TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
じいちゃんのタイムマシーン

じいちゃんのタイムマシーン

「じいちゃんのタイムマシーン」のメインビジュアル

116

第百十六話:変わらぬ未来

♥

6

2022年09月05日

シェアするシェアする
報告する

明日夢

うぅ……

気がつくと

俺は病院のベッドの上にいた

母ちゃんを助けるために過去に飛んだ俺は

明日夢

母ちゃん!

明日夢

母ちゃーん!!

母ちゃんを庇って大型のトラックと衝突

勢いよく吹き飛ばされ地面に叩きつけられた

全身に走る今まで感じたことのない激しい痛み

身体を動かすことができなくなり

言葉もうまく発することができなかった

タイムマシーンが改良中で不完全だったからなのか

ちゃんと前日の日付を入力したはずなのに

実際には事故が起きる当日に飛ばされてしまった

母ちゃんを助けるために現場に走り

無我夢中で道路に飛び出した

トラックはまるで鋼鉄の猪のようだった

俺はあっと言う間に吹き飛ばされ

明日夢

(このまま……)

明日夢

(死ぬかもしれない……)

そう思うほどに激しい痛みが絶えず全身を駆け巡る

愛紗

明日夢!!

愛紗

明日夢!!

陣痛で苦しかったはずなのに

母ちゃんは駆け寄って俺の手を握り

必死に名前を呼び続けてくれた

丈太郎

あいちゃん!!

さっきすれ違った父ちゃんが戻ってきて

目の前に広がる光景に驚いていた

初めて会う若い頃の父ちゃんの姿

明日夢

(やっぱかっこいい……)

全身の痛みに苦しみながらもそんなことを考える

愛紗

丈ちゃん……

愛紗

明日夢を助けて……

丈太郎

え!?

丈太郎

明日夢って……

父ちゃんはまだ気づいていないのか

この状況にただただ驚いている様子だった

さっきじいちゃんに俺の正体を明かしたつもりだったけど

じいちゃんは何も伝えなかったのか

俺が未来から来た息子だと言うことを

父ちゃんはまだ知らないみたいだった

愛紗

お願い……

愛紗

うぅっ……

急に母ちゃんが苦しみ出した

さっきの陣痛がまた襲ってきたのか

苦しそうな母ちゃんのことが気になって

明日夢

うぅ……

明日夢

母……ちゃん……

何とか声を絞り出した

丈太郎

しっかりしろ!!

父ちゃんは何度も俺に呼び掛けてくれた

明日夢

父……ちゃん……

丈太郎

え!?

丈太郎

何を言って……

俺は父ちゃんが大好きだ

父ちゃんは俺のヒーローなんだ

だからきっと……

父ちゃんが母ちゃんを守ってくれる

未来に戻ったら……

母ちゃんは目を覚ましていて……

明日夢

会い……たかった……

丈太郎

え?

明日夢

こっちの……

明日夢

父……ちゃん……にも……

明日夢

母……ちゃん……

明日夢

俺……

明日夢

帰るから……

丈太郎

帰るって……

愛紗

明日……夢……

明日夢

未来で……待っ……てて……

俺は最後の力を振り絞り

リモコンのスイッチを押した

ギュィィィィィィン!!

そして病院のベッドの上で目が覚めた

明日夢

母ちゃん……

全身を包帯でぐるぐるに巻かれ

身体のあちこちから延びた管が点滴や機械に繋がっていた

琴音

明日夢ちゃん!

明日夢

おばあちゃん……

俺を呼ぶおばあちゃんの声に

戻ってこれたんだと思った

丈太郎

明日夢!

明日夢

父ちゃん……

でもスイッチを押した後の記憶がなく

戻った時の状況が全くわからなかった

事故の衝撃でリモコンの一部が破損していたらしく

何とか戻ってはこれたものの

俺は地下室ではなく

事故現場となった駐車場近くの道路で発見された

通行人

大丈夫ですか!?

全身を強く打った状態は変わらず出血もしていて

その時の状態から暴行事件として通報され

警察もどこかで暴行を受けた後に放置されたと推理

犯人の特定を急いでいるが

これは過去で起きた衝突事故

この時代で犯人が見つかることは絶対にない

明日夢

父ちゃんごめん……

丈太郎

もう勝手に……

丈太郎

いなくなるな……

明日夢

うん……

まだあちこち痛かったけど

助かったんだと思ったらホッとして涙が出た

明日夢

母ちゃん……

明日夢

母ちゃんは!?

丈太郎

丈太郎

彼女はずっと……

丈太郎

眠ったままだ……

その言葉に背筋が凍る

本来なら母ちゃんが衝突するはずだったトラックの事故

俺が身代わりになることで回避したと思っていたのに

明日夢

そんな……

明日夢

母ちゃん!!

丈太郎

明日夢!!

まだ全身が痛くてきつかったけど

無理矢理、身体を起こしてベッドから降りた

繋がっていた管が抜け何かの液体が床に漏れる

直後に鳴り響いた機械の警告音を無視して

足を引きずりながらも病室を飛び出した

助けたはずなのに!

事故は回避したはずなのに!!

どうして!?

明日夢

母ちゃん!!

病室の扉を開けると

母ちゃんはいつもの様にベッドの上にいた

心電図の音が響くこの部屋で

ずっと眠り続けていた……

まるであの出来事はなかったみたいに……

明日夢

何で……

明日夢

何のために……

明日夢

何のために俺は!!

作造

明日夢……

明日夢

じいちゃん……

明日夢

俺……

作造

父ちゃんが待ってる

作造

母ちゃんのこと聞いてこい

明日夢

え?

病室を出ると

看護師さん達がストレッチャーを用意して待ち構えていた

看護師A

勝手に動かないでください!

看護師A

絶対安静なんですから!

明日夢

ごめんなさい……

俺の怪我は相当、酷かったようだ

看護師A

そもそも動けるはずないのに……

自力でここまで来た俺を見て

看護師さんが青い顔をしていた

病室では担当医の先生が待ち構えていて

さっきの看護師さんと同様に青い顔をしていた

担当医

その状態で走ったなんて信じられない……

担当医

本来ならまだ動ける状態じゃないんだからね!

お叱りを受けた後、新たな管や点滴がつけられた

明日夢

ごめん……なさい……

俺は謝りつつも

言い様のない悔しさがこみ上げていた

じいちゃんのタイムマシーン

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

6

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚