それから毎日
優真さんは欠かさずあすみさんの元へ向かい
彼女に寄り添い続けた
それと平行して自分のマンションへ行き
山梨行きの準備も進めていくことになったが
マンションにある物の殆どが
優真さんの父、龍一さんの用意したものだったため
優真さんはその殆どを処分したいと考えていた
芹沢大和
芹沢大和
三村優真
芹沢大和
三村優真
芹沢大和
芹沢大和
芹沢大和
ずっと世間体を気にしていた龍一さんは
優真さんの意見を聞くこともせず
とても独り暮らし用とは思えない広すぎるマンションを借り
その部屋に合うようにと大きすぎるテレビを購入
その他の家具家電も立派なものを揃えた
自分の息子のためにここまでする立派な父親
世間からそう思われたくて
優真さんが望んでもいないものばかりを揃え与え続けた
ここで独り暮らす優真さんにとってそれは
どれも扱いにくく持て余してしまうものばかり……
優真さんが心の奥に抱える闇に気づくこともなく
近隣からの称賛を武器に再婚した新妻の機嫌を取り
少しでも平穏な日々を過ごすため
龍一さんは"未来への投資"と称して注ぎ込んだ
自分は新しい妻との新生活に浮かれていたのか
三村優真
三村優真
三村優真
優真さんにとってはその全てが不必要なものだったが
龍一さんはそうすることで
自分は回りからいい父親と認識されているはず
そんな風に思っていたようだ
芹沢大和
三村優真
三村優真
三村優真
優真さんは15歳からこのマンションで暮らすことになった
ある日、突然に鍵と地図の書かれたメモを手渡され
三村龍一
三村優真
三村龍一
三村優真
三村龍一
龍一さんは理由を話すこともなくその場を去っていく
突然のことに最初は驚いた優真さんだったが
もう何となく理由はわかっていた
再婚した妻のため
二人の間に生まれたかわいい息子のため
別れた女の遺伝子を受け継ぐ子供なんてもう必要ない
龍一さんの新しい妻は優真さんを嫌っていて
愛する旦那のために優真さんの世話をしてきたが
きっともう限界が来ていたのだろう
その日の夜
料理の得意な新しい妻はいつもより豪華な食事を作った
そのどれもが優真さんの好きなものばかりで
これまでの冷たい態度が嘘のように感じられるほど
新しい妻の優しさを感じた気がした
だが
テーブルを見た瞬間に吐き気がした
テーブルには三人分しか取り皿が置いていなかった
最初から
自分に居場所なんてなかったんだと思い知らされた気がした
談笑しながら食事をする三人の声が微かに聞こえる自室で
優真さんは涙ながらに荷造りを終えた
翌日の朝
誰にも見送られることなく家を出た優真さんは
龍一さんの用意したマンションへ向かう
たどり着いたマンション部屋の広さには驚いたが
その広さが却って寂しさを倍増させ
再び溢れた涙が頬を伝う
でもここなら好きなことができる
トラブルさえ起こさなければ後は自由だ
そう自分に言い聞かせて
優真さんは日々を過ごした
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