十一月二十九日
さて、細かいルールを説明する前に、ちょいと事前に準備をさせてもらう。
十一月二十九日
まずは、絵本の表紙だが、実は微妙に絵本によって異なっている。
七星
そうなのか?
七星
無地の表紙だし、違いなど分からないが。
十一月二十九日
だったら、それを俺だけが利用して、あんたが出した絵本がどれなのか分かっちまうけどいいか?
十一月二十九日
このゲーム、どの絵本を出したか――が、当然ながら重要になってくる。
七星
つまり、自分が出した絵本がどれなのか悟られないほうがいいということか。
七星
それで、無地の表紙をどうする?
十一月二十九日
ちょいと区別がつかないように、お洒落にする。
十一月二十九日が言うと、絵本の表紙がカラフルになる。
赤、青、水色、黒、緑、黄色――など、さまざまな水玉模様が表紙に浮かんだ。
七星
なんだか気味が悪い絵柄だな。
十一月二十九日
まぁ、そう言うなって。
十一月二十九日
ちなみに、この表紙はそれぞれ同じ水玉模様に見えるが、配色なんかに違いがある。
七星
だとしたら、事前にそちらが配色のパターンを把握していて、私が出した絵本を把握できるようになっている――なんてこともあり得る。
十一月二十九日
まぁ、そう言われても仕方がないな。
十一月二十九日
その辺りは心配いらない。
十一月二十九日
ゲームの性質もあるから、絵本の表紙は場に出す度に配色パターンが変わるとしよう。
十一月二十九日
それなら、俺が全部パターンを暗記しているなんてことにはならないだろ?
七星
なるほど、それならいい。
七星
(確か、同じ絵本を何度も使うことがあるとも言っていたな。それならば、出す度に表紙のパターンが変わってくれたほうがいい。万が一にも配色パターンを覚えられてしまっても面倒だからな)
十一月二十九日
それじゃ、改めてルールを説明する。
十一月二十九日
まず、先攻と後攻を決め、交互に絵本を出す。
十一月二十九日
先攻は表紙を表にして絵本を出したら【セット】と宣言。
十一月二十九日
この宣言をした後は、出した絵本の変更はできない。
十一月二十九日
一方、後攻には【セット】の宣言を受けた後、2通りの行動が許されている。
十一月二十九日
そのまま絵本をオープンさせる【オープン】だ。
十一月二十九日
この宣言を後攻がした時点で、先攻は絵本をオープン。
十一月二十九日
その絵本に振り分けられていた数字が加算されて、先攻と後攻が交代する。
十一月二十九日
これを繰り返して、合計を【7】にしたほうの人間の勝ち――なんだが、これだけだとゲームが停滞することがあり得る。
七星
例えば、互いに【0】を出し続けるとかな。
十一月二十九日
そう、だからこそ、後攻が取れる行動がもうひとつ用意されているんだよ。
十一月二十九日
それこそが【ノンオープン】だ。
十一月二十九日
先攻が絵本を伏せて【セット】宣言をしたあとに【ノンオープン】と宣言する。
十一月二十九日
この場合、絵本は【オープン】されず【ノンオープン】を宣言したほうが、伏せられた絵本のナンバーを言い当てなければならなくなる。
十一月二十九日
見事に相手が出したナンバーを当てることができたらポイントとなる。
七星
外した場合は相手のポイントになるってことか?
十一月二十九日
その通り。
十一月二十九日
ちなみに、合計で【7】に到達した場合も、入るポイントに差はない。
十一月二十九日
3本勝負。
十一月二十九日
先に2ポイントを獲得したほうの勝ちだ。
七星
ひとつ確認しておきたいのだが、この【ノンオープン】の宣言は、必ずしなければならない――というわけではないんだよな?
十一月二十九日
あぁ、したくなかったらしなくてもいい。
十一月二十九日
ただ、しないわけにはいかなくなるとは思うけどな。
七星
ちなみに、先攻と後攻はどうやって決める?
十一月二十九日
そっちのお好きなほうでどうぞ。
七星
そうか、ならば遠慮なく先攻で行かせてもらいたい。
十一月二十九日
あぁ、構わねぇぜ。
七星
では、行かせてもらう!
場に絵本を出すと、読みかけの本をテーブルの上に置いたかのような形で伏せられた。
色とりどりの水玉模様が、表紙に浮かび上がっている。
十一月二十九日
あぁ、受けて立つぜぇ。
この時、十一月二十九日がうっすらと口角を吊り上げたことに、七星はまるで気づかなかった。