晴真

妙にリアルな額出してきやがった……本当にくれるのか……?

荒川和重

お、落ち着きましょう皆さん! 命の危険はないんですから、争ってはいけませんよ!

大石優

…………

奥村修

…………

斉川冬樹

…………

大石優

(……会話がなくなっちまった……そりゃそうだよな、20万も貰えるんだったら、色気も出ちまうよ)

谷口寛也

…………

星晴真

…………

荒川和重

…………

大石優

(と言っても、下手に言い争って、後々気まずくなるのも嫌だし……黙るしか無いよな)

大石優 1票 谷口寛也 1票 星晴真 1票 斉川冬樹 1票 奥村修 1票 荒川和重 1票

大石優

(……票は動いてない……多分、動くとしたらタイムアップ直前……)

大石優

(このままいけば、全員が20万手に入る……けど、誰か1人でも裏切ったらそこまでだ)

谷口寛也

…………

星晴真

…………

斉川冬樹

…………

奥村修

…………

荒川和重

…………

大石優

(みんな同じこと考えてるよな……でももう話し合う時間なんてない)

大石優

(なら、俺は……)

大石優

(……冬樹だよ。こんなん当然だろ)

スッ──

ゲームマスター

ふふふ……数字が0になったな。それではカウントを停止しよう

ゲームマスター

全員、モニターに注目し給え

ゲームマスター

投票結果は……こうなった!

大石優

……えっ……?

ゲームマスター

ふふふ……当初の取り決めから、投票先を変えなかったのは、奥村修のみ、か

大石優

(谷口先輩は分かる……さっきはスネてたけど、結局奥村君が大切なんだろうから)

大石優

(冬樹が投票を止めたのも……分からなくはない)

大石優

(でも、なんで星先輩と荒川先生は……)

星晴真

…………

荒川和重

…………

奥村修

……結果はもういいじゃないですか

谷口寛也

そうだよ。終わったんだからとっととここから出せ

ゲームマスター

いいや……出す訳にはいかんな

谷口寛也

はあ!? この後に及んでまだゲーム続ける気かよ!

奥村修

せ、せめて、斉川さんだけでも出してあげて下さい

奥村修

斉川さんは最多の2票取ったんですから、解放されるんでしょう?

ゲームマスター

そうだな……斉川冬樹は解放してやろう

ゲームマスター

……このまま変わらなければ、な

大石優

……え……?

ゲームマスター

さあ、カウントダウン再開だ

星晴真

え……?

荒川和重

残り……10分……?

谷口寛也

どういうことだよテメェ! 制限時間は60分っつったろ!

ゲームマスター

その通りだが? まだ時間は10分残っているぞ?

谷口寛也

はあ!? 嘘つくなよ! ずっとそのモニターに残り時間が──

斉川冬樹

……違う……! 騙されていたんだ、僕たちは……!

奥村修

え……?

大石優

ど、どういうことだよ冬樹?

斉川冬樹

最初の説明を思い出してくれ。鳳凰院の奴は……

ゲームマスター

最初のゲームでは、制限時間の1時間以内に、お互いに1票ずつ投票してもらう

ゲームマスター

モニターの数字が0になったら、誰が誰に投票したかを発表しよう

斉川冬樹

こう言っていた……けどアイツは、モニターの数字が制限時間だとは言っていなかったんだ

谷口寛也

け、けど、ちゃんと60分経ったらあの数字も0に──

斉川冬樹

……経ってないんですよ、まだ……

ゲームマスター

くくく……流石は特待生、最初に気付いたか。だが少し遅かったな?

ゲームマスター

ご明察の通り、最初のモニターに表示されていたのは、制限時間ではない

ゲームマスター

ただ……『50秒』でカウントが1減る数字というだけだ

斉川冬樹

けどそれだと……あの数字と実際の残り時間は、1分ごとに10秒ずれていく

ゲームマスター

その通りだ。私は0になったので、当初の説明通り、投票結果を公開した

ゲームマスター

だが、制限時間自体は、あと10×60で600秒……つまり10分残っている

ゲームマスター

さあ、ゲームを続け給え

大石優

まさか、そんな……

荒川和重

……騙されてしまいましたね。思い返せば、残りの秒数を表示していない点が不自然でした

星晴真

手元の携帯で時間を照らし合わせていれば、すぐに気付けたというのに……

奥村修

で、でも! 逆にこう、話し合う時間が出来たと考えれば、良いじゃないですか!

奥村修

最初の取り決めどおり、お互いに1票ずつ投票し合えば、全員20万手に入るんですよ!

奥村修

みなさんでもう1度入れ直しましょう! ね?

谷口寛也

あ、ああ……

大石優

そう、だな……

斉川冬樹

……ああ

星晴真

入れ……直すか

荒川和重

え、ええ……

大石優

(…………どうして、星さんと先生は……?)

中編 終わり

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